Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(59)

2013-11-25 00:30:00 | コラム
み「ら」→「ら」んぼー(ランボー)

スライことシルベスター・スタローンの代表作『ランボー』シリーズ(82~2008)が、当初のタイトル『First Blood』より「直接的な日本版タイトルのほうがインパクトがある」と米国側に評価され、以降の続編で『Rambo』と表記されるようになったのは有名な話。

邦題は「センスねぇ!」と評されることが多いので、こんなこともあるのだなぁと感心する。

シリーズを重ねる毎に派手さを増していくのはスライのもうひとつの代表作『ロッキー』シリーズ(76~2006)と同様だが、
『ロッキー』はともかく、『ランボー』は当初、続編制作の発想さえなかった。

なぜなら原作、そして映画化のための脚本完成稿でも、結末でランボーが死んでいたからである。


ベトナム帰還兵が様々な後遺症を患い、その後の人生をマトモに送ることが出来ない―という物語は、70年代後半から80年代の米映画で沢山描かれてきた。

自分の「神」映画『タクシードライバー』(76)のトラビスもそうだし、
『ディア・ハンター』(78)のニック(クリストファー・ウォーケン)が静かに狂ったのもベトナムの所為、
『リーサル・ウェポン』シリーズ(87~98)のリッグスだってベトナム上がりだし、
挙げていくと切りがない。

その点に鋭く斬り込んだ、ある映画批評家は「ベトナム戦争の“おかげで”傑作映画が沢山生まれた。皮肉なものである」と評し、映画少年だった自分は反感を覚えつつも、そうかもしれないよなぁ、、、などと思った。


帰還したランボーに降りかかる災難は不条理の極みで、同情を禁じ得ない。

ただ町を歩いていただけなのに警官に難癖をつけられ、いびられ、ついには爆発する。
1作目で森のなかに逃げ込んだランボーは、かつての上司・トラウトマン大佐に悲しみを吐露し、自害しようとする。
しかし失敗、トラウトマンにより射殺された―というのが、ほんとうの結末だった。

しかしこれがテスト試写で不評を買い、結末を変更。
ランボーは生き延び、そしてスライ人気の加速もあって続編が制作されることが決定したのである。

以降、ランボーは悲劇の主人公からスーパーヒーローへと変貌を遂げていく。
愛する女性を殺されたり旧ソ連で暴れたり、いろいろあるが、よく考えたら、いや、よく考えなくてもトラウトマンの口車に乗って起こった災難であり、上司というだけでトラウトマンはひどいことしやがるなぁ、、、なんて、映画小僧はジョークをいい合ったりするのだ。


ちなみにランボー役は、当初スティーブ・マックィーンが演じるはずだった。
バイクのアクションシーンが見せ場であるから、なるほどとは思うが、歳を取り過ぎていると判断されたらしい。

それはそれで面白そう・・・いやしかし、結果としては「フレッシュなのに、苦悩しているキャラが似合う」スライで正解だったのだろう。
何度か書いているが、好敵手シュワと比べ「暗そう」「性格悪そう」と評されるスライだが、個人的には彼のほうが好きだ。
シュワはコメディも演じらるし政治家にだってなれるが、スライはそうはいかない。
何度かコメディにチャレンジするも「なかったことにしたい」くらいひどい出来だったし、その不器用さに共感を覚える。

それに俳優としては一辺倒かもしれないが、じつは演出が出来ちゃうという才能を持つ。
だからもう少し評価されてもいいんじゃね? と、ファンは思うのだ。


※あなたのハートには、なにが残りましたか





あすのしりとりは・・・
らん「ぼー」→「ぼー」んとぅびーわいるど。

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コメント (1)
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