kaeruのつぶやき

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生まれる前の80年間、生まれて80年間。

2017-05-05 23:40:35 | kaeruの近現代史

一昨日「日本国憲法施行は10歳の時でした」と書きました。今日はその「ー2ー」を書くつもりでしたが、頭に浮かんだのがこの本です。      

買ったのは5年前、2012年6月5日第6刷と奥付にあります、第1刷が同年3月10日、三ヶ月で6刷というのはかなり好書という評価があったのでしょう。私のこの本に対する期待は、目次のページに「私の160年史  1857〜1937〜2017」と書いてある通りで、タイトル通り1937年をはさむ前後各80年間、計160年間を頭に置きたかったのです。

表紙の帯に見られますようにこの本の記述範囲は書かれた著者の坂野潤治さんが「この国が最も激しく揺れ動いた1857(安政四)年から1937(昭和十二)年までの80年間。近代日本の劇的な歩みを、……、通観する」と記しています。

一昨日も自分の生まれた1937年(昭和十二年)がどういう時代だったのかへの関心の一部を述べたのですが、その意識の底にはこの本があったのかと思ったのです。そこでは詠んだ川柳を紹介しながら時の天皇制国家権力によって獄死させられた鶴彬について書きました。彼の死は小林多喜二と同様に当時の治安維持法によっての弾圧によるものでした。

坂野さんはこの本で区切られた80年間を6つに区分し1937年を含む最後を「危機」と特徴付けています。そしてこれ以後を「崩壊の時代」とし、

【これ以後の八年間は、異議申立てをする政党、官僚、財界、労働界、言論界、学界がどこにも存在しない、まさに「崩壊の時代」であった。】

この「崩壊の時代」に生を受けていたことを頭に置くならば、どういう時代に生を閉じようとしているのかも、頭に置くべきなのかと思うのです。

「共謀法」をめぐる情勢は緊迫してます。

この法案が治安維持法の現代版だという指摘は、1937年で区切られた「危機の時代」が「異議申立て」をする者が権力で潰されてきた時代だったことを知れば、安倍政権のあり様が「異議申立ては許さない」に向かっており、その法案つくりだと分かります。

毎日の情勢は変転のなかにありますが、これからの時代を再びの「崩壊の時代」にしてはなりません、「歴史は繰り返す、最初は悲劇として、次は喜劇として」といわれます。安倍政権とその追随者を惨めな喜劇役者として歴史の舞台から引退させねばなりません。その知恵と力をこの160年間から学んでいきたいと思います。