「レ・ミゼラブル」(「Les Misérables」2012年・英)
監督 トム・フーバー
原作 ヴィクトル・ユゴー
アラン・ブーブリル(ミュージカル版)
クロード・ミッシェル・シェーンベルグ(ミュージカル版)
脚本 ウィリアム・ニコルソン アラン・ブーブリル
クロード・ミッシェル・シェーンベルグ ハーバート・クレッツマー
音楽 クロード・ミッシェル・シェーンベルグ
撮影 ダニー・コーエン
出演 ヒュー・ジャックマン
ラッセル・クロウ
アン・ハサウェイ アマンダ・セイフライド
サシャ・バロン・コーエン ヘレナ・ボナム=カーター
エディ・レッドメイン サマンサ・バークス
ユゴーの名作を元にしたミュージカルの映画版。
冒頭のシーン、ツーロン造船所での船曳きシーンが素晴らしかった。
歌と映像と男達の肉体労働がマッチして凄い迫力がありました。
また、映画として「舞台」では出せない映像の拡がりも、しっかりした時代考証
と相まって良かったと思います。
ただ、僕にとっては、ミュージカルなのに耳に残るナンバーが無かった。
曲それぞれは悪くないのですが、突出したものが無くて、マクドナルドの次が
ロッテリアで、その次がモスバーガーって感じなんですよね。
強いて上げれば、冒頭の「囚人の歌」、「ABCカフェ」、「心は愛に溢れて」、
「民衆の歌」でしょうか、有名な「夢やぶれて」は余り印象に残らなかった。
その4曲にしても、一度聞いたくらいじゃ口ずさめないんですよね。
(「囚人の歌」が微かに残るのも、「ダウンタウン物語」の「Dawn And Out」に
少し似てるから)
それでも、マリユス、コゼット、エポニーヌが歌う「心は愛に溢れて」は、作り
方が素晴らしかったと思います。
3人で歌ってるのに2対1で相反する別々の心情を歌い上げてる、似てるの
は「ウエストサイド物語」の「クインテッド」だけど、あれは「決闘」と「トゥ・ナイト」
の掛け合いで登場人物達それぞれに曲が割り振られていて、このナンバーみ
たいに一つのメロディの下で展開していない、ここは中々上手いと思いました。
役者陣は皆、健闘と言っていいと思います。
特にジャベールを演じたR・クロウ(ちょっと格好良すぎ)、テナルディエ夫婦
のS・B・コーエンとH・B=カーターが印象に残りました。
ただ、マリユス以外は、皆、僕の持ってたイメージと違ってたので、個人的で
すけど、そこはちょっと残念。
エポニーヌを演じたS・バークスは映画の登場人物としては良いんだけど、イ
メージは、もっと病的だったし、僕の持つジャン・バルジャンのイメージってジャ
ン・ギャバンが一番近い(実際、フランス映画で演じてる)んです、もっとズング
リムックリで、ああいう「いい男」じゃない。(笑)
ファンティーヌとコゼットは、昔読んだ、みなもと太郎氏の名作ギャグ・マンガ
のイメージ(少女マンガみたく可憐~このマンガにしては美人!とジャベールに
言われるくらい)が強烈にこびり付いてしまっているので、恐らく、3次元の世界
では誰が演じても僕には駄目だったと思います。(笑)
フランスの国是「自由・平等・博愛」(共和制)の下、「人はどう生きるべきか」、
「神に祝福される人々は誰か」
壮大なバリケードの後ろに集まった人々、体制と権力(王政)に虐げられ「幸
福から一番遠い人々」、そんな「惨めな(ミゼラブル)な人々」こそが、「神の祝
福」を一番に受けるべき人達だ、として描かれるラスト・シーンは圧巻であると
同時に感動的でした。
(こういう場面は原作にはない、ジャン・バルジャンは「この世には、愛し合う
以外のことは、ほとんどない」とコゼット、マリユスに言い残して死んでいくだけ)
ミュージカル映画の佳作だと思います。
※長い事、「革命騒ぎ」は日本左翼の理想「パリ・コミューン」事件をモデルにし
たものと勘違いしていました、実際は1848年の二月革命をモデルにしたも
のでした。
(同じく、ジャベールの出自は書かれていないと思ったのですが1巻の中程
に「刑務所の中でトランプ占いの女の子として生まれた。・・・」と書かれてい
ました)
※1979年に刊行された、みなもと太郎氏のギャグ・マンガ「レ・ミゼラブル」
(世界名作劇場/希望コミックス)は、中々の名作で、全5巻の長い原作を読む
のが面倒な人には、これがお薦め。(H25.1.25修正 こちらで無料で読め
るようです Jコミ 完全版「レ・ミゼラブル」http://vw.j-comi.jp/murasame/view/42361/p:1)
面白いのはバルジャンの臨終後のシーンが映画とそっくりな事、原作ではミュ
リエル司祭もファンティーヌも迎えには来ないけど(「司祭さまは、ここにおられ
る」とバルジャンが天上を指す場面はある)、マンガも映画も、ちゃんと迎えに
来てるんです、映画と同じように、ギャグ・マンガですけどユゴーが言外に言っ
てる事を的確に押さえていると思います。
(但し、結末は、みなもと氏が「あとがき」で書いてるように、みなもと氏が望む
「レ・ミゼラブル」の結末になっています。また、エポニーヌの件は完全に割愛
されています)
※原作で一番好きな人物は、ABC結社のメンバーの一人なんだけど、何で居る
のかさっぱり解らない、只の酔っ払いの役立たずグランテール。
バリケード騒乱の間中、泥酔の為に爆睡していて、銃声が止んだ途端目を覚
まし「共和国、万歳!」と言いながらアンジョルラスの元へ行き並んで銃殺され
る変な奴。
監督 トム・フーバー
原作 ヴィクトル・ユゴー
アラン・ブーブリル(ミュージカル版)
クロード・ミッシェル・シェーンベルグ(ミュージカル版)
脚本 ウィリアム・ニコルソン アラン・ブーブリル
クロード・ミッシェル・シェーンベルグ ハーバート・クレッツマー
音楽 クロード・ミッシェル・シェーンベルグ
撮影 ダニー・コーエン
出演 ヒュー・ジャックマン
ラッセル・クロウ
アン・ハサウェイ アマンダ・セイフライド
サシャ・バロン・コーエン ヘレナ・ボナム=カーター
エディ・レッドメイン サマンサ・バークス
ユゴーの名作を元にしたミュージカルの映画版。
冒頭のシーン、ツーロン造船所での船曳きシーンが素晴らしかった。
歌と映像と男達の肉体労働がマッチして凄い迫力がありました。
また、映画として「舞台」では出せない映像の拡がりも、しっかりした時代考証
と相まって良かったと思います。
ただ、僕にとっては、ミュージカルなのに耳に残るナンバーが無かった。
曲それぞれは悪くないのですが、突出したものが無くて、マクドナルドの次が
ロッテリアで、その次がモスバーガーって感じなんですよね。
強いて上げれば、冒頭の「囚人の歌」、「ABCカフェ」、「心は愛に溢れて」、
「民衆の歌」でしょうか、有名な「夢やぶれて」は余り印象に残らなかった。
その4曲にしても、一度聞いたくらいじゃ口ずさめないんですよね。
(「囚人の歌」が微かに残るのも、「ダウンタウン物語」の「Dawn And Out」に
少し似てるから)
それでも、マリユス、コゼット、エポニーヌが歌う「心は愛に溢れて」は、作り
方が素晴らしかったと思います。
3人で歌ってるのに2対1で相反する別々の心情を歌い上げてる、似てるの
は「ウエストサイド物語」の「クインテッド」だけど、あれは「決闘」と「トゥ・ナイト」
の掛け合いで登場人物達それぞれに曲が割り振られていて、このナンバーみ
たいに一つのメロディの下で展開していない、ここは中々上手いと思いました。
役者陣は皆、健闘と言っていいと思います。
特にジャベールを演じたR・クロウ(ちょっと格好良すぎ)、テナルディエ夫婦
のS・B・コーエンとH・B=カーターが印象に残りました。
ただ、マリユス以外は、皆、僕の持ってたイメージと違ってたので、個人的で
すけど、そこはちょっと残念。
エポニーヌを演じたS・バークスは映画の登場人物としては良いんだけど、イ
メージは、もっと病的だったし、僕の持つジャン・バルジャンのイメージってジャ
ン・ギャバンが一番近い(実際、フランス映画で演じてる)んです、もっとズング
リムックリで、ああいう「いい男」じゃない。(笑)
ファンティーヌとコゼットは、昔読んだ、みなもと太郎氏の名作ギャグ・マンガ
のイメージ(少女マンガみたく可憐~このマンガにしては美人!とジャベールに
言われるくらい)が強烈にこびり付いてしまっているので、恐らく、3次元の世界
では誰が演じても僕には駄目だったと思います。(笑)
フランスの国是「自由・平等・博愛」(共和制)の下、「人はどう生きるべきか」、
「神に祝福される人々は誰か」
壮大なバリケードの後ろに集まった人々、体制と権力(王政)に虐げられ「幸
福から一番遠い人々」、そんな「惨めな(ミゼラブル)な人々」こそが、「神の祝
福」を一番に受けるべき人達だ、として描かれるラスト・シーンは圧巻であると
同時に感動的でした。
(こういう場面は原作にはない、ジャン・バルジャンは「この世には、愛し合う
以外のことは、ほとんどない」とコゼット、マリユスに言い残して死んでいくだけ)
ミュージカル映画の佳作だと思います。
※長い事、「革命騒ぎ」は日本左翼の理想「パリ・コミューン」事件をモデルにし
たものと勘違いしていました、実際は1848年の二月革命をモデルにしたも
のでした。
(同じく、ジャベールの出自は書かれていないと思ったのですが1巻の中程
に「刑務所の中でトランプ占いの女の子として生まれた。・・・」と書かれてい
ました)
※1979年に刊行された、みなもと太郎氏のギャグ・マンガ「レ・ミゼラブル」
(世界名作劇場/希望コミックス)は、中々の名作で、全5巻の長い原作を読む
のが面倒な人には、これがお薦め。(H25.1.25修正 こちらで無料で読め
るようです Jコミ 完全版「レ・ミゼラブル」http://vw.j-comi.jp/murasame/view/42361/p:1)
面白いのはバルジャンの臨終後のシーンが映画とそっくりな事、原作ではミュ
リエル司祭もファンティーヌも迎えには来ないけど(「司祭さまは、ここにおられ
る」とバルジャンが天上を指す場面はある)、マンガも映画も、ちゃんと迎えに
来てるんです、映画と同じように、ギャグ・マンガですけどユゴーが言外に言っ
てる事を的確に押さえていると思います。
(但し、結末は、みなもと氏が「あとがき」で書いてるように、みなもと氏が望む
「レ・ミゼラブル」の結末になっています。また、エポニーヌの件は完全に割愛
されています)
※原作で一番好きな人物は、ABC結社のメンバーの一人なんだけど、何で居る
のかさっぱり解らない、只の酔っ払いの役立たずグランテール。
バリケード騒乱の間中、泥酔の為に爆睡していて、銃声が止んだ途端目を覚
まし「共和国、万歳!」と言いながらアンジョルラスの元へ行き並んで銃殺され
る変な奴。
>歌と映像と男達の肉体労働がマッチして凄い迫力がありました。
>また、映画として「舞台」では出せない映像の拡がりも、しっかりした時代考証
と相まって良かったと思います。
仰るとおりですね~!
映画をあまり見ない人でも、上映時間の長さが気になる人でも、
どんな人でも、シッカリ引き込む上手な監督さんですね!
>只、マリユス、コゼット、エポニーヌが歌う「心は愛に溢れて」は、作り方が素晴らしかったと思います。
>3人で歌ってるのに2対1で相反する別々の心情を歌い上げてる、
本当に素晴らしかったです☆
>壮大なバリケードの後ろに集まった人々、体制と権力(王政)に虐げられ「幸福から一番遠い人々」、そんな「惨めな(ミゼラブル)な人々」こそが、「神の祝福」を一番に受けるべき人達だ、として描かれるラスト・シーンは圧巻であると同時に感動的でした。
あのラストシーンをそういう意味だと考えれば、
ジャベールがいなくても仕方なかったのかもしれないけど、
私は「天国」の(私なりの)意味を思った時、
居て欲しかったし、居るべきだと、今も思っています。
>ミュージカル映画の佳作だと思います。
私もそう思います。
そう思う人が多いような気がします、そんな映画でしたね・・・。
上映時間の長さ>時間の長さが殆んど気にならなかったのは、全編音楽で流してたからだと思います。
(それは、あくまで出来のいいミュージカルであると言う前提条件をクリアしてたから~出来が悪かったら目も当てられない(笑))
「心は愛に溢れて」>今の所、ナンバーの中ではこれが一番印象的でした。
壮大なバリケードの後ろに集まった人々、体制と権力(王政)に虐げられ「幸福から一番遠い人々」、そんな「惨めな(ミゼラブル)な人々」こそが、「神の祝福」を一番に受けるべき人達だ>
ここは、miriさんの疑問に対する僕の感想です。
原作は非常に宗教色の濃い作品で、3割くらいは宗教関連じゃないかという印象を持っています。
バチカンの教義、キリスト教の教えでは、悔い改めた者は貴賎を問わず神の救いがある、と言ってると思いますし、miriさんの思いも、それに近いと推測します。
でも、これはバチカンが書いたものじゃなくて、共和制信奉者ユゴーが書いた「ミゼラブル」な者にこそ「救い」を、が重要なテーマになった「作品」なんだと思います。
これは、ミュリエル司祭がミゼラブルなバルジャンに「救い」を与える、というエピソードにも表されています。
ジャベールは王政の下僕で、最後に信じてたものに疑問を持ち、その結果、精神のバランスが崩れ自殺しますが、決して、考えを改めて「生き直そう」とはしていません。
疑問に負けただけ。
(みなもと氏のマンガでは、死に損ねて、バルジャンがジャベールに命じてファンティーヌを釈放した時に言った言葉「君も必ず気が付く時が来る、法には慈悲がなくてはならぬ・・・と」を思い出し、その言葉によって救われる)
「神の世界」ではジャベールは救われる存在かもしれませんが、「レ・ミゼラブル」(王制vs共和制)の世界では、救われる一歩手前で終わった存在なので、あのバリケードの内側には入れない人物、そして、この作品は「レ・ミゼラブル」なんだから、あれで良かったのだと僕は思っています。
訂正コメントまで、かえってすみません!(^^;)
>マクドナルドの次がロッテリアで、
>その次がモスバーガーって感じなんですよね。
う う う、 うまい!!
まさにそうだったと思います!!!
>壮大なバリケードの後ろに集まった人々、~
こういう場面は原作にはない、~
そうだったんですね!!
追記も拝見しながら、とっても勉強になりました!
あのシーンは好きでした。
あそは映画だ!!って感じで
感動を興すシーンでしたよね!!!
訂正>箱から引っ張りだす手間を惜しんだばっかりに、恥晒しました。(笑)
原作はちょこちょこ摘み食いした後、初めから読み出したのですが、途端に仕事が忙しくなって、現在、止まってます。
この本、作者、寄り道ばっかりで中々先へ進まないんですよ(笑)、宗教の話をしたり、社会現象その他の考察にページを割いたりで、全5巻だけど、そういう所を削れば3巻で収まる感じです。
記事の※印の所にアドレス貼ったのですが、マンガも面白いですよ。(笑)
曲が数珠繋ぎで出てくるのはいいけど、もっとメリハリが必要な気がしました。
ストーリーには起伏が有るんだけど、曲の方が余り変わり映えしないんですよね。
最後のバリケードのシーン>うん、あそこは良かったです!
涙腺が緩みました。(笑)
(ただ、今回、隣に座ったガキンチョ(小5くらい)が初めから終わりまでポプコーン食べ続けてまして(飽きると休憩してたけど)、食べ終わったのがエンドロールの終わる直前、もうホントにドタマ小突いてやりたかった!~開始20分で飽きてましたね(笑))
ところで、昨日せっかく教えて頂いたのに、痛恨の録画ミスで録れませんでした。すみません…。
再放送がきっとあると信じて、その時こそはちゃんと録画しますね~!
失礼しました。
「レ・ミゼラブル」は観る価値のある映画だと思っています。
録画ミス>参考までにお知らせしただけですので、全然、気にしないで下さい。
本当に気にしないで下さいね。
でも、面白かったです!(笑)
今日、ちょっとレビューを見て歩きしたのですが、皆、男なんですよね、
女性の方の感想は殆ど無かった。
もしかしたら、男に受ける映画なのかも・・・。