セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「女神は二度微笑む」

2016-01-11 14:09:17 | 外国映画
 しずくさんのブログ「New しずくの水瓶」で紹介されてた作品、インド映画に
興味があるので早速観てみました。

 「女神は二度微笑む」(「KAHAANI 」、2012年、印)
   監督 スジョイ・ゴーシュ
   脚本 スジョイ・ゴーシュ
   音楽 ヴィシャール・シェーカル
   出演 ヴィディヤー・バラン
       パラムブラト・チャテルジー
       ナワーズッディーン・シッディーキー
   スタッフ・キャスト詳細、英語版
   https://en.wikipedia.org/wiki/Kahaani
   (配給元へ>「バルフィ!人生に唄えば」もそうだったけど、スタッフ・キャ
   スト紹介はもう少し丁寧に)

 コルカタ(カルカッタ)へ行方不明になった夫を探しにイギリスからやって来た
ヴィディヤ。
 それが2年前に起きたインド版「地下鉄サリン事件」解決への手掛かりに・・。
 予告編
 https://www.youtube.com/watch?v=JHMESCB_-UQ

 インド映画、初めてのサスペンス作品でした。ハードボイルド的哀愁も有って、
かなり面白かったです。
 相変わらずヒロインは美人で魅力的だし。(笑)
 でも、観た後、何か釈然としないものが・・・。
 中盤、TVの「火曜サスペンス」みたいな展開はラストのオチで納得出来たし、
サスペンスとして観れば上出来。
 只、推理ものとして、やってはいけない事をやってる、そこが引っ掛かった。
 推理ものでミスリードは当たり前ですが、「嘘」でミスリードするのはルール違
反、推理モノとして0点になります。
(ある事ではなく、ある物です)
 ミスリードの塊のような「鍵泥棒のメソッド」だって「嘘」は一つもついてなく観
客が勝手に思い込むだけ、反対に「シャレード」の場合、グラントの正体は嘘を
重ねる事で観客に「嘘」と解らせてる。
 この作品、探偵モノ要素が多分に有るから、これ以上、何を書いてもヒントに
なってしまうので書けませんが、あの「嘘」は幾らでも他にやりようが有ったんじ
ゃないかな。
 そこさえ解決してれば相当素晴らしい作品になっただけに、非常に残念な気
分が残ります。
 (インド映画だから、このレベルでOKなのか解らなかったのですが、リアルに
観るとオカシイと思って、ずっと引っ掛かってたから、オチはそれ程、意外では
無かったです)
 もう一つ、殺し屋とヒロインのファースト・コンタクト。
 あれだけ冷酷な殺し屋さんだけに、かなりのご都合主義を感じました。
 特にIntermission直前の映像は、インド的サービス精神の暴走でしょう。(笑)
 (予告編でも使ってる(笑))

 率直に言えば欠点(致命的と言える程)の多い作品。
 それでも、コルコタの猥雑で飾らない風景、土着的で民族性豊かな祭礼の雰
囲気、それらを背景にした哀愁含みのサスペンスは中々見応えがありました。
 俳優陣も、情報局次長さんが紋切り型の「いかにも」だった以外は、皆、好演
してると思います。
 最初の方で書いた通り、ヒロインのヴィディヤー・バラン は美人で大人の魅力
が有って素晴らしかったです。

 しずくさん、面白い作品を教えてくれて「ありがとう」、観られてよかったです。

※失踪した夫を訪ねてみたら正体不明というのは「シャレード」を、カーニバル
 の裏道の静寂、路面電車の車庫、そこで起こる殺人は「黒いオルフェ」を、そ
 れぞれ連想しました。
※メイクに関しては「バルフィ!人生に唄えば」で、まだまだ欧米に比べ「いい
 加減」と思ってたので、これがリアルなのかインド的テキトーなのか判断しか
 ねた。
※しずくさんも書いておられますが、タイトルがイマイチに思えます。
 僕だっら「ヴィディヤの物語」かな。(汗)

 H28.1.10
 DVD

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 ファム・ファタル このコルカタに 舞い降りて
   ドゥルガーの神と ともに去りゆく
 
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3 コメント

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こちらへ返信しますね🎶 (しずく)
2016-01-15 16:50:11
鉦鼓亭さん、丁寧なコメントを本当にありがとうございました。ちっとも迷惑などではありませんから、お気遣いなく!
返信が遅れるのはお許し下さいね。


>嘘によるミスリードが強引なので、アンフェアという引っ掛かりが取れません

ネタバレをしないでブログにサスペンス物の感想を書くのに気を遣われたのでしょう。私はあまり気にせずに書く人なので・・・。ミスリードの件は写真を巡っての事だとは分かりましたが、きちんと説明してもらい助かりました。でも、私は(あ、メガネを取ると似てないや)ですませられました。
如何せん、引っ掛かかるモノはしょうがないですよ~(笑)。どんな感想を持とうが自由ですもの。私も昨日『道』を観た感想に突飛な解釈を書きました(笑)。
つい先日、アガサの作品を推理作家さんらを交えて5人ぐらいで話すTV番組があり、ちょっとだけ関連する話題がありました。アガサはそれまで推理作家さんがやってはいけないおきて破りで事件を解決してゆく手法を使ったらしいのです。そのことで当時の作家がアガサをかなり非難しましたが、彼女の作品は爆発的に人気となり売り上げも伸ばし、今ではミステリーの女王といわれるまでになった経緯があったようです。

>初登場の時から妊婦にしては顔が荒れてなく綺麗すぎる気がしたのと、大きいお腹、インドの暑さの割に汗かかない人なんで、最初から最後まで少し疑っていました

私は最後の最後までころっと騙されちゃいましたから、それだけに「やってくれたね」の爽快感も味わえましたよ。更に、彼女が殉死した夫の仇打ちに来たと分かり、カッコいいと素直に思いました。
妊婦には疑いの目なぞ誰も持ちませんものね。そこが盲点でした!

>夫が買ってくると言っていた事を思い出したのと、ラナの心のこもった思いやりを裏切ってる事の罪悪感が重なったんじゃないかなと思いました。

なるほど、サリーを着る時のとまどいは伏線だったのかぁ~。でも、うしろめたさというより夫がすでに死んでいるのだからめでたいサリーの服を着ることはないという、複雑な心境もあったはずですよ。勿論ラナの温かみも感じたはず。

>殺し屋とヒロインのファースト・コンタクト。
 あれだけ冷酷な殺し屋さんだけに、かなりのご都合主義を感じました。
 特にIntermission直前の映像は、インド的サービス精神の暴走でしょう。

一介の主婦、しかもたかが妊婦で何ができるのかと侮っていたと思いますよ。そこが彼女のねらい目!

「友情」はユーチューブで早速聴きました!歌詞に魅かれました。教えていただきありがとうございました。

>ジョー・ブラックも「替わり」なんか置かず、ヴィディアのように黙って思い出だけ残して去ってほしかった。

本当にそうです。まったくもう潔さがないんだから ・・・。

★ファム・ファタル このコルカタに舞い降りドゥルガーの神とともに去りゆく

「ヴィディヤの物語」の題もこちらの歌と重なりますね。
使われた邦題より本作に近い印象で素敵!
でも、サスペンスだから興行的には難しいかも???

「バルフィ!人生に唄えば」はいつか観てみます。

長いお付き合いありがとうございました。




返信する
取り急ぎ (鉦鼓亭)
2016-01-15 19:26:11
しずくさん、コメントありがとうございます

今日は20時に店を閉め、急いで隣町の名画座へ滑り込む予定で(20:45~「無防備都市」今月のお題)、帰りは遅くなります。
土、日も町内の仕事と他の事が重なり、両日とも遅くなりそう。(酔っ払ってるし~汗)
なので、お返事は月曜日にさせて下さい。
遅くなって申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。
返信する
大変、遅くなりました (鉦鼓亭)
2016-01-18 23:07:54
 しずくさん
 ご返事が遅くなり、すいませんでした

なるべくネタバレしないように書いたら、どちらとも取れるようになってました、我ながら文章力に汗たらたらです。
やっぱり、どうしても引っ掛かるのですが、2回目以降は、それと解っているので気にしないようにしています。
あのアガサでさえ、そう言われていたのですか・・・知りませんでした。

ころっと騙されちゃいましたから>
僕は人間が悪いもので(汗)、サスペンス・推理系は皆、疑って見ちゃう、それもあって最初から気に掛ってました。
でも核心を当てたなんて事は皆無で、推理力はまるで無いですね。(笑)

複雑な心境>
あの時、いろんな思いが一遍に押し寄せて来たんじゃないでしょうか。

そこが彼女のねらい目!>
殺し屋さんでさえ、まんまと・・でした。(笑)

「友情」>
長い曲を聴いて頂き、ありがとうございました。
♪背中にかくしたナイフの意味を 問わないことが友情だろうか♪
ここの歌詞が大好きなんです。

本当にそうです。まったくもう潔さがないんだから ・・・。>
アンハッピーのニューシネマ世代、僕は、その一番最後辺りですから、最近のハリウッドの何でもハッピーエンド(メジャー系)には、ちょっと白けてしまいます。
「女神は~」の観終わった後の「やるせなさ」、「にが味」、そこがこの作品の一番大好きな所です。

でも、サスペンスだから興行的には難しいかも???>
そうですね。でも、多くの人はミスリードされる気が。(希望的観測~笑)

「バルフィ!人生に唄えば」、150分の作品ですから、時間のある時、気の向いた時に。
またインド映画で面白いのが有ったら、教えて下さい。

コメント、ありがとうございました!!



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