金森正臣先生のカンボジアの文化・教育・食べ歩き体験記
金森先生のカンボジア日記
子どもの頃の心の問題
子どもの頃の心の問題
週に2回ぐらいは、スーパーに買い物に行く。これには、我が家の奥さんや私の認知症の予防も兼ねている。多くは11時ころから12時ころである。この時間帯には、ゼロ歳児から2歳児ぐらいの子どもを連れたお母さんが多い。ことばが発達していない子どもを観察していると、いろいろなことが分かる。私は、言葉の無いサルを観察してきたので、子どもと親の関係が観察だけである程度理解できる。これはカンボジアの教育支援の時も、ずいぶん役立った。
大雑把に分けると、第一は、親の関係がほとんどできていない状態。お互いに自分の意見を主張しているが、相手の意見はほとんど聞いていない。泣きわめいたり、叱ったりしているがほとんど相手には通じていない。この様な親子の関係は、2-3割ほどみられる。
次いで、ほとんど相手との関係に問題がないが、関心もあまりない。子どもはボーとして親に従っている。三番目は、親子の関係は良好で、子どもはのびのびと活動している。親に抱かれている状態でも、周囲に興味を持ち、いろいろと探索している。このグループが4-5割ほどいる。
この第一のグループが問題で、人間関係が成長することは難しい。成長しても人間関係を作ることが難しく、孤立して自分の考えから自由になることが難しい。最近の長野県中野市の事件なども、この様な問題から発展した可能性もある。
スーパーなどで見かける家庭は、児童・生徒のカウンセリングの時に出てくる家庭の問題に比べると、かなり問題の少ないレベルの家庭であると思われる。スーパーに子どもを連れて買い物に来られる家庭は、経済や家族間のレベルで、それなりに安定していると思われる。それでも問題を含んでいることが観察できる。現在の日本の問題は、この様な基礎的な問題から考えないとならない。
心の問題
心の問題
最近子どもの心の問題が気になっている。しかしながら、成長のどの段階でどの機能が成長するのか複雑で、なかなか取り組めない。
子どもの問題に関わっていると、成長のどこかで問題を抱えていることが多い。成長のどの段階であるか、またどの順番で問題が起きたのかが問題になる。しかしその程度や順番を知ることはほとんどできない。何故ならばほとんどの問題は、本人の意識の底にあり、意識の中には表れない。実際には子どもばかりでなく、多くの大人が同じような問題を抱えている。
スクールカウンセラーの皆さんの話を聞いていると、多くの子どもたちが生活に苦しんでいることが分かる。またその親御さんも同じ苦しみを持ってぃる。
サンショウ
サンショウ
春になり新聞やテレビで、サンショウの料理が紹介されている。
私が小学校から高等学校まで育った場所は、岩山が多く崖錐(岩が崩れて堆積した斜面)が多く、サンショウが良く育っていた。子どもとしては、サンショウの味はそれほど好きではなかったが、たまに手に入る豆腐にサンショウは好きであった。またサンショウの佃煮は、ご飯の共に欠かせなかった。
初任地の菅平は多くなかったが、少し下ると各所にあった。特に須坂市に住んでいたころ、途中にヤマアサクラザンショウと言う、とげの無いサンショウがあった。棘が無いと採集しやすいので、毎年楽しみにしていた。
愛知県に来てからは、サンショウをあまり見かけなかったが、サルの調査の折に設楽町の方で見かけることが多くなった。豆腐が好きなので、春にはサンショウを採集し、冷凍などにもしていた。
最近は植木屋でサンショウの苗が、2000円ほどで売っている。しかし住宅地で育てると、全てアゲハチョウに食べられ、人の口には入らない。数年前にも育てたが、全てアゲハチョウにやられた。
群発地震
群発地震
最近各地で群発地震があり、古い記録も報道されている。私の最初の赴任地菅平は、長野県の東部で、松代群発地震のすぐ上に在った。1965年頃の4年ほどで6万回の地震があったと言う。確かに、4年ぐらいの間、毎日かなりの数の地震があった。地震の前には、キジが鳴くのでよく認識できた。
多くの地震は震度3程度であったが、雪のまだある時期に震度5程度の地震があった。夜中で、急いで飛び起きて各部屋のストーブを見て回った。当時は石炭ストーブで、昼間の石炭が残っている可能性があった。案の定いくつかのストーブはまだ石炭の火が残っており、急いで雪の中に引き出した。
地震があると、各地の湧水がかなり変化した。友人が水分学の大学院に居り、一緒に調査に回った。湧水の有ったとことが無くなったり、無かったところに出現したりした。群発地震が終わっても、湧水地は元に戻らないところがあった。
現在の地震でも、同じようなことが起こっているであろう。生活に困るところもあるであろう。
札幌のライラックまつり
札幌のライラックまつり
札幌でライラック祭りが始まったとニュースで流れた。
初任地の菅平にも多くのライラックがあり、毎年香りを楽しんでいた。日本に野生種があるか分からないが、菅平湿原にムラサキハシドイと呼んでいたライラックがあり、これも春の楽しみであった。
私は色々な香りが大好きで、散歩でも楽しみにしている。花の香りだけでなく、動物の匂いもある。イタチ、タヌキ、キツネ、時によるとマムシも強烈な臭いを持っている。今の散歩では、花の香りが多い。特に家の垣根にあるバラは楽しみで、品種ごとに香りが異なる。
散歩道の脇にライラックがある。しかしどうした分けか、このライラックは香りがない。暖かいところのライラックは、香りがないのだろうか。
アフリカのハチミツ
アフリカのハチミツ
今日テレ朝で、タンザニアでJICAがハチミツプロジェクトをしていることを放映していた。相手はマサイで、蜜源はヒマワリだと言う。なんだか少しずれているような気がするが、ともかくハチミツはかなりとれるらしい。マサイはもともと遊牧民である。
私もタンザニアで調査していたころ、よくハチミツを採集した。その情景は、京都大学霊長類研究所名誉教授の加納隆至氏の退官記念文集、『アフリカを歩く フィールドノートの余白に』(以文社 2002)に、「アリマシのハチミツ採り」と言う小文に書いた。場所はタンザニアでも、マサイランドではなく奥地のタンガニーカ湖に近い場所のサバンナウッドランドである。アリマシは森の中でハチミツを採取することを生業にしていた。学校にも行かず、字も書けないし、計算もできなかった。年は私より少し上だと思うが、良く分からい。出会った時には62歳だと言っていてが、20年ぐらいしてもまだ62歳だと言っていると、大学院生から報告があった。
私たちの調査地では、乾季に行くから花はあまりないが、それでもハチたちは結構多くの蜜を集めていた。ミツバチの他に、ハリナシバチという小さな種類もいて、こちらも良く蜜を集めていた。アリマシは、ムニンガと呼ばれる木をくりぬいた蜂の巣を、森の木の上に150ほどもかけ、時々回って蜜を回収している。アリマシは、トングエと言う焼き畑農民の部族に属する。
帰るころの乾季の終わりには、木々の花が咲き始めて、サバンナもにぎやかになる。こうなるとハチミツも増えるだろうと思いながら、帰途の3-4日間を駆け抜けたものである。
子どもたちの苦しみ
子どもたちの苦しみ
最近発表された資料で、小・中・高校生の自殺が2022年に514人あったと言う。それから推察すると、自殺を考える自児童生徒はその30倍程度はあると思われる。この様な生きにくい世界は、いろいろ原因があると思われるが、子どもの意欲に大きな原因があると思われる。
子どもが生まれて授乳期から始まる人間関係が、子どもの成長期に大きな影を落としている。親がよそに気を取られながら授乳をしたり、泣いても十分に相手をしてもらえなかったりすると、子どもは自分の存在を肯定的に捉えられない。無意識の中で自分の存在意義に、疑問を持っている。
自由に遊びだしたい頃に、いろいろ否定されると意欲が低くなる。親はこの頃には子どもより圧倒的に力が大きいので、子どもを押し付けていても気が付かないで過ごす。
子ども支援も大切ではあるが、子どもの意欲を育てる方法を探さないと、結婚も所帯を持つことも面倒がる人々が増えるだけである。子どもの自殺の多さの線上に、少子化の原因もある様に思われる。
人生で使える知識
人生で使える知識
日本の古くからの言葉に、「畳の上の水練」というのがある。辞書で調べると、「畳の上でいくら水泳の練習をしても、実際に水の中で泳げるようにはならない。理論はもっともらしくても、実地の経験を積んでいないので、まるで役に立たないことのたとえ」となっていると言う意味。
学校で教えていることはこの様なことにならないであろうか。太田堯さんの「なぜ学校に行くのか」(岩波 1995)に、「体の中にめり込んだ知識」・「人格知」として紹介されている概念がある。これは畳の上の水練ではなく、繰り返し体験して得られる体験的知識で、人生で使える知識の概念である。
学校でも最近は、IT関連の教育が進み、技術的には色々習得できる。しかし、実際の人生の判断に立った時に、果たして有効な選択ができるか疑問である。学校で習った知識も、体験知とつながっているものは使えるが、単なる知識は役に立たないような気がする。
ドイツのシュタイナーの教育も、この様な思想に基づいている。人生の役に立つ知識を与えるために考案された教育である。日本の教育も、再検討をする時期に来ているのであろう。
ヒツジとヤギ
ヒツジとヤギ
最近テレビで動物による除草にヤギが登場する。
私は子どもの頃に、ヒツジもヤギも10年以上飼っていた。ヤギは乳を飲むために、ヒツジは毛を刈っていたが、どのように始末したか覚えていない。
最近なぜヤギなのか疑問を持つことが多い。一般にヒツジの方が草を丁寧に食べるし、人に慣れて扱いやすい。ただ突然、突きかかってくることがある。ヤギは一度後ろ足で立ち上がらないと突きかかれないが、ヒツジは突然突きかかれる。
飼っていたヒツジは、メリーノ種で毛刈り様の品種であった。やぎはザーネン種で、搾乳用品種であった。ヒツジには、トルコなどで見かけた肉用の顔の黒いサフォーク種がかわいい。かなり草の条件が悪くても生きて行かれる様だ。やはり肉にするのには、肉用種が良い。
最近の子どもは、実際に経験する機会が少なく、思考と体感が結びつかない傾向がある。AIの普及も良いが、体験を重要視しないと思考は発達しない。
今年度の第2回目の、事例研究会
今年度の第2回目の、事例研究会
連休も終わり、日常の仕事に戻ると思います。この間も問題を抱えて児童生徒は苦労していると思います。すぐに問題は解決しませんが、少し視野を広げて支援の前進を試みてください。
開催は、5月14日日曜日です。
2023年度 事例で学ぶ児童生徒支援
子どもたちの成長と楽しい学校生活のために日々のご尽力、ご苦労様です。
児童生徒支援の実際は多くの困難さを伴い、これでよいのだろうか、もっと他によい方法はないだろうか、自分は何ができるのだろうかなど、苦慮することばかりだと思います。児童生徒の問題行動を多面的なとらえ深く理解するためには、事例を通して学ぶことが大切だと思っています。2023年度は、下記のように計画しました。ご参加をお待ちしています。
記
1 参加者
・子どもの問題に関心のある方(守秘義務の守られる立場の方)
・生徒支援の力量を高めたいと思っている教師
・事例を抱えていて助言のほしい教師
2 開催日時
・第2日曜日 13時30分~15時30分 年8回
4/9(日) 5/14(日) 6/11(日) 9/10(日) 10/8 (日) 11/12(日)
1/14(日) 2/11(日)
*学期末の7月、12月、3月は休みます。
*夏休みの8月は、箱庭を作る会の予定です。詳細は後日お知らせします。
3 場所
・安城カウンセリングルーム
安城市御幸本町10-5 シャンボール安城1103号室
*JAあいち中央の西側マンションの11階です。駐車場はアンフォーレの駐車場(2時間無料)、又は、御幸本町市営駐車場を使ってください。徒歩1~2分です。
4 助言者
金森正臣先生 愛知教育大学名誉教授
5 会費
1回500円
6 会の進め方
・事例は口頭、またはレジメで発表し、児童生徒の絵、作文等があれば資料とします。
メールは、 <anjoco2006@ezweb.ne.jp>です。
(世話人:安城カウンセリングルーム主宰 杉浦ひろみ 080-5165-9824)
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