セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「マイネーム・イズ・ハーン」

2017-02-19 23:58:01 | 外国映画
 「マイネーム・イズ・ハーン」(「My Name Is Khan」/「माइ नेम इज़ ख़ान」、2010年、印)
   監督 カラン・ジョーハル
   脚本 シバニ・バティージャ
   撮影 ラヴィ・K・チャンドラン
   音楽 シャンカル・イフサーン・ローイ
   出演 シャー・ルク・カーン
       カジョール
       ジェニファー・エコルス

 インドで暮らすアスペルガー症候群のハーン(イスラム教徒)、優しい母親
が亡くなり一人サンフランススコの弟夫婦の元へ身を寄せる。
 弟の仕事の手伝いをする内、バツイチ子連れのインド人マンディラ(ヒンド
ゥ教徒)と親しくなり結婚。
 マンディラは宗旨は変えず姓だけをハーン(これはイスラムの代表的な姓)
に改め独立して美容院を始めた。
 そこへ9.11のテロが起き・・・。

 予告編

 「My name is Khan. But I'm not a terrorist.
   and this is my son, he is not a terrorist」

 インド版「フォレスト・ガンプ」という趣の作品。
 只、「フォレスト・ガンプ」はアメリカの良心を通してアメリカ現代史を描いて
いく側面が有ると思うのですが、この作品は宗教・民族間の対立を描いてい
ます。
 イスラームを信仰する人達への差別に対する抗議。
 母親が子供時代のハーンに言い聞かせる言葉、「この世には良い人と悪い
人の二種類しかなく、それはどの宗教でも同じ」、単純化しすぎてるけど突き
詰めれば結局そこへ行き着くしかないのかもしれません。
 去年、公開された「PK」と趣旨は同じだと思います。
 でも、宗教差別を無垢な愛情によって克服する話で涙が出る作品だとして
も真面目に162分語られるのはチト辛い、どちらが良と言うのは無意味だけ
ど歌と笑いを混ぜて語った153分の「PK」の方が僕には響く。(「フォレスト・
ガンプ」にイマイチ乗れなかった僕だからなのか)
 それと終盤30分がうまく行き過ぎな感じがちょっとかな、これ以上尺延ばさ
れても困るけど。(笑)
 決して悪い作品じゃなく、興味と時間の有る人には見て欲しい作品なのです
が・・。

 キング・オブ・ボリウッドの称号を持つシャー・ルク・カーン、特徴ある役故の
やり易さは有るにしても、決して顔と身体だけじゃなく称号に相応しい演技力
が有る所を見せつけてくれます。
 そこに大スター特有のオーラも入って良かったです。
 ちょっと目当てだったのはシャー・ルクとの名コンビと言われるカジョール、
日本で言えば吉永小百合&浜田光男、山口百恵&三浦友和みたいな感じな
のかな、彼女が映画で演技してるのを見る事。
 シャー・ルクの「恋する輪廻」でゲストの一人としてちょこっと出てたのを見て
はいるけどダンスシーンだけだから。
 まぁ、その時もちょいとオバサンぽく見えたけど、あれから3年後のこの作品、
歳相応な感じがしてしまいました(汗)、が、演技力は流石だったと思い
ます。(シャー・ルクとは10歳違いなんだけど同年齢位にみえた~シャー・ル
クが若く見えるんだけどね)
 でも、フィルムフェア賞(インドのアカデミー賞)は出番の少ないママジェニー
を演じたジェニファー・ニコルスに持っていかれちゃいましたね、残念。

 この作品も「PK」も事件を起こすのはイスラム教徒という共通点が有る、ヒ
ンドゥ教徒の多いインドだからだろうけど、2作続けて同じだとちょっと考えてし
まいます、両作とも宗教間の争いを批判してる作品だからこそ。(この作品は
主人公の台詞が引っ掛かってイスラム側から上映差し止めの裁判が起きてる
~ちなみに「PK」はヒンドゥ教徒から同趣旨の裁判を起こされてます)
 それと「イスラム教徒の大多数は善良な人々」と言うのは間違ってないと思
うけど、大きなテロを行うのは決まってイスラム教徒という事実もある。
 搾取する側される側、それにキリスト教とイスラム教の因縁(元を正せば枝
分かれした同根なのに)諸々が重なってるのは何となく解るけど、被害者意
識の強いモスクの一部導師が炊き付けてるのも事実でしょう、傍から見ると
神父・牧師より影響力が強い導師の唯我独尊を何とかして欲しいと思います
ね。
 僕の住まいから50mも離れてない所に小さいモスクがあり、今は(出来た
頃はトラブルが多々有ったし、僕もモスクへ抗議に行った事がある)穏やか
に共存、交流していてイスラム系のTV局が取材に来たり事件が起きるとNH
Kが取材に来てたりするけど、もし日本人が多数巻き込まれる事件があれば
この雰囲気も一変するでしょう。
 この作品でも描いてるように暴力は八つ当たりの暴力になって無関係な人
々にハネ返る。十字軍だのジハードだの神軍だの、神の名を勝手に合理化し
た自分達の欲望、願望に過ぎない、そんな事で自分の生まれ育った町が荒ん
でいくのは見たくないです。

 何だか(いつも)話が支離滅裂になってしまいました。(汗)

※シャー・ルク・カーンは名前通りイスラム教徒、奥さんのガウリーはヒンドゥ
 教徒、この作品と同じでお互いの宗教を尊重する事で夫婦仲は上手くいっ
 てるみたい。
※Khan、英語スペルは同じなのにシャー・ルクはカーンでタイトルはハーン、
 混乱を避けたのだろうか?(笑)
※これでインド映画は8勝1敗、日本人に合いそうなのを厳選して輸入した結
 果とは言え驚くべきスコア。

 2017.2.19
 DVD
 劇場未公開
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