阪神淡路大震災が最初でしょうか、こちらでも縦揺れがあり、私はとても大きな地震ではないかと思いました。私は当時、新聞店に勤務していましたから、次々と近況を伝えるfAXが入って来て驚いていました。来るたびに死傷者数が大きくなって行きました。事の重大さに身のすくむ思いでいました。遂に千台に達した時には、とても大きな災害になったのだと実感しました。大都市の地震は被害がとても大きいですね、テレビを見ていて痛感したものです。その後もいろいろと見聞したものでした。
何年かして旅行で電車に乗った時に、関西出身の方で、今はこちらの地方の親戚の所で暮らしているという方に出会いました。それで、阪神大震災の時には大変でしたね、という話になり、私がこちらでも縦揺れがあり、大きな地震なんじゃないかと思っていたというと、こちらでもそんなに酷かったのですかと言われ、それでは向こうがあんな感じなのも頷けると言われました。続けて、それはもう酷い状態だったという話をされるので、私がそれは酷いですねと言ったところで、ふと振り返って電車内を見ると、かなりの人が手を振って、俯いて、しょんぼりした感じで、その話はもうしたくない、というような様子でした。悲壮な感じの方もおられました。
私はその車内の様子に、『まぁ、』という事でハッ！としました。その鎮魂に沈んだ人々の様子に驚いたのです。何年経っても、当事者にすると話題にもしたくないほどの悲しみや記憶なのだ、という事を悟ったのでした。
それで、この時以降は地震の話はしない事にしています。この時の電車の中の出来事は、当事者の人には触れてもらいたくない話という物もあるのだ、という事が理解できた瞬間でした。それだけ酷い出来事だったのだとよく分かりました。お悔やみ申し上げます。天災って嫌なものですね。そして、人災も嫌なものです。