Cape Fear、in JAPAN

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待つ、ことの快楽(1) ~2017年の映画を総括~

2017-12-02 00:10:00 | コラム
本年度の総括、最後はもちろん映画。

きょうから3日間は、個人的18傑の短評を載せていく。

最後の4日目に、項目別の総括を展開することにしよう。

第1日目のきょうは、「17年度に公開された劇場映画の第18位~第13位」。

では、いくぜ!!


第13位『猿の惑星:聖戦記』(トップ画像)

前日譚を描くタイプの映画で、内容面・興行面ともに成功している稀有なシリーズの完結編。

回を追うごとにシーザーの状況は過酷さを極め、観ていて辛くなるほど。

ノヴァを演じた子役の可憐さにホッとさせられるが、これがつながるのは2000年後の第1作目?? などとツッコむのは野暮というものだろう、
実際に「きっちり」つながるようには創っていないし、
優れたエンタメを堪能しつつ、我々「ヒト」はいつの時代も愚かなんだな…と呟いてみせるのが、このシリーズの最も理想的な楽しみかただと思う。

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第14位『アンチポルノ』

憂鬱な朝をむかえた小説家の京子と、彼女に「ひたすら」従順なマネージャーの典子。
ふたりの関係性を見つめつつ、「ポルノというジャンルのおわり」というテーマを浮かび上がらせる。

「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」で一際異彩を放った、園子温による野心作。



「リブート」の企画そのものに疑問を感じていた園監督は、敢えてタイトルに「アンチ」を冠し、自身の表現姿勢を明確にした。
が、それ以上に強烈なインパクトを残したのは、筒井真理子だったと思う

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第15位『ノクターナル・アニマルズ』

20年も前に離婚した元夫から、『夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)』という自作小説が送られてきて困惑するスーザン。

彼女に捧げられたというその小説は、妻子を殺され、復讐に燃える男・・・というものだった。

映像感覚に優れたファッションデザイナー、トム・フォードによる監督第2作。



冒頭でのけぞること必至、フォードがファッション界においてどれだけの評価を受けているのかは知らないが、映画好きの誰もが「はやくこっちにおいで」と思っているはずである。

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第16位『アウトレイジ 最終章』

長い迷走期を経て再び精力的に映画を発表しつづける、北野武流『仁義なき戦い』の完結編。




多くの観客が感じたように、武自身が『ソナチネ』のにおいに「寄せる」意図があったようで、虚無感にちかい空気漂うクライマックスは、映画ならではの感慨に浸ることが出来る。

ただ、このシリーズには「殺しかたの面白さ」を追究するようなところがあったはず、そういう意味での新鮮な驚きは、3部作のなかで最も弱かった―という不満はある。

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第17位『ラ・ラ・ランド』

「この先どうなるか分からないからこそ、夢追い人が必要」

期待の俊英、デイミアン・チャゼルによるクラシカル―それでいて、現代的な顔もみせるミュージカル。

派手な演出や、起伏に富んだストーリーを期待していた向きには不評だったようだが、
チャーミングなエマ・ストーンと、男前なライアン・ゴズリングの歌とダンスに触れて、このジャンルに関してだけは、ほかのどの国でも太刀打ち出来ないハリウッドの強さを痛感、もはや悔しさも抱けないのであった―。

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第18位『ゲット・アウト』

白人の彼女の家に招待された黒人青年に降りかかる、奇々怪々な出来事とは・・・。

人種問題をメインテーマにした、技ありの新感覚ホラー。

80年代に『ミスター・ソウルマン』というコメディがあって、創りは雑だが、それでも人種問題の核心を突いており、おおいに感心した記憶が残っている。
『ゲット・アウト』が面白いのは、このテーマを「ジャンル映画」で描いたところだろう。

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明日のコラムは・・・

『待つ、ことの快楽(2) ~2017年の映画を総括~』
コメント (1)
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