prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「山河あり」

2024年04月17日 | 映画
1962年、つまり60年以上前の製作。
「地平線」「愛と哀しみの旅路」「波の盆」はおろか山崎豊子「二つの祖国」原作の大河ドラマ「山河燃ゆ」より前(日系人アメリカ市民同盟がNHK協議して改題したというが、この映画からつけたのではないか)
戦前にハワイに移住した日系一世とその子供たちの二世がまだ現役の時代ということになるだろう。

高峰秀子と田村高廣の息子がミッキー・カーチスだとはわからなかった。どうもバタ臭いマスクだと思ったら。
アメリカ側の差別意識や排日運動について描き込まれていないのは日系人社会内部に限られた話だからとはいえ、不足感はある。

高峰秀子とミッキー・カーチスが日本の田舎に帰郷したら日米が開戦して帰れなくなり、二世のカーチスが「アメリカ人」だと逮捕され収容所に入れられるという角度から日系人を扱ったのは珍しい。アメリカでも日系人を強制収容したはずだが、そのあたりは曖昧。

シネマスコープの横長画面で横移動撮影が多用されていて、ハワイロケの農地の広大さを活かす一方、出征していく石濱朗を小林桂樹と桑野みゆきが追う大移動など、この映画の企画担当の木下恵介の戦時中の「陸軍」のクライマックスを思わせる。

ハワイが舞台とあって後半は自ずと真珠湾攻撃になるが、逆に具体的な爆発などの描写は省略してあわただしく行き来する自動車などで替えている。

日系二世部隊が日本軍と戦ったと思わせるきらいがある。上層部が対日戦に投入するのは警戒してヨーロッパ戦線に投入したはず。





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