「刑事」(「Un Maledetto Imbroglio」、1959年、伊)
監督 ピエトロ・ジェルミ
原作 C・E・ガッダ
脚色 ピエトロ・ジェルミ アルフレード・ジャンネッティ エンニオ・デ・コンチーニ
撮影 レオニダ・バルボーニ
音楽 カルロ・ルスティケリ
主題歌 「Sinno me moro」(死ぬほど愛して) 歌 アリダ・ケッリ
出演 ピエトロ・ジェルミ
クラウディア・カルディナーレ
エレオノラ・ロッシ=ドラーゴ
ニーノ・カステルヌオーヴォ
ローマのアパートの一室に強盗が入った、しかし、被害者は何故か捜査に消極的。
その一週間後、隣室のアパートのオーナーでもあるバンドゥッチ夫人が殺害されて・・・。
1960年頃まで、ホームドラマを上手に作れたのはアメリカとイタリアだと思っています、しかし、それもTVの普及と共に衰退していきました。
この作品は事件を追う刑事モノですが、ホームドラマと同じ人情劇が底にあると僕は思います、と言うか、推理、サスペンスより人間模様に重心がいってる。(今で言えばTVの「火曜サスペンス」タイプ)
同じ監督の「鉄道員」のように市井で暮らす人々の描写が上手い作品。
今から見れば2番目のクレジットがイタリアの大スター(この作品は、まだ新人時代)だから、犯人がこの人かその関係者というのは推測出来てしまうし、馴染みの神父でなく別の場所で結婚式を挙げたという時点でその線はほぼ確定してしまうのだけど、この作品は上記したように「誰が犯人」と言うより、事件関係者それぞれが抱える日常の問題や苦悩、心理を辛口人情劇のように浮き彫りにしていく事に主眼が置かれているので問題はないでしょう。
ちょっと、音楽の入れ方が・・・。
余り洗練されてない、唐突に入るというか突然レコードが掛るって感じの所が3ヶ所くらいあった。
超有名な「死ぬほど愛して」(♪アモーレ アモーレ アモーレ アモレ・ミオ♪)の入る所は良かったんだけど、それ以外がジェルミ監督にしては雑に感じてしまいました。
でも「死ぬほど愛して」が本当にいい、このメロディが流れてくるだけで情感10割増しで、しっとり世界へ瞬間移動、何でもないシーンさえメロディで名場面に感じてしまいます。(笑)
主演のP・ジェルミは「鉄道員」に続き、相変わらず達者、生活感を感じさせながら哀愁もホンノリあって、味のある演技でした。
クラウディア・カルディナーレは、これが実質出世作でしょうからそれに相応しい演技で印象を持って行きます。
「鞄を持った女」でも書いたけど、この頃の彼女は薄倖の女が実に嵌り役で、本作でも良心の呵責に悩みながらも目の前の幸せに縋る幸薄い女を好演、この人の場合ソフィア・ローレンと同じで不幸体質を必死で押し返そうとするヴァイタリティが内に有って、そこが普通の女優さんと違う所。
そして、この作品を今更、本気で観る気にさせたエレオノラ・ロッシ=ドラーゴ。
余り出番は多くないし、前半で殺されちゃうしなんだけど、やっぱり美しいマダムっぷりは目の保養になりました。代表作「激しい季節」より少し老けて見えたけど、清楚・気品とフェロモンという二律背反の要素を違和感なく自然に体現できる希有な女優さん。
残念ながらプロデューサーの力が強いイタリア映画界で、後ろ盾になるプロデューサーに恵まれなかった(取り入らなかったとも)からか、この作品と「激しい季節」くらいしか有名作に出てないけど、日本の僕より一回り上の世代には人気のある女優さんで、‘60年頃、文化人(厭な言葉だね)の好きな女優アンケートでオードリー・ヘップバーンを押さえて1位を獲った事もあるとか。うん、解る!(笑~男ならね)※「ヘッドライト」のフランソワーズ・アルヌールと混同してるかもしれない、二人とも翳が有る所は似てる~アルヌールは「ヘッドライト」以外はコメディ系が多いけど。
ちょいと話が脱線しましたが、個人的には良い映画でした。僕の古いイタリア映画のイメージそのもののような作品。
※この歳になってみて、一番好きな女優と聞かれたら、即、エレオノラ・ロッシ=ドラーゴ!と答えます。(爆)
※「シェルブールの雨傘」のギィが出てきて吃驚。(笑~フランスとイタリアを代表する女優と恋仲になる役が来るなんて、随分な色男だわ(‘70年代前半までは日本で結構人気があったけど)
※GW用に3作予定していて、それなのに在庫検索せずに代官山へ、したら、1作しかなくて渋谷なら有りそうだけどあそこは車停める場所ないし有るか無いか賭けもあるしで、結局、帰宅。再び電車で渋谷へ、ホント阿保だ(涙)、執念で借りて来たのが本作。(結局、1作は代官山にも渋谷にも無くて撃沈、「ペティコート作戦」はお預けになりました)
H30.3.30
DVD
監督 ピエトロ・ジェルミ
原作 C・E・ガッダ
脚色 ピエトロ・ジェルミ アルフレード・ジャンネッティ エンニオ・デ・コンチーニ
撮影 レオニダ・バルボーニ
音楽 カルロ・ルスティケリ
主題歌 「Sinno me moro」(死ぬほど愛して) 歌 アリダ・ケッリ
出演 ピエトロ・ジェルミ
クラウディア・カルディナーレ
エレオノラ・ロッシ=ドラーゴ
ニーノ・カステルヌオーヴォ
ローマのアパートの一室に強盗が入った、しかし、被害者は何故か捜査に消極的。
その一週間後、隣室のアパートのオーナーでもあるバンドゥッチ夫人が殺害されて・・・。
1960年頃まで、ホームドラマを上手に作れたのはアメリカとイタリアだと思っています、しかし、それもTVの普及と共に衰退していきました。
この作品は事件を追う刑事モノですが、ホームドラマと同じ人情劇が底にあると僕は思います、と言うか、推理、サスペンスより人間模様に重心がいってる。(今で言えばTVの「火曜サスペンス」タイプ)
同じ監督の「鉄道員」のように市井で暮らす人々の描写が上手い作品。
今から見れば2番目のクレジットがイタリアの大スター(この作品は、まだ新人時代)だから、犯人がこの人かその関係者というのは推測出来てしまうし、馴染みの神父でなく別の場所で結婚式を挙げたという時点でその線はほぼ確定してしまうのだけど、この作品は上記したように「誰が犯人」と言うより、事件関係者それぞれが抱える日常の問題や苦悩、心理を辛口人情劇のように浮き彫りにしていく事に主眼が置かれているので問題はないでしょう。
ちょっと、音楽の入れ方が・・・。
余り洗練されてない、唐突に入るというか突然レコードが掛るって感じの所が3ヶ所くらいあった。
超有名な「死ぬほど愛して」(♪アモーレ アモーレ アモーレ アモレ・ミオ♪)の入る所は良かったんだけど、それ以外がジェルミ監督にしては雑に感じてしまいました。
でも「死ぬほど愛して」が本当にいい、このメロディが流れてくるだけで情感10割増しで、しっとり世界へ瞬間移動、何でもないシーンさえメロディで名場面に感じてしまいます。(笑)
主演のP・ジェルミは「鉄道員」に続き、相変わらず達者、生活感を感じさせながら哀愁もホンノリあって、味のある演技でした。
クラウディア・カルディナーレは、これが実質出世作でしょうからそれに相応しい演技で印象を持って行きます。
「鞄を持った女」でも書いたけど、この頃の彼女は薄倖の女が実に嵌り役で、本作でも良心の呵責に悩みながらも目の前の幸せに縋る幸薄い女を好演、この人の場合ソフィア・ローレンと同じで不幸体質を必死で押し返そうとするヴァイタリティが内に有って、そこが普通の女優さんと違う所。
そして、この作品を今更、本気で観る気にさせたエレオノラ・ロッシ=ドラーゴ。
余り出番は多くないし、前半で殺されちゃうしなんだけど、やっぱり美しいマダムっぷりは目の保養になりました。代表作「激しい季節」より少し老けて見えたけど、清楚・気品とフェロモンという二律背反の要素を違和感なく自然に体現できる希有な女優さん。
残念ながらプロデューサーの力が強いイタリア映画界で、後ろ盾になるプロデューサーに恵まれなかった(取り入らなかったとも)からか、この作品と「激しい季節」くらいしか有名作に出てないけど、日本の僕より一回り上の世代には人気のある女優さんで、‘60年頃、文化人(厭な言葉だね)の好きな女優アンケートでオードリー・ヘップバーンを押さえて1位を獲った事もあるとか。うん、解る!(笑~男ならね)※「ヘッドライト」のフランソワーズ・アルヌールと混同してるかもしれない、二人とも翳が有る所は似てる~アルヌールは「ヘッドライト」以外はコメディ系が多いけど。
ちょいと話が脱線しましたが、個人的には良い映画でした。僕の古いイタリア映画のイメージそのもののような作品。
※この歳になってみて、一番好きな女優と聞かれたら、即、エレオノラ・ロッシ=ドラーゴ!と答えます。(爆)
※「シェルブールの雨傘」のギィが出てきて吃驚。(笑~フランスとイタリアを代表する女優と恋仲になる役が来るなんて、随分な色男だわ(‘70年代前半までは日本で結構人気があったけど)
※GW用に3作予定していて、それなのに在庫検索せずに代官山へ、したら、1作しかなくて渋谷なら有りそうだけどあそこは車停める場所ないし有るか無いか賭けもあるしで、結局、帰宅。再び電車で渋谷へ、ホント阿保だ(涙)、執念で借りて来たのが本作。(結局、1作は代官山にも渋谷にも無くて撃沈、「ペティコート作戦」はお預けになりました)
H30.3.30
DVD