セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「泥棒貴族」

2018-09-30 01:50:23 | 外国映画
 「泥棒貴族」(「Gambit」、1966年、米)
   監督 ロナルド・ニーム
   原作 シドニー・キャロル
   脚色 ジャック・デイヴィス   アルヴィン・サージェント
   撮影 クリフォード・スタイン
   音楽 モーリス・ジャール
   出演 シャーリー・マクレーン
       マイケル・ケイン
       ハーバート・ロム
       ジョン・アボット

 「モネ・ゲーム」(監督 マイケル・ホフマン 2012年・米)を観て以来、観たかった作品。この度、TUTAYA発掘良品でリリース、無事、観る事が出来ました。

 香港、イギリス人のハリーがナイトクラブのダンサー ニコルを利用して中東の大金持ちシャベンダーに一杯喰わせる計画を・・・。

 シャーリー・マクレーン、僕はゴルディ・ホーン登場以前のハリウッド最強のコメディエンヌは彼女だと思っています。
 1950年~60年代、ハリウッドでコメディ・センスが抜群だったと僕が思ってるスター女優は、気品とのギャップを活かしきったA・ヘップバーン、明るい色気とコケティッシュな魅力のM・モンロー、そして、気品も色気もイマイチだけどコケティッシュさと庶民性が抜群なS・マクレーン。
 この作品は、そんなS・マクレーンの魅力とM・ケインのイギリスっぷりを活かした、実に‘60っぽいコメディで、あの時代のコメディが好きな僕にはピッタリでした。
 この作品をA・ヘップバーンの「おしゃれ泥棒」と比較してみて下さい、ヘップバーンとマクレーンの持ち味の違いが良く解る作品で、ヒロインが替わると似た話でも、こんなに雰囲気が変わるんだと。
 それを明確に示してくれただけで僕にとって有意義な時間でした。今の人には解らないでしょうけど。(汗)

・リメイクの「モネ・ゲーム」、21世紀にブレイク・エドワーズのコメディを再現しようとした作品と僕は思っています。面白さアクの強ささなら「モネ・ゲーム」かもしれない、21世紀の女性観から見れば「泥棒貴族」のオチは陳腐な時代遅れでしょう、でも、それを持ってしても、S・マクレーンのコケティシュさに勝ててない、僕は、そう感じました。
・「モネ・ゲーム」、イマイチ評判悪いけど僕は水準以上と思ってるし、何より、この作品を非常に上手く換骨奪胎していて、その手腕は見事。
・虚構と現実のギャップで可笑しさを生じさせる、今年、「カメラを止めるな!」(監督 上田慎一郎)でも使われていましたね。

 H30.9.29
 DVD
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映画日記 2018年その8

2018-09-25 09:59:09 | 映画日記/映画雑記
 1年前、商店会の仕事で厭な役を言い渡された本番が漸く先週終わり、1年ずっとドンヨリしてたのから解放されホッと一息状態、8月迄、例年の2割増しのペースで映画を観てたのも一種の現実逃避が入ってましたね。(笑)
 また3年後に回って来るけど、兎に角、今回は初めてで、今迄、丸っきり無関係の部署に居たから全て一から段取り教えてもらって、やっとこさ乗り切れた(んじゃないかな〜今回はマジな反省会が開かれる予定で僕の部署が問題になるけど、値上げによる純増以外はそれ程アシ出してないし、収支報告書に計上された激増は他の部署の赤を乗せ易い僕の部署にツケ回しされた結果だと思うので思いっ切り反論する)。

 「午後8時の訪問者」(「La Fille inconnue」、2016年、ベルギー・仏)
   監督 ジャン=ピエール・ダルデンヌ  リュック・ダルデンヌ
   脚本 ジャン=ピエール・ダルデンヌ  リュック・ダルデンヌ
   撮影 アラン・マルコアン
   出演 アデル・エネル
      オリヴィエ・ボノー
      ジェレミー・レニエ

 町の診療所を任されたばかりの女医ジェニー、時間外に鳴らされたチャイムを無視したばかりに一人の女性が死体となって見つかる。
 ジェニーは自責の念に駆られ事件を追っていくが・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=25ltIljpd8Y

 ジェニーは偶々、チャイムを無視してしまったけど、本当は献身的で思い遣りも普通以上に有る医者、出世コースに乗ったのに、わざわざ恩師の後を継いで保険医療ばかりで休む間も無く儲からない診療所に赴任して来るような人。
 それだからこそ、自責の念に苛まれ贖罪感で行動していくのですが、見えて来たのは欲望からの不条理と普通の人達の裏側。
 でも、これって突き詰めれば中島みゆきの名曲「エレーン」と同じ気がする、ならば、108分使って物語を観るより、8分で終わる「エレーン」で充分と云うか8分に凝縮してる歌の方が深い、少なくとも、みゆきファンの僕はそう感じてしまいました。

 ♪今夜雨は冷たい♪

 H30.9.2
 DVD

 「レナードの朝」(「Awakenings」、1990年、米)
   監督 ペニー・マーシャル
   原作 オリヴァー・サックス
   脚本 スティーヴン・ザイリアン
   撮影 ミロスラフ・オンドリチェク
   音楽 ランディ・ニューマン
   出演 ロバート・デ・ニーロ
      ロビン・ウィリアムス
      ジュリー・カブナー
      ルース・ネルソン

 1969年、人付き合いの苦手なセイヤー医師がブロンクスにある慢性精神病患者専門の病院へ赴任してくる。
 慣れぬ患者との対応に苦労するが、嗜眠性脳炎(バーキンソン症候群の一つ)で新患のルーシーに反射神経が残ってる事を発見。
 眠り病とも言われ何十年も意識がないと思われてた病気、やがて多くの同病者の中で一番若いレナードを知る・・・。

 予告編 https://www.youtube.com/watch?v=FURflBxeTyI

 これは観た時が合わなかったのかもしれない、シンドイ事の後だから、心の何処かでハッピーエンドを望んでいたのかも。
 だから、映画上でいろいろあったけど、個人的に「切ないけどイイ話だなァ」で終わってしまい、それ以上でもそれ以下でもなかった。
 30年寝たままの人間が目覚めて直ぐ歩ける訳がない(筋肉衰弱)、と言うのは映画のウソで演出だから気にしないしデ・ニーロの演技は確かに素晴らしいと思う。
 レナードは短い間だったけど母と再会できたし初めての恋もしたのだから、休眠状態のまま死を迎えるより有意義だったと思うしかない、あの看護婦のように。
 この話はブラック・ジャックの「目撃者」を思い出させました、時限爆弾で失明した少女に眼球移植して犯人を突き止めると云う話。
 BJ「そして5分たったらまた見えなくなる。・・・じゃあ、なんのための手術ですか」

 医学はそういう試行錯誤の上に成り立っている事だけども。

 H30.9.24
 DVD
コメント (2)
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