セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「アパートの鍵貸します」

2016-01-04 22:42:59 | 外国映画
 「アパートの鍵貸します」(「The Apartment」、1960年、米)
   監督 ビリー・ワイルダー
   脚本 ビリー・ワイルダー
       I・A・L・ダイアモンド
   撮影 ジョセフ・ラシェル
   美術 アレクサンドル・トローネ
   音楽 アドルフ・ドイッチェ
   編集 ダニエル・マンデル
   出演 ジャック・レモン
       シャーリー・マックレーン
       フレッド・マクマレイ

 NYの大保険会社の勤めるバクスター。
 彼は出世の為、自分の部屋を上司達のアヴァンチュール用に時間貸しし
ていた・・・。

 多分、今回で4回目の観賞、それも三十数年振り。
 この作品、名作認定はしてたのですが男のペーソス感に余り共感してな
かった所も有って、それ程、好きでもなかったと言うのが昨日までの印象。
 好感度はドタバタの多い「お熱いのがお好き」が上でした。

 で、三十数年振りの再会は・・・大成功!
 J・レモン、最高にいいじゃないですか。(笑)
 S・マックレーンがキュートなのは初見で解ってたのですが、実はよく見て
なかったんじゃないかと思える程で、今回の印象は最高にキュート。(爆)
 でも、そのキュートさがくっきり浮き彫りになるのは、相手役のJ・レモンが
素晴らしい演技で引き立ててるからだし、更に悪役を一手に引き受ける部
長役フレッド・マクマレイの好サポートも見逃せない。
 勿論、マックレーンの演技力もありますが、アンサンブルの妙が全ていい
方向へ行って彼女をより輝かせてたのではないでしょうか。
 隣室の医者(ジャック・クラッシェン)と奥さん、4つの「腐った林檎」の面々、
その配置の可笑しさ、流石、名匠の腕の冴えを見せつけてくれました。

 今回一番の収穫は、クリスマス・イヴから、大晦日の晩までのフラン(マッ
クレーン)の心情の変化。
 絶望、ダメと解ってるのに縋ってしまう未練、元に戻れない過程を経て変
わってしまった自分に気付き始めた感覚、それらがS・マックレーンの名演
も有って以前よりシッカリ理解出来たのが良かった。
 あと、この作品は名台詞の多い事でも知られてますが、今回、「初めての
キスは墓地だったのよ」が加わりました。(笑)

 年間ベスト10は昔から初見作だけで作るのですが、この作品、4回目?
で良かった。
 今年2本目で、作品、主演男優、主演女優が決まる所だった。(笑)

 2016.1.4
 TOHOシネマズ日本橋

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 (1.6 追記)

 愛すれど 愛されること 知らぬまま
  凍てつく闇の 誘う声聞く

 尻に敷く この心地よさ 知り初めし
  これが大人に 成ると知るかな  
 
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4 コメント

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こちらもお邪魔します (宵乃)
2016-01-05 07:50:01
随分前に観て詳細は忘れましたが、なぜかヒロインをオードリーと勘違いしてました。ダークブラウンのショートカットでしたっけ?

私もこの作品はそんなに共感できなかった覚えがあります。鉦鼓亭さんと同じように30年してから再見したら印象も変わるかも。
その時は、ジャック・レモンの演技とシャーリーさんの魅力に注目してみますね♪

>「初めてのキスは墓地だったのよ」

あはは、ホラー映画とかにありそうなシチュエーション。外国の墓地は雰囲気ありますから、デートスポットとしてよく使われるのかな?
返信する
こんにちは☆ (miri)
2016-01-05 11:05:28
>多分、今回で4回目の観賞、それも三十数年振り。
>この作品、名作認定はしてたのですが男のペーソス感に余り共感してなかった所も有って、
>で、三十数年振りの再会は・・・大成功!  J・レモン、最高にいいじゃないですか。(笑)

私のような若輩者が申し上げるのもアレですが、
鉦鼓亭さんが大人になられたということなのではないでしょうか?

良い作品だと思っています。
いずれいつか再見したら、私も感想変わるかもしれませんが、

>変わってしまった自分に気付き始めた感覚、それらがS・マックレーンの名演
>も有って以前よりシッカリ理解出来たのが良かった。

このあたりが、いまいちピンとこないのですよね~。
皆さまには愛される作品と思うけど、自分にはちょっと・・・なのです(笑)。

でも再見絶対したくないとは思っていないので、
いずれいつかずっと先に機会があって見たら、お話させて下さいね~!


.
返信する
いらっしゃいませ! (鉦鼓亭)
2016-01-05 23:38:36
 宵乃さん、コメントありがとうございます!

ダークブラウンのショートカット
>白黒だから・・・、でも、多分、ダークブラウン。

私もこの作品はそんなに共感できなかった覚えがあります
>作品自体凄く良いのは理解していて嫌いではなかったのですが、イマイチぐっと来るものが無くて大好きという事はなかったです。
何でなんだろう(笑)。
完全な不倫モノでも「お笑い」の多い「ウィークエンド・ラブ」なんて大好きだったのに。
何か籠った感じの悲哀が、イマイチ合わなかったのかな。
今は、それがイイのですが。(汗)

でも、これ宵乃さんには、どうも合わない気がしますよ。(大汗)

「初めてのキスは墓地だったのよ」
>運の無い女、希望と現実が正反対になる、それを象徴する台詞なんだけど、このユーモアまじりの台詞が思いつくセンスが素晴らしい!(笑)

外国の墓地は雰囲気ありますから、デートスポット
>横浜の外人墓地とか名所ですもんね。
でも、もし女房との初キスが、あそこだったら多分死ぬまで言われるでしょうね。(笑)
「いくら観光名所だって墓地は墓地よ、本当、センス疑うわ!」
「ほら、死ぬまで一緒って意味に取れるだろ」~これが何十回。
(思い出してみたら、現実も殺風景な所だった(爆))
返信する
今年も宜しく!です (鉦鼓亭)
2016-01-06 00:05:31
 miriさん、こんばんは
 コメントありがとうございます!

大人に>まァ、悔しいけど、そんな所かと。(笑)
弟は昔から、この作品が大好きで、もしかして弟より精神的に未熟だったのかも。(笑)
(アイツの場合、作品よりS・マックレーンにヤラレたのが先で、見直す度に作品も大好きになったのですが~昨日、お互い何も言わなかったのに映画館でバッタリ(爆))

このあたりが、いまいちピンとこないのですよね~
>「自分の為に嘘をつく男」と「人の為に嘘をつく男(の優しさ)」の違いに気付いていく。
その前のシーンも、そういう流れで来てるのですが、段々、解ってくるマックレーンの表情の作り方が上手かったです。
弟から数十年遅れた後追いですが(昔だって彼女がキュートなのは解ってた)、今度は僕が彼女の魅力に完全にヤラレました。
なので、「違いに気付く」云々は後付け講釈かもしれません。(笑)
返信する

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