新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

意外かも知れない情報

2024-05-15 07:32:16 | コラム
日本は新聞用紙の世界最大の生産と消費の国だった:

このニュースを紙業タイムス社の週刊誌版Future誌の24年5月20日号に見て、私は思わず「へー。そんな事があったのか」と声を上げてしまった。もしかすると、意外だ等と感じたのは私だけかも知れない。

アメリカでは20年近くも前に土・日に紙の新聞を発行してする会社が無くなり、インターネットの圧力を悲しい程感じさせられていた。これ即ち、印刷(紙)媒体の衰退以外の何物でもなく、アメリカでは新聞用紙の需要も消費も10年程の間に60%以上も減少していた。

私はアメリカというかアメリカ人たちは情報源としては新聞には依存しないという事態になったのだろうと受け止めていた。実際に我が社は2005年に、インターナショナルペーパーは2007年から印刷用紙そのものから撤退を開始していた。我が国と大いに需給の事情が異なっているのだ。

ところが、我が国ではアメリカとは未だに印刷(紙)媒体はアメリカ程には衰退していないようで、紙に印刷された新聞への需要に減少傾向は見られても、需要も消費も精々10数年間に30%程度の減少で収まっていた。即ち、情報源としての新聞への依存度は、速報性ではインターネットやテレビに劣っていても、アメリカ程に激しく低下していないという事。事実、私などは今でも毎朝欠かさずに熟読している。

アメリカの調査機関であるRISIが毎年発行する統計の22年版が、上記のFuture誌に掲載されていたのだった。それによれば、何と生産でも消費でも我が国が1位だったのだ。認識不足と反省すべきか。もともと新聞用紙は担当外の分野だったのそれ程細かい点にまで関心が無かったが、まさか1位だったとは想像も出来ない事だった。その統計を引用してみよう。

22年度の生産量(単位000トン)
1位 日本   1,854 △6.3%
2位 カナダ  1,847 △4.1%
3位 ロシア   982  △17.3%
4位 ドイツ   908  △13.7%
5位 中国    900  +6.4%

6位以下はインド(+43.7%)、フランス(△15.8%)、スウェーデン(△7.6%)、韓国(+6.5%)、ノルウエー(+7.5%)なのだが、アメリカはUKに次ぐ12位で△16.2%なのだ。何故、これほど低位に沈んでいるかは別途説明する。

消費量では1位が我が国で△6.3%、2位がインドで+21.0%、3位は中国で△12.6%、4位はアメリカで△12.0%、5位はドイツで△12.9%、以下UK、韓国、イタリアとマイナスが続き、フランスはプラス、カナダとなっていた。

アメリカが生産量は12位と我が国の20%にもならない少なさにも拘わらず、消費量では4位に上がってくるのには訳がある。それは、長い年月カナダからの輸入紙に依存してきたからである。だから、カナダは生産量では2位でありながら、消費量は10位に下がるのだ。この点はカナダの人口が3,820万人とアメリカの11%程度だという事から考えても解る事だ。

インドの消費が21%も伸びているのは人口が14億と中国を超えた事もあるが、10数年前に紹介したタイ国の製紙会社の経営者の印象的な予言を紹介したので、ここに再録して終わりにしよう。それは「世界中で紙の新聞が消滅する時が来ても、インドだけにはこれまで通りの新聞が残り、需要は続くだろう」というもの。この人物が何を言おうとしたかをお考え願うのも興味深いと思うのだ。



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