
在日米海兵隊への配備のため、沖縄の普天間基地での運用が予定されている
MV-22Bオスプレイが今月中にも岩国基地に到着する予定で、一般メディアでも
同機に対する報道をよく目にします。
先日、本ブログのコメント欄で空自のF-35についての一般紙のバッシング記事の件で
意見を頂戴しました。その際「他社の報道姿勢に関して弊社が意見すべきではない」
と返答させていただいたものの、今回のニュースに関しても、各大手メディアは
沖縄の米軍基地問題に絡め、「オスプレイは危険な航空機である」とする報道を
さかんに展開しているのが気にかかります。
ご存知のとおり現在イギリスではファーンボロ国際航空ショーが行なわれていますが、
これに参加しデモフライトを実施したMV-22を指して「イギリスの国際航空ショーでは
アメリカはオスプレイを飛行させ、安全性に問題がないことをアピールしました」などと
NHKでさえ報道したり(同機の安全性について大きなニュースとしているのは
国際的に見ても日本だけですし、ショーで飛ぶのは通常のことです)、
米国内でマイナートラブルからルート上の飛行場に予防着陸したMV-22について
「またトラブルで不時着」と報道(これも他機種でも行なわれている安全上の
通常の措置です)、大問題のようにあつかうなど、その取り上げ方は明らかに客観性、
冷静さに欠いているようなイメージを受けます。
『航空ファン』ではこれまでも過去のV-22の事故を検証したうえで、同機が実際のところ
どれほど安全性に問題のある航空機なのかを紹介しており、けっして現時点で
機体そのものが欠陥機であるというわけではないことを示してきています。
もちろんティルトローター機という新たなジャンルの航空機で、また航空機そのものが
100%事故の起きない安全な乗り物であるとは確約できないことなどを考えれば、
「絶対の安全性」などは保障できるものではありません(とはいえこれは
自動車でも同じことなのですが)。ただ、運用開始当初のVTOL(後のSTOVL)機
ハリアーの事故率などと比較してみても、V-22のそれは比べ物にならない安定した実績で、
将来的な可能性からも重要な航空機であることは間違いのないところです。
7月21日発売の『航空ファン』9月号では、配備を直前に控えてのオスプレイ報道について、
多角的に岡部いさく氏が解説、さらに有識者の皆さんの意見を紹介します。ご期待ください。

ところで今回、日本に配備されるオスプレイの飛行隊については、当初、2010年に
カリフォルニア州MCASミラマーで新編されたVMM-561“Pale Horses”になることが
計画されていました。一方、普天間のMAG-36で活動してきた2つのCH-46E飛行隊のうち、
先に帰国するのはHMM-265“Dragons”で、VMM-561は同隊と入れ替わる予定でした。
しかしここにきて、状況が少々変わってきました。
日本にやってくる乗員、機材はVMM-561のもので間違いないようなのですが、
どうやら部隊名はVMM-265となるようなのです。部隊名を変更、HMM-265の歴史を
継承し、同時にVMM-561はその短い活動期間に終止符を打って解散することになります
(じつは「561」の名を持つ部隊は1960年代後半にもごく短期間活動しています)。
本来、飛行隊の機種転換には訓練、新機材導入のための時間が必要ですが、
今回は機材と人員を丸ごと入れ替えるという、これまでにあまり例のない
方式が採られるということのようです(来年帰国を予定しているHMM-262も同じような
方法で入れ替えを行なうのかもしれません)。まだ詳細が明らかではありませんが
今月末、岩国に機体が到着したとき、もしくは普天間で実際の運用が開始されたときに
その実態が明らかになると思います。
MV-22の航空機としての正当な評価についてもですが、こうした部隊運用の話も、
航空雑誌として今後もしっかりとフォローしていきたいと思います。
『航空ファン』、『世界の傑作機』など、
文林堂の本の情報はコチラから!
いつも的確な情報をありがとうございます。
これからも期待しております。
体壊さない程度に活躍ください。