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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

四阿山から根子岳縦走。多くの方とお話ができました(妻女山里山通信)

2015-09-06 | アウトドア・ネイチャーフォト
 つかの間の晴れ間の土曜日。菅平牧場へ着いたのが、朝8時前だったのですが、駐車場はほぼ満車状態。しかもほとんどが県外ナンバー。さすが人気の百名山です。今回は牧場を起点に、四阿山から根子岳へ縦走し戻るという王道コースを歩いてみました。このコースは私の『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林にも載っていますが、なんと同じコースを歩いたのは12年ぶりでした。

 ほぼ満車の駐車場。まずここへ来る途中で管理事務所に200円の入山料を払います。雲海の上には、北アルプスのスカイラインが見えていました。朝食を食べて、登山者カードを書いて出発したのが8時20分。観ているとほとんどの人がカードを書いていませんね。少し目立たない所にあるというのも原因でしょうか。四阿山へは右へ曲がって南へ舗装路を歩きます。四阿山を目指す人のほうが多かった様です。

 大明神沢を渡る手前では、大木が倒れて登山道を塞いでいました。なんとか通り抜けて橋を渡ろうとすると壊れていました。岩を伝って対岸へ。林道から前日の雨で濡れた笹の道へ登ります。やがて白樺と松虫草が咲く小道へ。薊にヒョウモンチョウが吸蜜。やはり、薊にオオチャバネセセリが飛来。他にはアカタテハやクジャクチョウも。

 これは薊ではなくアキノタムラソウ。葉には棘がなく特徴的なので区別がつきます。登山道のあちこちで咲いていました。中は、四阿山でも根子岳でも多く見られるヤマハハコ。あちこちに群生が見られます。撮影しながら約1時間で小四阿に到着。何人かの登山者が休憩中。本のパンフレットを渡しました。小四阿からは、山頂はまだ2.8キロもあります。

 松虫草で、これは小さなハナアブでしょうか、吸蜜中。松虫草の季節もそろそろ終わりです。中は、ケルンから見る中四阿の小ピーク二つ。左から二番目が中四阿ですが、登山道は右手を巻いています。今回は登ることにしました。小四阿から中四阿までは約40分かかりました。右は、中四阿からの四阿山。ここから一旦鞍部に下って登り返します。ここから山頂までは、約1時間です。

 鞍部から少し登り返して振り返った中四阿。左の長い尾根を登ってきました。左奥にはスキー場のある大松山が見えます。本ではこの山も紹介しています。初夏は、ゲレンデに色々な花が咲き乱れて意外に面白い山なんです。

 タカネニガナかと思ったのですが、花弁が11枚なのでクモマニガナでしょうか。根子岳への分岐を過ぎて、また鞍部へ下り最後の登りにかかります。山頂はもうすぐです。タカネナナカマドの赤い実が鈴生りになっていました。

 山頂へは植生保護の木道を登ります。ヤマハハコとイブキジャコウソウが少し咲いていたくらい。なかなか復旧は難しいようです。中は、今年新しく再建された真田長(おさ)の山家神社の上州宮。この写真は、本では山家神社から提供していただきました。銅葺きの屋根がいい感じになっていました。右は信州宮との中間にある小石祠で、信仰の原点といわれている所です。

 そして信州宮のあるこちらが最高地点です。宮の後方には登山者がたくさん休憩して昼食をとっていました。狭いので上州宮へ戻りました。今回はパンフレットだけでなく見本誌も持っていったので、お見せしたのですが、女性は写真が綺麗と言ってくださった方が多かったですね。男性は、山の歴史についての記述にも注目。地図が分かりやすいという感想もいただきました。
 本では山名の由来や歴史も書いています。子檀嶺岳の由来を簡単に話すと、ここの四阿(あずまや)も読めないですよねと、ある女性に言われました。長くなるので説明しきれませんでしたが、元は中国の四阿頂という言葉に由来します。柱が4本の壁のない小屋で、壁のある真屋に対向するものです。東屋とも書きますが、これは都人が東国の粗末な家を言った蔑称で、四阿とは意味が異なります。
 中は、本にも載せているのですが、実際は下っているのにピークに見える不思議な現象。浦倉山へ向かう尾根の肩です。右は上州宮へ戻って休憩。ガスが巻いて何にも見えなくなりました。

 根子岳へ出発。山頂から根子岳への分岐まで20分。ここから急下降して登り返して根子岳までは1時間20分ぐらい。
 写真の様なシラビソやコメツガの深い森の中を急下降します。道が雨で泥濘状態で滑りやすく、本当に疲れました。途中で大すき間から登ってきた人達に会う度にパンフを渡しましたが、厳しい急登にはみなさん音を上げていました。確かに段差も大きく大変ですが、距離は短いのでゆっくり確実に登ればいいと思います。前回は登ったのですが、今回の下りのほうが脚に来ました。根子岳が上に見えると、もうすぐ大すき間の笹原です。

 最初の溶岩ダイクに登って小休止。軽い昼食にしました。そこからカルデラの中を俯瞰。左に三角の明るい緑が見えますが、お花畑という地名の米子硫黄鉱山の住宅や工場があった台地です。その上には分教場があった台地と四阿が見えます。V字に切れ込んだところは、権現滝の落ち口。中央やや右手の丸い山頂が浦倉山。あそこから米子大瀑布への登山道が通じています。本では、米子大瀑布から滝上へ登り、小根子岳から根子岳、四阿山経由で浦倉山、大瀑布へのカルデラ周回コースも紹介しています。約23キロ10時間のハードなコースです(そのフォトドキュメントスライドショー)。今回、数ヶ月前に周りましたという男性がいました。体力のある方は、ぜひ挑戦してみてください。私はもう結構です(笑)。米子大瀑布から根子岳往復なら、紅葉の季節にやってみたいと思いますが。

 上に乗れる溶岩ダイクの上から四阿山。私を追い越していった青年が休憩していました。本もですが、その体力ならカルデラ一周をぜひと勧めておきました。山は始めたばかりでまだ仲間もいないと言っていましたが、すぐできるでしょう。できれば素敵な山ガールと一緒にどうぞ。中は、そのダイクから根子岳を見たところ。ここからは10分弱です。ダイクの西側は絶壁なので転落には注意してください。ダイクの近くにあったオオカメノキの真っ赤な実。

 根子岳に到着。禰固嶽が旧字で、本ではその由来も説明しています。猫嶽と書かれたこともあるそうで、明治時代には猫神の石像があったという言い伝えもあるそうです。それは復活して欲しいです。一頭のアサギマダラが飛翔していましたが、気づく人はいなかった様です。しばらくして姿を消しました。
 根子岳を代表するウメバチソウですが、もう残花。夏の花の季節は終りを迎えていました。オヤマリンドウの鮮やかな青。小根子岳の方に行くと花が上下にたくさん着いたエゾリンドウらしきものも見られるのですが、交雑種もあるようで、同定はなかなか困難です。ウスユキソウとミネウスユキソウの区別も非常に難しい。

 眼下に出発点の駐車場を見ながら下ります。久しぶりのハードなコースで、最後は脚が勘弁してくれと叫び始めました。そこで牧場から20分ほど登った所にある四阿でしばし休憩。ここでは青木村の女性から、いい山情報をいただきました。下山後は、保科温泉で入浴してケアー。好日が暮れて行きました。今回は、パンフだけでなく本も持っていったので、色んな方とお話することができました。こういうきっかけでもないと、なかなか他の登山者と話す機会もないので、本当に有意義な山行になりました。お相手をしていただいた皆さんには感謝申し上げます。登山中に会ったよという方は、遠慮なくコメントやメールを下さいね。

10月25日(日)に、茶臼山-中尾山ハイキング(一本松コース)のインストラクター(インタープリター)をします。爽やかな信州の秋空の下、錦秋の里山を歩きませんか。参加費は300円(中学生以下無料)。持ち物は、昼食(きのこ汁・リンゴ・牛乳が出ます)・飲み物・マイ箸・シート・雨具・ストック(なくてもいいです)。受付は、8時から8時半。場所は、黒木学園カレッジオブキャリア共和校グラウンド。小雨決行。お申込み・お問い合わせは、川中島地区住民自治協議会:050-3583-0890 (締め切りは10月16日)毎年初参加が多いイベントです。ふるって応募ください。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。この夏は、信州の里山や亜高山を歩いてみませんか。
 本の概要は、こちらの記事を御覧ください
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