僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

宇宙の公開模擬テスト

2006年06月28日 | SF小説ハートマン
「ひろし~、ねぇひろし~、いるのぉ~。」
ママの声だ、怒ってないけど興奮してるみたいだ。僕はタイヤ交換中のミニ四駆をそっと箱に戻して玄関に出ていった。

「何だよ、大きな声出して。近所迷惑だよ。なーに?」
「あら、やーね、ごめんなさい。でも宇宙、頑張ったじゃない今度のテスト。」
「えー、何のこと?」
「こないだの公開テストよ、成績上がったわよ~、ほら。」

ママは僕に公開模擬テストの成績表を見せた。
幼児教室で月1回ずつやってる小学校入試のテストのことだ。僕は大体Cランクか、たまにBランクに入ってる。

順番は気にしないで下さい、弱点を見つけることが大切ですよ、て吉田先生が言ってるのを聞いたことがある。でもママは順番をすごーく気にするタイプだ。成績表が出るといつも「ああ、やっぱりね。」とか、「まったくぅ。」とか言ってため息をついたりする。
怒ったりはしないけどがっかりしたママの姿が結構ボクにはプレッシャーになる。テストは嫌いじゃないけど、難しい問題だったりすると何となくママの顔が浮かんできちゃったりするんだ。

「見てごらん宇宙、高原大学附属。ほら合格有望圏よ。Aランクだし。」
「ホントだ、初めてのAランク。やったね!」
「ママうれしいわー、お夕飯頑張っちゃおうかしら。」
何でもいいけどママが頑張っちゃってくれるとボクもうれしい。ママがうきうきしてるとお父さんもニコニコして一家みなHAPPYって訳だ。

でもちょっと気になることがあって、すぐに部屋に戻るとトントに話しかけた。   つづく
コメント
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