クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

利根川沿いにある発掘中の“遺跡”は? ―長竹遺跡―

2011年02月13日 | 考古の部屋
“長竹遺跡”は現在発掘調査の遺跡である。
加須市大越に位置し、
すぐ目の前には利根川の土手がそびえ立っている。

つまり、土手の拡幅工事にともなう調査で、
縄文時代や奈良・平安時代の遺物、遺構が出土している。
かつてここには人々が集落を築き、
生活を営んでいたらしい。

2月5日には遺跡見学会が催され、
多くの人たちが足を運んでいた。
辺りはのどかな田舎風景である。
まさか、地中に大量の土器が眠っているとは思わない。

利根川の旧堤防跡も検出され、
土手を補強するための杭も陽の目を浴びている。
かつてこの辺の土手は切れやすかったらしく、
地中に刺さった杭は深さ3メートル以上にも及ぶ。
機械を使って抜こうとしても、引き抜けなかったという。

一体ここではどんな人たちが生活していたのだろう。
一人の女性をめぐって、昼ドラのような争いがあったのかもしれないし、
大人は子どもたちに、狩りや住居の建て方といった、
生活の知恵を教えていたのかもしれない。

昔話に詳しい人もいれば、
体力に自信のある人、
頭脳派や怠け者もいただろう。

そしてここは川沿いに築かれた集落のため、
舟を使ってやってくる“異人”もいたに違いない。
男も女も装飾に身をまとい、
祭りや通過儀礼など、さまざまな風習があったことは想像に難くない。

何千年も前に生きた人間たちだが、
根幹的なものは現代とほとんど変わっていないかもしれない。
遺跡見学会では珍しい土器製品が展示されていた。
何かと人間に目を向けがちだが、
耳をすませば、集落を駆け回る犬の鳴き声が聞こえてくる気がした。


長竹遺跡の遠景(埼玉県加須市)
この遺跡について、埼玉新聞に取り上げられていた。


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