はぎわら_m の部屋
社会・時事批評、オピニオン、初等物理の気まぐれ考究、物理教育放談

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本稿は以下の続きである。

07-12-05「因果」を考える
07-12-31「因果」を考える (2)
08-01-19「因果」を考える (3)
08-03-11「因果」を考える (4)
08-04-10「因果」を考える (5)
08-04-30「因果」を考える (6)
08-05-09「因果」を考える (7)
08-05-27「因果」を考える (8)
08-06-29「因果」を考える (9)
08-08-28「因果」を考える (10)
08-09-07「因果」を考える (11)
08-09-30「因果」を考える (12)
08-10-06「因果」を考える (12-b)
08-10-19「因果」を考える (13)
08-11-10「因果」を考える (14)
08-11-30「因果」を考える (15)
08-12-24「因果」を考える (16)
09-01-24「因果」を考える (17)
09-02-12「因果」を考える (18)

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以下の今回の記述は、本来、前回の「因果」を考える(18)の〔付記2〕に相当するが、かなり時間が経ってしまったので、一応別項の形で掲載する。本論ではないので、読み飛ばしてもかまわない。
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さて、前回考察した、因果の認識の仕方の構築の任意性のことを意識すると、先の1月24日の稿で示した、世界記録のドミノ倒し(ドミノデイ2008)におけの因果関係の記述の仕方にも再考の余地があることが分かってくる。これまで我々は、物理現象としてのドミノの連鎖運動を興味の中心に置いて、そのことと密接につながった原因系と結果系としての外部系を、控えめに考慮に入れるという方針をとってきた。しかし、今あらためて振り返ると、ドミノ倒し大会のイベントで為された最も重大な作業は、ドミノの列を大規模・周到に設置したことであり、さらにまた、それを実現すべく動いた興行的・エンターテイメント産業的な事業活動であると見なす方が相応しいように思えてくる。

このように、物理現象の視点から解き放たれるならば、次のような認識が可能になる。

[原因系]:
ドミノデイ2008において、世界的な注目を集めるドミノ倒しのイベントを成立させることを目論んでテレビ局とタイアップしたスポンサーの出資を受け、世界記録級の大規模ドミノ倒しが設置されること.
(+)その上で、11月14日の*時*分に(Salima Peippoさんにより)、ドミノ倒し開始のトリガー操作が行われること.

[因果をつなぐ系]:
種々の仕掛け等を含むドミノ倒しの連鎖機構、さらにその様子がTV放映され、視聴者にビジュアルな情報が伝わるまでの複合的なプロセス.

[結果系]:
世界記録4,345,027個以上を倒すドミノ倒しが成功し、***人程度の視聴者を獲得するテレビ番組が成り立って、出資者の投資効果に見合う宣伝効果が発揮されること.


まさに資本主義どっぷりの因果認識であるが、ドミノの設置に没頭しその成功に涙する青年諸氏がいる一方で、彼らを単にイベント事業のアイテムように見て、上のようなクールな因果認識をしている人が必ずいる。技術者と経営者の関係の縮図を教えてくれるようなこうした見方を、時には意識しておくことも大切だろう。
<ing>

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