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ダークマター理論に新成果! 湯川粒子と酷似している

2015年08月01日 | 宇宙 space
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙機構の研究チームが、
従来の考え方とは大きく異なるダークマターの新理論を発表しました。

新理論では、
SIMP(Strongly Interactive Massive Particle)という粒子を提唱していて、
この粒子は、湯川秀樹博士が1935年に提唱したパイ中間子(湯川粒子)と、
大変良く似た性質を示すそうです。

パイ中間子は、原子核を形作る陽子や中間子などの核子間で力を媒介し、
原子核を安定的に保つ物質とされています。

その後、1960年に南部陽一郎博士が「自発的対象性の破れ」という考え方で、
湯川博士の中間子論に基づく理論を正確に記述。

今回発表された新理論は、
この2人のノーベル物理学賞受賞者が築いた粒子の性質が、
ダークマターとして、ふさわしいと指摘しているんですねー

新理論では銀河の構造について、
今まで問題だった観測とコンピュータシミュレーションの間のズレを、
説明できるそうです。
従来の理論とSIMPの理論の違いを示した模式図。
今までのダークマターの理論では、
ダークマター同士は互いをすり抜け反応しないと考えられていた。
SIMP粒子は、パイ中間子が相互作用するのと同種の強い相互作用をする。

ダークマターをSIMPとしない場合は、
ダークマターが銀河の中心部の狭い範囲に極端に集中し、外側では少ない(左)。
一方、ダークマターをSIMPとした場合には、
銀河の中心部から外側にかけてダークマターが、なだらかに分布する(右)。
この場合のダークマターの分布は、観測と良く合っている。

ダークマターは宇宙の80%以上を占める物質で、
その存在なくして星や銀河、生命すらも誕生しなかったとされています。

でも、その物質や性質は宇宙物理学者にとって大きな謎になっていて、
これまで多様な理論が提唱されてきました。

現在、世界中でダークマターを探し出すための様々な実験が行われています。

今年から再稼働を始めた欧州合同原子核研究機構(CERN)のLHC加速器や、
現在提案中のSHiP実験、
日本の高エネルギー加速器研究機構(KEK)で準備が進められている
SuperKEKBプロジェクトなどでもダークマター候補の探索が行われる予定です。

こうした世界中の実験によりダークマターが発見され、
数ある理論が確かめられることが期待されますね。


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