新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

日本シリーズ第5戦の観戦記

2016-10-28 08:08:15 | コラム
流れに乗っていたニッポンハムが勝った:

NHKのBSでのテレビ中継の間には、栗山監督が勝利監督インタビューでメンドーサに触れなかったのは不公平ではないかと思って聞いていた。彼の5回2/3の好投が勝利に繋がったと私は評価していたのだから。あの落ちる球に広島の打者は見事に牛耳られていたのだったから。

ところで毎度お馴染みの閃きだが、先発に既に一度失敗している加藤を使ってきたのを見て「これは栗山監督の失敗だが、もしかすると日ハムの勝ちになるのではないか」と出た。案の定、加藤はダメだったが、そこを見事に救ったのがメンドーサだった。あの2回を切り抜けたのを見届けて、日ハムはモメンタムを失わずに済んだと思っていた。

このシリーズはともに足が速く大物打ちではない選手を多く抱えているテイームの争いなので、細かいところで失敗があるとそれが致命傷になってきた試合が続いていた。それの一例が緒方監督の投手起用というか継投の失敗で、昨夜も私が酷評してきたジャクソンが大谷以下を抑えたと思えば、今村が四球を出した為に同点に追いつかれてしまった辺りを言うのだ。あの時に岡が打ち上げた浅いセンターフライを捕った丸の返球は、余裕がありながらあれほど逸れたところにも細かい失敗の例があった。

それにしても、勝負の流れは恐ろしいもので、広島が誇ると言うべきか定型としてきた今村→ジャクソン→中崎と言う逃げ切りリレーが、昨夜も失敗に終わらせてしまったのだ。NHKでは信頼できる解説者の宮本も大野もあの3人は三連投だからそれなりに負担があっただろうと言っていたが、そこに短期決戦の怖さがあるのではないのだろうか。中崎が西川に打たれた投球は明らかに高く、その前に岡に与えた四球とその後の一寸険悪な雰囲気に飲まれた失投かと考えている。

この試合の流れは不思議なもので、広島は相手の新人投手の乱れから1点は取れたが、その後の絶好の追加点の機会をメンドーサに抑え込まれて失って、そこまでであの試合のモメンタムを失ってしまったと私は見ていた。そこであの逸機から先は「閃きが当たれば良いが」と思って観戦していた。私はローテーションに入っていた投手であるメンドーサが良くも中継ぎという役目を引き受けていたものだと密かに感心していた。栗山監督がMLBにいた誇り高き者を説得したのかと、少しばかり感心していた。

私は9回表の広島の好機に石原に代打を出す勇気が緒方監督にあるのかなと思って見ていた。石原は我が国の野球学に言う「リードが上手い捕手」であり、ここまで投手陣を盛り立ててきたことになる。だが、ダルヴィッシュは「MLBでは捕手のリードは気の毒なくらい評価されていない」と、その日米の野球界の文化の違いを語っていた。しかも石原はこのシリーズで無安打だった。控えには松山もいたし、會澤も残っていた。

この決断力の欠如が敗戦に繋がったと言えば少し厳しすぎるかも知れない。だが、結果は逸機で二死満塁サヨナラホームランになる失投のリードとなった。これが勝負の怖さで、緒方監督が初めて味あわされた大試合の難しさだろう。試合後の談話で緒方監督は「相手を乗せてしまった」と言ったとかだが、主語は「自分が」だとすべきだったと言いたい気がする。

だが、これで第6戦に日ハムが大谷を出して勝ってしまうと決めつけるのも早計だと思う。広島は広島で2勝し、日ハムが北海道で3勝したように、両方とも敵地では一度も勝てなかったのだから。日ハムは確かに乗ってきたが、フットボールでオフェンスが調子に乗ってきたところで丁度「タイムアウト」を取られたのと同じで、折角の勢いが不可抗力で止められた危険性もあると私は考えている。残すところは、広島がホームでは勢いを取り戻せるか否かにかかっていると思う。



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