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モバライダー mobarider

ブラックホールの回転速度から分かる、銀河の成長過程

2014年03月09日 | 宇宙 space
60億光年彼方の超大質量ブラックホールが、
高速の半分のスピードで自転していることを、X線観測から突き止めました。

ブラックホールの自転速度からは、その成長過程を知ることができるので、ブラックホールとその母銀河の成長過程を探る画期的な手がかりなるようです。
巨大楕円銀河(中央)の重力レンズ効果で、
周囲に遠方クエーサー“RX J1131-1231”のX線像(ピンク)が4つ見えている。

自転速度は、NASAのX線天文衛星“チャンドラ”などの観測から直接計測されたのですが、
これほど遠方にあるブラックホールは初めての例になるんだとか。

今回観測が行われたのは、コップ座の方向にあるクエーサー“RX J1131-1231”。
ちょうどその手前にある巨大楕円銀河の重力レンズ効果によって、光が増幅されたので詳しい観測が可能になったんですねー

クエーサーは、銀河中心の超大質量ブラックホールの活動がエネルギー源になっていて、遠くにあるのにひじょうに明るく見える天体です。

ブラックホール周囲には“降着円盤”という、その重力で集まったガスとチリが円盤状に渦巻いています。

今回の研究では、ブラックホールに落ち込む間際の物質から放射され、円盤の内縁で反射されたX線をスペクトル分析しています。
その結果、X線は“事象の地平線”の半径のおよそ3倍しか、ブラックホールから離れていないところから来ていたんですねー

ブラックホールの自転が速いほど、周囲の空間はゆがめられ、“降着円盤”は内側まで迫ってきます。
計測された距離からすると、“RX J1131-1231”のブラックホールは、高速の50%を超える速さで自転していることになります。

この自転速度から、このブラックホールはかつて起こった、銀河同士の衝突合体により供給された物質で成長してきたと考えられるんですねー

そして、ブラックホールの成長が一定だったか、波があるかを調べると、周囲を取り巻く銀河の成長過程も判明するそうです。

これは、成長する銀河の構造が整然としている場合、
水素ガスの巨大な雲が集結し易いので、中心のブラックホールが着実に成長できるエネルギー源となり、回転の速度が上がるということです。

観測されたのがひじょうに高速な回転なので、初期銀河の形成は、整然とした構造を保っていたと考えられます。

ブラックホールの性質は、質量と自転という2つの要素で決定づけられます。
質量の計測方法は確立されているのですが、遠方のブラックホールの自転速度の計測はこれまで難しかったんですねー

今回の研究は、遠方、つまりはるか昔のブラックホールの成長過程をかいま見せてくれるものになり、
ブラックホールと銀河の成長過程を解明するための、画期的な手法になるのかもしれませんね。


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