Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

にっぽん男優列伝(239)寺尾聰

2014-08-09 00:30:00 | コラム
47年5月18日生まれ・現在67歳。
横浜出身。

公式サイト


後期の黒澤映画に連続出演を果たした寺尾聰(てらお・あきら)さん。
うちの父親は「なぜ、このひとが?」と、ずっと疑問を抱いていたそうです。
「いた」というか、現在もそう思っているみたいですね。

そのくらい、三船の存在は大きかった―ともいえると思うのですけれど、では自分はどう捉えたかというと、父親から何度も何度もそう聞いたから、、、というのもあるのでしょう、『乱』(85)の一文字太郎孝虎に違和感を覚えたことはたしかです。
しかし、つづく『夢』(90)の「私」は、ひじょうに自然でした。
この映画を観て、黒澤がなぜ寺尾さんを起用したのか、なんとなく、なんとなくではありますが、分かったような気がしました。

とはいえ。
自分の世代では「ぎりぎり」ではありますが、俳優としてより、まずミュージシャンとして有名ですよね。




<経歴>

父親は俳優の宇野重吉。
リンクした動画でも言及されていますが、たしかに歳を取る毎に似てきたような気がします。

60年代前半―。
いくつかのバンドにベーシストとして参加、音楽業界ではそこそこ知られる存在になった68年、『黒部の太陽』で映画俳優デビューを飾る。

これがきっかけで石原軍団の一員になりました。
音楽を始める前から俳優業への興味は持っていたようで、ほんとうは父親が主宰する劇団民藝に「研修生として」入団したかったそうです。
しかし「たとえ研修生だったとしても、周りには七光りに映る」と父親は拒否、その代わり裕次郎を紹介されたのだとか。

『愛の化石』(70)、『甦える大地』(71)、『同胞』(75)、『サチコの幸』(76)、『分校日記 イーハトーブの赤い屋根』(78)、『迷走地図』(83)など映画出演もつづけましたが、このころは主にテレビドラマ―『大都会』(76、日本テレビ)、『西部警察』(79~82、テレビ朝日)―で活躍。

また、山田洋次の『寅さん』シリーズに「まったく異なるキャラクター」として・・・

観光係員役の『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』(76)、
巡査役の『男はつらいよ 寅次郎と殿様』(77)、
一男役の『男はつらいよ 寅次郎の休日』(90)、

・・・3度出演した珍しいキャリアを持っています。

81年、誰もが知っている『ルビーの指環』が大ヒットを記録。
現在の自分だって歌詞を丸ごと覚えていますもの、すごいことだと思います。

80年代なかごろに石原軍団を脱退、そして85年に黒澤に起用されて『乱』に出演。
『夢』(90)、『まあだだよ』(93)、さらに黒澤の脚本をもとにした『雨あがる』(2000)でも主演を務めました。

そのほかの出演作に・・・
『テイク・イット・イージー』(86)、『星の牧場』(87)、『ロックよ、静かに流れよ』(88)、
『新宿欲望探偵』(94)、『失楽園』(97)、『キャッツ・アイ』(97)、
『サトラレ』(2001)、『日本の黒い夏─冤罪』(2001)、『東京マリーゴールド』(2001)、『阿弥陀堂だより』(2002)、『半落ち』(2003)、『亡国のイージス』(2005)、『博士の愛した数式』(2006)、『魂萌え!』(2007)、『さまよう刃』(2009)。

とくに『半落ち』や『さまよう刃』のような、社会を撃つタイプの野心的な映画に意欲的で、個人的な評価をいえば、黒澤作品に出ていたころの寺尾さんより、現在の寺尾さんのほうが俳優としては好きですね~。


次回のにっぽん男優列伝は、寺島進さんから。

…………………………………………

本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『階段VSエレベーター:前篇』

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする