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モバライダー mobarider

逆行惑星の作られかた

2013年02月07日 | 宇宙 space
国立天文台と東京大学のを中心とする研究グループが、
逆行惑星を持つ惑星系“HAT-P-7”に、これまで知られていなかった伴星(連星をなすもうひとつの恒星)と、
もうひとつの別に長周期の巨大惑星が存在することを発見しました。

すばる望遠鏡がそれぞれ異なる波長で撮影した“HAT-P-7”惑星系。
中心星の左側に移っているのが伴星“HAT-P-7B”。


“HAT-P-7”は、はくちょう座の方向1044光年かなたにある恒星です。
2009年にすばる望遠鏡が、世界で初めて逆行惑星を発見した天体なんですねー

通常、惑星は主星の周りの円盤から形成されるので、
惑星の公転方向は主星の自転方向(円盤の回転方向)と一致するはずです。

すばる望遠鏡が明らかにした逆行惑星系“HAT-P-7”(イメージ図)


でも、“HAT-P-7”の惑星“HAT-P-7b”は、公転方向がそ“の逆である逆行惑星”で、どのようにして逆行軌道になってしまったのかは、まだよく分かっていませんでした。

最近の理論研究では、惑星の公転軸方向が主星の自転軸方向と大きく異なると、
惑星の公転軸は主星の自転軸に合わせて短時間で方向を変えてしまいます。

逆行軌道では、惑星の公転軸方向が主星の自転軸方向と真反対なので、逆行軌道は長期間維持されないと考えられています。

なので、惑星が出来たばかりのころに逆行軌道になったとしても、
なぜ、そのまま現在に至っているのかが説明できないんですねー

研究グループでは、そのプロセスを明らかにするため、2009年からこの惑星系の撮像観測を行ってきました。
その結果、主星“HAT-P-7”と連星系をなす伴星“HAT-P-7B”が見つかります。

そして、さらに惑星“HAT-P-7b”の外側で伴星“HAT-P-7B”よりも内側に、
巨大惑星“HAT-P-7c”があることを確認しています。

伴星や複数の惑星は、お互いに重力的な影響を及ぼします。

古在機構とそれによる惑星移動の概念図。


伴星“HAT-P-7B”や惑星“HAT-P-7c”が、
惑星“HAT-P-7b”に対して古在機構(画像3)という現象を引き起こして、
惑星“HAT-P-7b”の軌道の傾きを少しずつ変化させます。

これにより、主星の自転軸が惑星の公転軸に揃うのを阻み、
惑星“HAT-P-7b”の逆行に至ったというシナリオが考えられることが、
今回の観測から分かったということです。

この結果は、観測による明確な証拠によって、逆行惑星の起源について示唆を与えた初めての結果になるようです。


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