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八重子のハミング

2017-10-10 00:10:39 | 映画
八重子のハミング
2016年日本 監督:佐々部清 キャスト:升毅、高橋洋子 原作:陽信孝
★★★☆☆

山口県のホールで開かれた講演会で、白髪の石崎誠吾(升毅)は、およそ12年にわたる最愛の妻八重子(高橋洋子)の介護体験について口を開く・・・
∞∞∞∞∞

教師をやっていた夫婦の物語。
夫はガンを発病。献身的に看病を続ける妻に異変が・・・
50代あたりで若年性アルツハイマーを発病した、1990年あたりの実話ベースのお話。
でした。

私にも、アルツハイマーを患い十年ほどの自宅介護を経て入院中の親族がいます。
「アルツハイマー」ってのは、そのほとんどが自宅介護になるせいか、
極度にとりまく人々の生活にも入り込んでくるので、「人それぞれ」だな。
というのが、観終わった第一印象でした。

この後は「ネタバレあり」です。
本作、一般的ではないな。と感じたのは

・「若年性アルツハイマー」である点。
たぶん奥さんは40代後半で発症したと思われ、これは確かに早いです。
こんなに早いと病状はともかく、取り巻く家族も現役世代になるので、経済的な問題より時間のやりくりがたいへんだったと思います。

・ご夫婦が地域に根付いた職業。教師だった点。
これは映画を観ると良い点、悪い点あるようです。
私などはいわゆる会社員だし、親族は遠くに住んでいるので、カミングアウトや近所の目の心配はなかったですが、
逆に相談相手や地域の手を借りることは少ないです。

・さらにご実家が神社である点。
さらに地域密着なわけですが、家は広いし三世代で住んでいるおうち。
これも同じく、良い点、悪い点あるようですが、一般的にはないシチュエーションです。

・時代が今から20年ほど前である点。
本作、観ていて違和感を持つのが「ケアマネージャーに相談すればいいのに」「デイサービス利用すればいいのに」なんですが、
本作の時代はそんなものが整備されていない時代。
これはたいへんだったと思います。
それこそ、実家が広くて、地域の理解と協力があったからこそ乗り越えられたんだろうなと思います。
でも、この時代、フツーの家庭でアルツハイマー(それも若年!)を患った家族が出たら、どうやって切り抜けていたんでしょう・・・?
ゾッとします。

と、ネタバレを含んで長々書きましたが、それでも本作は「他人事とは思えない話」だし、「単なるお涙で済ましてはいられない話」でした。
得に旦那さんがガンを患うのと、ほぼ時を同じくして妻がアルツハイマー、ってのは他人事とはしてられないシチュエーションでした。