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「因果」を考える (5)
初等物理の気まぐれ考究,物理教育放談
/
2008-04-10 07:08:29
本稿は以下の続きである。
・
07-12-05「因果」を考える
・
07-12-31「因果」を考える (2)
・
08-01-19「因果」を考える (3)
・
08-03-11「因果」を考える (4)
-----
前回、「因果」という認識が生じるときの本質的要件にかなり迫った。ここをもっと掘り下げるため、基礎物理現象のモデルを使って考察を進めようと思っていたのだが、丁寧に書いていく時間がとれないこともあって(--; 既に登場させた素朴な状況設定:「水漏れ水路モデル」(と勝手に命名)を再登場させ、イメージを説明する方針をとろうと思う。
---
<再掲図>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
⇒ 水流 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒
~~~~~~~~~~~~~~~~| |~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
実は、この図を使った
以前の説明
では、あえて曖昧にしていたところがある。「穴から水が漏れ出す」とか「出口の流量が減ってしまう」(また、「穴が生じる」を否定の形で使ったりもした)などの表現においては、状況に変化があることが(暗に)意識されているが、-その変化が何によってどのように引き起こされるか-という問題には触れなかった(そこが気になった慧眼な方もいると思う)。実はそこが鍵だったのだ。
上の図が表す物理現象は、図に見えている〔入口-漏れ口-出口〕という一連の機構の外側に、〔水を送り込む要素〕,〔水の漏れ口の状況を決定する要素〕,〔水の排水口の状況を決定する要素〕、という三つの要素があって成り立っている。今、送り込む側は安定・不変であるとして考慮から外すならば、漏れ口と出口それぞれの水の流量を制限する要因が考慮すべき対象だ。これら要因を、具体的にイメージするなら、それぞれの口にシャッターのような機構を設け、それが開閉する仕組みまで考えるということだ。
シンプルな場合として、(駆動装置などで動かされるのではなく)自重のために適当な力で閉まろうとするヒンジのような水門を考えても良い(右下図)。
何かの拍子で、出口側が閉まり加減になっている時には、漏れ口側では、その分少し開きぎみになっているだろう。漏れ口側が少し閉じ加減になっている瞬間には、出口側は少し開きぎみになっているはずだ。流体系は不安定状態をつくりがちなので、それぞれの開閉は逆相関をもって不規則振動的に変動するかも知れない。そう、このような時、漏れる水と出る水は、相互依存的に「依る」の関係でつながってはいるが、どちらからどちらへ向かうというような因果関係の存在しない状況になっている。
さて、ところが、非保存的な外力によってシャッターが開閉されるとしてみよう。具体的に言えば、摩擦力のために容易には動かないシャッター水門をモーターの駆動力か何かによって強制的に開閉する状況だ。この水門を漏れ口側にとりつけたとすれば、例えば、「漏れ口の水門を開けたことが原因となって、出口側の流出水量が減る」ということが起きるだろう。また、出口側にとりつけたとすれば、「出口側の水門を強制的に絞ったことが原因となって、漏れ口での漏れ水量が増す結果を招く」というようなことが起きるだろう。明らかに、このようないずれの状況も、原因から結果に至る因果関係そのものになっている。
<ing>
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