prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ブラッド・ダイヤモンド」

2007年05月08日 | 映画
松本 仁一著の「カラシニコフ」で家族を奪われカラシニコフ自動小銃で武装させられた少年兵の存在は知ってはいたが、具体的にスクリーンで見ると、特に父親に向って銃を向けるシーンはショッキング。
ハリウッド映画としてはぎりぎりの表現だろう。実際の悲惨さはそんなものではないだろうが、それを改めてしたり顔で指摘してみせても仕方ない。
アフリカの悲惨をまたハリウッド映画が「商売」にしていると非難してみせるのもまた。

「小さな大量破壊兵器」とも言われ、実際もっとも多くの人間を殺してきた銃であるだろうカラシニコフを少年兵を含む武装勢力が一斉に撃ちまくるシーンの特殊視覚効果と音響は、なんだかいてもたってもいられないような怖さ。

レオナルド・ディカプリオがまだ悪人である分、人間的であるようなキャラクターをすっかり青っぽさをぬぐって好演。ジャングルにいると山猫みたいだな、と思った。
アフリカの悲惨さの根源である肥大化した資本主義と権力のメカニズムだけに則って動く自動人形のような「将軍」だの「外国資本」などの連中は、非人間的になりすぎてもはや悪「人」ですらないような気がする。ことはシステムやメカニズムの問題で、彼らが改心すれば物事がいくらかでも改善するというレベルではない。

ダイヤモンドの価格が「作られた」ものであることは知っていたが、それが取り引きさる間にどれだけ血塗られてきたかを見せられてからだと、ウィンドーに飾られているダイヤのネックレスがなんだか悪い冗談のように見える。

本物のアフリカ生まれであるジャイモン・フンスーの顔や体型は、同じ黒人でも「アフリカ系」アメリカ人とは違う感じ。

主要な白人のキャラクターがジェニファー・コネリー(この人もうまく年取った)を除いて、全部アフリカ生まれなのが興味深い。アフリカは黒人のものというばかりでなく、そこに混ざり定着した白人のものでもあることを教える。白人が奪ったものを黒人に返してやればいいとでもいった調子で部族社会をそのまま安直に独立国とスライドするのを認めたのが、今の悲惨の一因になってもいるのだろう。
(☆☆☆★★)




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