新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

11月21日 その2 「The New York Times 拾い読み」の訂正版

2023-11-21 08:12:05 | コラム
昨日のNYTimesの一面の見出しから:

実際の話、我がジムのサロンでジャパンタイムズの後についていたThe New York Timesを見るまでは、この我が国で持て囃されているニューヨーク州の有力な地方紙を見たことがなかった。

これは不思議でも何でもない事で、アメリカに何十年行っていようと、ニューヨークとは無縁の仕事をしていて彼の地を訪れることがなければ、手に取る機会などないのがアメリカの新聞の特質であり実態なのだから。即ち、その州毎の情報のみを取り上げる地方紙が発行されていると言うこと。

昨日はジムで体を動かすことが終わって、帰りのバスまでの時間の余裕があったので、ジャパンタイムズを取りだして広げてみた。NYTの一面で先ず注目したのが”The war turns Gaza into graveyard for children.”だった。これは日本のマスコミも取り上げていたことで「戦争がガザを子供の墓場にしている」という記事なっていたので、ご承知の方はおられると思う。

この件についての報道は、殆どがハマスかパレスチナ側の発信に依っているかのようで、イスラエル側からの情報を余り見た記憶がないので、このNYTの記事の確度乃至は正当性を論じるのは私如きの仕事ではないと思う。

「なるほど。アメリカでもイスラエルの支持を非難する論調が出てきた事を、リベラル派と見られているこの新聞の記事がよく表しているようだ」と思わせられた。この新聞の特徴は確かにアメリカの有力且つ主要な新聞である事で、ニューヨークとは言いながら、アメリカ国内と世界の重大なニュースを主体にして報じている点だと思う。だから、我が国のテレビや新聞が引用する訳だ。

次に目立ったのが、オープンAIのサミュエル・アルトマン(Samuel Altman)CEO解任の記事だった。念のため申し上げておけば、アルトマン氏が「チャットGPTの開発者」である。改めて記事の中身を読んでみれば、突如として解任された理由はBloombergが“「(技術的な側面から)安全性に十分な配慮しないまま事業を急拡大している」とする取締役会メンバーと深刻な対立を招いていたとされる。“とあった。

どうやら、取締役会(Board of directors, BOD)による解任のようだった。アメリカの会社は我が国とは大いに異なっており、取締役会は社内から昇進して役員になった者たちの集まりではなく、社外の企業の経営者等で構成されているのだ。その権限は絶大であり、中には各事業部が提案する運営に関する重要な議題を審議することも含まれている。

私の経験では、これらの提案をする場合には事業部内の全員が総掛かりで、時には取引先等との外部との連絡を後回しにしても、如何にしてより承認されやすいpresentationにするかと、その内容を慎重に言葉遣いにも注意して練り上げていくのだった。非常な緊張を強いられた大変な作業だった。

そこで、アルトマン氏の解任だが、権限を保持するBODが「彼のCEOとしての配慮不足」を理由にして解任したのだ。この辺りにBODの権限が如何に絶大かが示されているではないか。技術的に功績があるCEOでも、上記のような理由を挙げて解任してしまうのだから。後の情報では、アルトマン氏はマイクロソフトに入社したとある。

アルトマン氏が優秀であったことは論を待たないだろうが、彼と言いFacebookのマーク・ザッカーバーグ氏(Mark Zuckerberg)も彼のような優秀な人が多く排出していると言われているユダヤ系の精鋭である。彼らのような優れた人材が、アメリカの知的な業界を牽引しているかのように見える。

そこにイスラエルがハマスのテロ行為に反撃する争い(NYTは「戦争」と表現したが)が、あのような事態に至った辺りに、イスラエル支持だったアメリカの悩み(ジレンマ、dilemma)があるのではなかろうか。


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