セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「サボテンの花」

2010-12-16 22:23:37 | 外国映画
 前回、ちょっと触れたゴルディ・ホーン。
 アメリカを代表するコメディエンヌ、若い頃は「バタフライはフリー」とか、
結構シリアス系なものにも出ていたのですが、やっぱり、この人はコメデ
ィが似合う。
 まん丸お目々にキュッと唇を噛んだ顔、とてもキュートです。
 「ファール・プレイ」、「プライベート・ベンジャミン」とかが有名ですが、僕
は実質的映画デビュー作だった「サボテンの花」が一番良かった気がし
ます。
 脚本はB・ワイルダーとのコンビで有名なI・A・L・ダイアモンド。
 コメディというのは凄く難しいと僕はいつも思っています、まず脚本が良
くなきゃいけない、演出のリズムも必須条件、更に、演じる役者達にセン
スがあって上手くなければいけない、幾つものハードルを乗り越えて、や
っと本当に面白いコメディが出来るんです。
 「サボテンの花」(1969年・米) 監督ジーン・サックス 音楽クインシー
・ジョーンズ 出演イングリット・バーグマン、ウォルター・マッソー、ゴルディ
・ホーン 
 今見ると、凄い顔ぶれ。
 追放を解除されハリウッドへ戻って来た大女優バーグマン。B・ワイルダ
ー、J・レモンに鍛えられ、前年、アカデミーを獲った実力派マッソー、そし
て、G・ホーン。
 今でこそ大スター、G・ホーンですが、この頃は、アメリカのTV界で人気
が出始めた程度、映画界では全くの無名(デビュー作の前作は、ほんの
チョイ役でしかなかった)。
 それが、大女優と注目の実力派に一歩も引かぬ演技を見せる、この辺
にアメリカの底知れぬ実力を僕は感じます。
 お話は、プレイボーイの中年男、そのプレイボーイに入揚げてる若い娘、
プレイボーイの歯医者の元で働く大年増の堅物看護婦、娘の隣の部屋に
住んでる若くてハンサムな独身男、それが、こんがらかって・・・。
 「サボテンの花」の意味は、ずっと咲かずにいたものが、突然、咲いちゃ
った、と言う意味です。
 これで筋書きは解ると思います。(笑)
 でも、その結末の解る話で、皆を笑わすのがG・サックスの職人技なん
です。

 この映画、「カサブランカ」や「凱旋門」での絶世の美女バーグマンのイ
メージを大切にしたい人は観ない方がいいと思います。
 何しろ最初に出て来た時は、ガタイはデカいわ、愛嬌の欠片もないわ、
ホントくすんだ状態で出ていらっしゃるから、「え!これが、あのバーグマ
ン。月日は残酷だ・・・」と思ってしまう。(笑)
 この映画のリアリティーに関する重要な問題は、この大年増のバーグ
マンに20代の男が魅かれるか?という点にあります、ここにリアリティー
が無いと、話が全部嘘っぱちになっちゃう。
 でも、そこは腐っても鯛というか、さすがバーグマン、最初はくすんでて
も話が進むに従って往年の美しさを取り戻していくんです、衣装でゴマカ
スという感じも多少しないではないですが、「メガネを取ったら可愛かった」
なんて安直な手は使いません。
 本当に20代の男でも、クラッとしてしまうかもしれない魅力と危なさが
出ていますから、やはり、大したものです。
 最大の見せ場で、もう、パッーと弾けちゃってるバーグマンを初めて見
た時は、呆気にとられましたよ。

 主役3人が繰り広げる丁々発止の演技合戦を見てるだけでも本当に
楽しいのですが、脇を固めるジャック・ウェストン(僕の贔屓な「太っちょサ
ム」)他、皆、上手くて、それぞれが良い味を出していてアンサンブルも申
し分ありません。
 これは余談ですが、見せ場でのJ・ウェストンの解説がケッサクなんです
が、それ以前にあったホーンとウェストンの短い会話も個人的にはツボな
んですね、
 ホーン  「残された子供はどうするの?」
 ウェストン「焼いて喰う」
(この品の無さがウェストンらしくて最高)

 支離滅裂で収拾がつかなくなってしまいました、スイマセン。
 で、最後に一つだけ。
 本作のG・ホーンは目茶目茶キュート(個性的だけど~笑)、スタイルもい
いし、脚線美なんて特筆モノです。
 結局、これが言いたかったのかも・・・。


(おまけ1) 10年前の浜崎あゆみって(特にグラビア)、この頃のG・ホーンに瓜二つなんですよ、御当人はクリエイティヴな人だから、きっと知らずにいたんだと思うけど、プロダクションやレコード会社の上層部、或いは演出家あたりなら、この頃のG・ホーン、特に、この作品を誰か見てると思うんだけどねぇ。
 誰も言ってやらなかったかったのかなぁ、「君、G・ホーンのそっくりさんだよ」って。
(おまけ2)僕の一番好きな映画「フォロー・ミー」に、この映画と似てるシーンが幾つかあります。
 ・ヒロインがビルの解体現場をボッーと見てる&屋台のホット・ドック屋。
 ・二人で見る映画が「ロミオとジュリエット」
 ・ダンス・シーンで、創作したフリを他人が真似る。(「サボテンの花」では、パブへ行くと、毎回同じ音楽がエンドレスで流れてます~笑)
(おまけ3)G・ホーン>ゴー・ゴー・クラブの鳥かごで踊ってたのをスカウトされTV界へ、そこで人気が出て映画へ進出した人、そんな記憶が残っています。
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7 コメント

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これもいいですよねぇ! (宵乃)
2012-05-31 12:02:08
そうなんですよ、わたしもこれを観始めてG・ホーンの可愛さに「お~、描こう!」と思ったのに、後半になってバーグマンが輝きだして、すっかり忘れてしまいました。
ハメをはずしてのダンスシーンはサイコーでしたよね!
ホント、彼らのテンポのいいやり取りには大笑いさせてもらいました。
あと、浜崎あゆみについてはわたしも思ってました。化粧を落としたらどうかはわからないけど(笑)
返信する
いい作品ですよね (鉦鼓亭)
2012-05-31 23:54:37
でも埋もれてしまって、余り知られていないのが残念なんです。
40年前も結構マイナーな作品で、名画座にも余り掛からなかった気がします、偶々、近所の名画座に掛かったんで、ようやく観られたんです。
もっと、認知されていい作品だと思っています。

ダンスシーンはサイコー>青いドレス着てミンクのショールを振り回してるのが、あのバーグマン。
もう、それだけで一見の価値ありです!

日本でゴルディが本当にブレイクしたのは「ファール・プレイ」以後なのかもしれません。
僕の友人は大ファンでしたけど、70年代初め頃は、人気的にはイマイチでした。
「サボテンの花」以後、シリアス系へ挑戦した時期に、余り作品に恵まれなかったのが原因だと思います、「バタフライはフリー」くらいかな、良かったのは。

「サボテンの花」は書いたのがI.A.L.ダイアモンドとは言え、この脚本をバーグマンへ持っていったプロデューサーの度胸には恐れ入ります、というか敬服します。(笑)
返信する
お気に入りになりました! (*jonathan*)
2012-06-02 22:29:06
え!!ゴーゴークラブの鳥かごで?!
知りませんでした!似合いすぎですね(笑)

これ、とても楽しい映画でしたね~♪
私は完全にゴールディが主役だと思って観ていたので、結末で「そっち??」と驚いちゃいました。
考えてみれば、そこに驚いたというのは随分マヌケだったなと思いますが^^;

バーグマンは期待したような美しさは見られませんでしたが、個人的にはこれはこれで魅力を感じましたよ。デキるオトナな女性のイメージにも弱いので♪
しかし20代男子は付き合わないでしょうねぇ^^;

TB送らせて頂きますのでお願いしますー
返信する
TBが・・・ (*jonathan*)
2012-06-02 22:32:12
エラーになってしまって送れませんでした^^;
また今後チャレンジしてみます・・・。スミマセン
返信する
DVD買ったほど好きな作品です (鉦鼓亭)
2012-06-03 00:38:58
いらっしゃいませ!
コメントありがとうございます。

ホントに楽しい映画ですよね。
僕はジャンル別のベスト10というのは作った事ないのですが、
コメディ部門ベスト10を作るなら必ず入れますよ。

ゴールディが主役>クレジットでゴルディは3番目ですからね。
でも、前半を支配してるのはゴルディ。
それでも僕は、やっぱり、この作品を支えてるのはマッソー&バーグマンだと思います。
ゴルディはストーリを動かす動力。
但し、マッソーもバーグマンも、代われる人が居るんですが、ゴルディは代わりがいない唯一無二の人、彼女が居なければ出来ない作品。
そんな気がします。

すいません、ウチのPC,相当の旧型なので調子悪いのかもしれません、こちらからもTB送れませんでした。
機械オンチなので、娘に原因調査させます。
(と言っても、多分、直ぐにやってくれないので、暫くお待ち願うことになると思います、復調次第送らせて頂きます)
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Unknown (マミイ)
2013-08-01 15:29:41
>まん丸お目々にキュッと唇を噛んだ顔、とてもキュートです。
ホントにカワイイですね。
自分に向かってにっこり微笑まれたら
何でもしてあげたくなっちゃうと思います。笑

>でも、その結末の解る話で、皆を笑わすのがG・サックスの職人技なんです。
正直言って、登場人物が出た瞬間にオチのわかるお話なのですが
それでも途中のゴタゴタはおもしろいし、
王道で終わるからこそラブコメはおもしろいのだと思います。


>僕の一番好きな映画「フォロー・ミー」に、この映画と似てるシーンが幾つかあります。
本作を忘れないうちに
『フォロー・ミー』も観てみようと思います!
返信する
Unknown (鉦鼓亭)
2013-08-01 23:07:22
 マミイさん、こんばんは

カワイイ>OPシーン、コート脱いだらオール・ピンク。
わ、顔小さい、目大きい、宇宙人みたい。(笑)
でも、めっちゃコケティッシュ!
「ファール・プレイ」の彼女も好きだけど、やっぱり、可愛さ、新鮮さで、この作品に勝るものはないと思います。
今、思えばS・マクレーン以来の正統派コメディエンヌ誕生の瞬間だったのかも。
(ゴルディの場合、S・ジョージに似た「蓮っ葉さ」が有るから、余り、ハイソな世界には向かない弱点があるけど)

自分に向かってにっこり微笑まれたら>「道に迷ったのかな?・・・ええと、何て言えばいいんだっけ・・・Can you help meだろか」(笑)
有り得ないので想像つかない・・・。

ラブコメの王道>
結末が予想つくから、安心してコンガラガッテいくのを眺めてられます。(笑)

「フォロー・ミー」>何時でもいいですから、感想、楽しみにしています!
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