全国の『世界の傑作機』、そしてソ連/ロシア機ファンの皆さん、
大変お待たせいたしました。
ソ連初の実用V/STOL戦闘機Yak-38 “フォージャー”が、
ついに本シリーズのラインナップに加わります。
“フォージャー”といえば、とくに目立った活動記録もなく、
強いて印象深い点をあげれば、30年前に発表され大ヒットとなった
長編軍事スリラー『レッド・オクトーバーを追え』で
なめてかかってきたF-14Aに不意打ちを食らわせたことが
小説とはいえ、唯一の花道だったことぐらいでしょうか。
本作品のリアルな描写には強く引き込まれるとともに、
ソ連機に対する著者T.クランシーのリスペクトもまた
そこはかとなく感じられたものでした。
で、こんどのカバーイラストをご覧になって
もうお気づきになりましたでしょうか。
そうです、その小説のYak-38とF-14が一戦交える場面を
佐竹さんに依頼して再現していただきました。
F-14は尾翼にスペードのマークを描きいれたVF-41 Black Aces。
小説では2機のVF-41機が“フォージャー”の編隊を
直進飛行で追い抜きざまにAAMで撃たれてしまうのですが、
それでは画としての動きがうまく出せないので、
少し「脚色」してあります。
『レッド・オクトーバーを追え』の発刊から遡ること数年前、
ソ連太平洋艦隊の本拠地ウラジオストックに向かう
「ミンスク」と「ノヴォロシースク」を写真家柴田三雄さんはじめ
報道各社がこぞってカメラに収め、新聞の一面を飾ったりもしました。
その艦上にあったYak-38の国籍標識「赤い星」が
ダークブルーの塗装とあいまって、やけに不気味に見えたものです。
あれから三十数年のときが経ったいま、こうしてYak-38の本を
作ることができ、感慨深いものがあります。
本書では本邦初公開の写真もタップリ載せています。
“フォージャー”の全貌を解説した記事のかずかずを
どうぞじっくりとお楽しみください。