prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「恐怖の報酬」(2024)

2024年04月02日 | 映画
もともとちょっとの衝撃で爆発するニトログリセリンをトラックで運ぶという基本的設定自体、クルーゾー版の時代(1953)ならいざ知らず現代でやるのはムリがある。
爆風で油田火災を消すのだったら比較的安全なダイナマイトを使うなり、実際にやっているように戦闘機用ジェットエンジンのジェット気流で消し止めるなりすればいいのにと思ってしまう。

現代化に伴って太陽光発電なんてやっているのだから石油に頼りきってはいないわけで、どうにもムリがある。

本当はダイナマイトが発明されたのは1866年なので、20世紀にはとっくに一応安全に扱えたわけで、フリードキンによるリメイクの一時間半版では保管してあったダイナマイトはゲリラに奪われてしまって残されたダイナマイトはニトロが珪藻土から分離していて危険な状態に逆戻りという設定でフォローしていたのが、二時間の「完全版」ではそれがカットされているという妙な状態で、その他一時間半版では二時間版にはないカットがオープニングとエンディングのヘリコプターショット他いくつかあった。

フリードキン版(1977)に続くこの二度目のリメイクでは運転手のひとりが女になるというので「マッドマックス 怒りのデスロード」みたいになるのかと思ったら、そういうわけでもなく、NGOという設定。
四人のドライバーのうち二人が兄弟というのもこれまでと違う。

誘爆するといけないから一台トラックが出発してから距離と時間をとってまた一台出るのを守ってない。
あんなに接近して走ったら万一のとき巻き添えくうに決まっているではないか。
兄弟が一人一台分乗して、女を含む二人がオブザーバーとして別の一台に乗るというのも意図がわからない。

ニトロのそばでドンパチやるなよな。

余談になるが、クルーゾー版のイヴ・モンタンとシャルル・ヴァネル以外の二人のペーター・ファン・アイクとファルコ・ルリは特に説明していないがそれぞれドイツ人とイタリア人で、つまり第二次大戦の枢軸国側だ。
はみ出た立場の人間という設定だろう。