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「因果」を考える (27)
初等物理の気まぐれ考究,物理教育放談
/
2010-10-04 04:43:56
本稿は以下の続きである。
・
07-12-05「因果」を考える
・
07-12-31「因果」を考える (2)
・
08-01-19「因果」を考える (3)
・
08-03-11「因果」を考える (4)
・
08-04-10「因果」を考える (5)
・
08-04-30「因果」を考える (6)
・
08-05-09「因果」を考える (7)
・
08-05-27「因果」を考える (8)
・
08-06-29「因果」を考える (9)
・
08-08-28「因果」を考える (10)
・
08-09-07「因果」を考える (11)
・
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・
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・
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・
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09-05-12「因果」を考える (19-b)
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・
09-07-31「因果」を考える (21)
・
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・
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・
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・
10-04-26「因果」を考える (24)
・
10-06-07「因果」を考える (25)
・
10-08-10「因果」を考える (26)
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『水槽に体積Vの砂利を投入すると、水槽の水位が V/(水槽の面積) だけ上昇する結果が生じる.』という因果関係の、因果をつなぐ機構のところを、時間的に発展する物理現象に立ち入らずに表現するならば、以下のようなことになるだろう。
[因果をつなぐ系]:
『地上(の重力環境中)に、漏れなく水を溜めた、上方が開口した一定の水平断面積Sをもつ容器が置かれていて、その容器中に総体積Vの(水と反応しない)物体を沈めるときに成立する「水槽の水位がV/S だけ上昇した状態に至る」という定量的な関係.』
前半の「漏れなく~」で始まる断り書きのような記述は、その後に書いてある関係式を成立させるための物理的な条件として重要であるが、地上では暗黙の前提条件と言ってもよく、表現から省略することも許されるだろう。
そうとなれば、
水位上昇 = V/S (*)
という関係式自体が、因果をつなぐ系の役目を果たしている、というとらえ方もできそうだ。
---------------
この(*)の式自体は、小学校の算数に登場するような簡単な関係式である。
しかし、この式を、単に試験問題の答えのように書けることと、実際の「事象」に関する予測・推察・究明・対策などに活用できることとの間には、大きな隔たりがある。そうした活用のためには、時間的および論理的因果との関係の視点から、この式の意味するところを、あらためて熟考する必要がある、、このようないきさつで、今の話に至っている。
さて、(*)式を単に数学公式のように見るとき、その式が成立するための条件は、式とは別途に、設定・確認されるべきものとなっている。その条件とは、例えば、水槽が地上の一様重力場中にあって、投入される物体の比重は1より大きく、水と反応することはなく、体積Vの分だけは水面下に完全に沈むというようなことであるし、また、水面の波立ちはいずれおさまって、その時点の水位を問題にするという約束であるし、さらに大切なことは、水位を変動させる他の原因は無いという保証である。算数の授業では、「そのような条件が全て整った上で」という前提を想定して、そのときに、この関係式が導ける(あるいは知っている)かどうかを問うわけである。
しかし、物理事象に適用して考えるとなれば、この前提が成り立つかどうかを調べることが、重大・本質の課題となる。そして、物理的な立場で(*)式を書くということは、数学的な式変形を問題にするのではなく、まさにこうした前提条件が成り立っていることを宣言するという意味をもつのである。
ここまでくると、時間変遷を考慮の外に出した(*)式は、論理的な因果の逆に堪える関係を与えていることが見えてくる。
<ing>
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