Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

卯の花3 64

2020-10-31 11:31:40 | 日記
 暫くして、私はあまりスッキリしない状態を不思議に感じていた。が、しゃがんでいた足が疲れて来た。それに何時迄もこの場所にはいられないなと、この場所に見切りをつけた。

 体調の不調を不可解に思いながら、個室から開けた廊下に顔を出すと、父の姿が遥か台所の先に見えた。その場所は居間から続く廊下の終わりだった。台所への段差の降り口に当る。父はその場所にどっしりと腰を掛けていた。

 未だいたのか、私は思った。きっと私を待ち受けていて、また何か言いだすのだろうと私は嫌な物を感じた。

 手洗いを済ませた私が、渋々という感じで父に歩み寄る。もう彼の間近に来たが父は未だ無言の儘でいた。このまま私を見過ごして居間に行かせてくれるだろうか?、私は淡い期待を掛けた。

 私が台所の廊下から居間へ続く廊下に上ろうとした途端、もう私の真横となった父が、腰を掛けた儘で私に一言おいと声を掛けて来た。やはり来たな、私は思った。さて、どんな文句が彼の口から飛び出して来るのだろうか。私は覚悟した。すると、父はその後何かを語るでもなく、ふうっと溜息を吐いて、父さんもなぁ、ああは言っていたけれど、と言うと、彼は視線を床に落とした。

「あの人のいう事も当てにならないからなぁ。」

と父は嘆息気味に呟いた。

 父さん?、父が父さんというからには、それは祖父の事だと私は思った。『お祖父ちゃんが、何だろう?。』と私は考えたが、多分、私の事について彼が何か取り成してくれたのだろうと、直ぐに明るい希望を感じた。私はほっとすると同時に、父の言いたい事は小言ではなさそうだと判断した。すると父は、お前今ホッとしただろうと言う。確かにそうだ。

 「父さんが、お前のお祖父ちゃんだが、何かしたとして、如何してお前のことをよく言ったとお前は思うんだ。」

父はそんな事を言いだす。これは難問だ。私は眉間に皺を寄せた。そんな質問、私には無理難題という物だ。また父の、私へのねちねち構いが始まったな、と私は内心溜息をついた。この頃、私は父からあれやこれやと長々質問されるという雰囲気になると、内心うんざりしながら彼から構われていると思う様になっていた。

 すると、おいおいと遠く祖父の声が聞こえた。

「イビリは止めなさい。」

その声に、

「イビリだなんて…。父さんにするとこれはそうなんだろうさ。」

そう、父は顔だけはこちらに向けて、さも聞こえよがしに祖父の声のした方向に声を出すと、彼は不承不承の態で、徐にお前もう寝るといいぞと言い出した。

 「疲れているんだろう。顔色が悪いぞ。」

そう言って、彼は私の腰へ自分の両手を伸ばし、私の体をその両の手で上に持ち上げると、自身の腰かけている方の廊下の方へとよいと下ろした。そうして彼は自分の大きな片方の手を広げると、居間へ向かって労わるように私の背を軽く押してくれるのだ。

 私にはこの父の優しさが意外な気がしたが、彼に抗う事無く、また、この時自身の胸の内に感じた、『あれ?、お昼ご飯は?…』のやや大きな疑問も特に口に出すという事も無く、父からゆるりと送り出された儘、その時の穏やかな勢いの儘で、ぽてぽてと静かに廊下を進み出した。この時、私は自身の体にどっかりと降り掛かって来る様な疲労を、一足毎ににひしひしと感じていた。

卯の花3 63

2020-10-31 10:47:31 | 日記
 うん、もう、私は呟くように言ったが、何だか自分の呂律がよく回っていない様な気がした。しかし私は続けて言った。

「もう怒った、智ちゃんここで漏らしてやる!。」

自分では威勢よく言い放ったつもりだ。が、自分の言葉はふにゃふにゃとして力の無い事も自覚出来た。もっと確りしなければ、自らを鼓舞すると、ふんとばかりに自分の力を口元に集めた、「よく目をみ開いて見ろよ!、目にもの見せてやる、えい!、これを食らえ!。」と、これは聞き習った遊び仲間のお兄ちゃん達の、今将に喧嘩を始め様という時の決まり文句だった。

 すると父は少し怯んだ様子になった。私の肘を強く掴む彼の手から力が抜け、その握りが弱くなり緩んで来た。私は私の両足が床の上に着くのを感じた。今だ、「さぁ見てろよ!」、と言うと、えい!とばかりに眉をしかめ、私は両方の足を床に踏ん張った、と、ザーッとばかりに、…。おやっ?

 私が自分の視点を台所の廊下に戻すと、父は私から離れていた。彼は廊下のやや向こうにいて、逃げ腰の姿でこちらに背を向け立ち止まっていた。顔だけは私の方に振り向けて、こちらの様子を窺っているようだ。私の様子を見て、場合によってその先へ行くかどうか判断しようとしているらしかった。その事は私にも分かった。

 父は逃げたのだな、ふんと私は思った。それはそれとして、私はこの時自分の足元がぐっしょりと濡れているだろうと思っていた。やれやれと溜息交じりに私はその不快感を確認しようとした、が、意外な事に、私の股間には例の生暖かく濡れそぼった様な不快な感触は無かった。おやっ⁉と、私は不思議な気がした。出ていなかったのだ。先程迄、あれだけ熾烈な尿意を感じ、差し迫った緊迫感の中にいた私なのに、一体如何いう事だろうか。

 何故だろう?。私はトイレの前で首を傾げて不思議がった。これはもしかしたら夢の中なのだろうか?。『私は今現在昼寝中で、今迄見ていたこれは私の夢の中の出来事なのだろうか?。』、とさえ怪しんだ。おかしいなぁ、普段は逆なのだが…。

 大抵、私が夢の中で、思いがけず自身が川や海に落ちたというような、大量の水の溢れる場面が出て来ると、私の下半身は生暖かい不快感に襲われて来る。私がハッとして目覚めると、母からは、お前は寝小便をして、と、こらと叱られる状態になっているのだ。が、自分が自らしようとしてしていて、実はしていなかったという逆説的な出来事が起こっているのだ。何ともこの状態が理解不能、誠に怪しい出来が起こったのだと私に感じさせた。

 『こんな事初めてだ!』と感じた。これはまた何度目かの、私にとっての未曽有の出来事となったのだ。そう考えて来ると、私のこれからの人生の、これも1つの経験でしかないのだ。そう私は結論する事にした。

 この事で間誤付いていた私は、気付かない内に再び私に近付いて来た父に、お前はと不意に言葉を浴びせかけられた、が、今回の彼の言葉や気配はやや勢いが落ちていた。

「大の方なのか?。」

そんな疑問を唐突に聞いて来る。いやと私は否定した。私が彼に小だけだと答えると、まぁ、お前、その様子では大もじゃないのかと、彼は如何にも一人合点した言い方をすると、意外な事に私にトイレへ向かう事を勧めた。行って来いと言うと、行っていいぞと、直ぐに彼は私が婦人用トイレへ入る事を許可してくれた。

 この時、私は何だかもう一波過ぎた気持ちだった。峠を越えた感じと言えばよいのだろう、それでも、私は父に逆らう事無く目的の場所に向かうと、腹部と感情に不自然な感覚を感じながら、漸くの事とその場に落ち着いてみるのだった。

今日の思い出を振り返ってみる

2020-10-31 10:28:50 | 日記

うの華 90

 「親の言う事は、はいはいと何でも聞いて置くものだよ。」祖母はこう私に諭したのだが、私にはどうも納得がいかなかった。していない事をしたと言わねばならないのか?どうも釈然としない......

 良いお天気です。お天気が続きます。もう晩秋に入る頃なので、小春日和という物かもしれません。貴重な日差しという物でしょう。冬はサンルームが欲しいですね。

卯の花3 62

2020-10-30 10:03:55 | 日記
 私に取って、家の紳士用トイレは背丈が高過ぎた。おむつが取れ、トイレ訓練をするような幼い幼児の頃なら、それこそ父等が私を抱え上げ、しーととと…等、補助してもらいながら使用する事が多かったが、自分1人で通うようになると、現在まで私の使用するトイレは婦人用の物に限られていた。しめ切るとほぼ真っ暗、幼い私には要領を得ない暗闇となった。お陰で私は広く戸を開け放すという事で、個室全体を明るい状態にして用足ししていた。

 さて、次は目的の婦人用トイレだ、そこがゴールだと私が思ったとたん、私の片腕、肘の所が何かに引っ掛かった。何だろう、こんな場所のこの高さの空間に、私の腕が取られ、引っ掛かる様な物が有っただろうか?、とぼんやり思ったが、私は先を急ぎ焦っていたので、ぐいぐいと自らの体を引っ張り盛んに足を前へと動かした。すると、私の半身が宙に浮きあがった。おやと思ったが片方の足は床についている。

 「こらこら、親に向かって何を言うんだ。」

と、私の間近で父の声がする。私は何が起こっているのか全く判断出来ないでいた。皆目自分の状態が分からないという有様だ。実はこれは、私がまた父に引き止められたのだ、という事に気付くのに暫し時間が要った。

 「子供の分際で、親に何て言い草をするんだ。」

どうやら父は私に怒っているようだ、と私は判断は出来た、が、私の頭は相当朦朧としていた。その上、そんな事もう如何でもよいとさえ思った。もう目前のゴールに対して私はお預け状態なのだ。よくお預けを躾けられている、親戚の犬等の場面を思った。『犬じゃ無いんだから…。』私は犬でもないのに、お預けされている。しかも自分の父にだ。うんざりした。説明しても分かってくれない父にほとほと愛想が尽きた。しかも、黙ってぐったりしている私に、父はおしっこというのは嘘だろうと迄言い出したのだ。

 ここ、ここに置いて、私は到頭堪忍袋の緒が切れた。もう後が如何なろうと構わない、後で母がどんなに私を怒ろうとも構わない。ちらりと鬼の形相で怒る母の顔がゆらりと私の瞼に浮かんだが、もうそれでも構わない!、と、私は思い切った。たった今、この場で漏らしてしまおうと私は決意したのだ。

今日の思い出を振り返ってみる

2020-10-30 09:32:56 | 日記

うの華 89

 何処の家庭でも相関図と言うのは有るのだろう。元々私の祖父と父は相性が悪かったらしい。そこに祖母と私の母、私が加わると、矢印への書き込みは多岐に渡り始める。長年の犬猿の仲が固まった......

 良いお天気です。薄めの白い雲が延びています。うららかなお天気です。

 新型コロナ患者の発生数は緩やかな上昇傾向との事で、Go・to・eatはその内また規制が出てくるのかしらと、都道府県のクーポンを買うか、行くか行かないか、早めに食事してしまうか等々、そんな事を考える最近です。インターネットの操作も扱いにくい面があり、苦労しています。
 インターネットといえば、パソコンも相変わらず立ち上がりにくいです。調子が悪いのだなと考えていましたが、パソコンの方も、せっせと立ち上がるために苦労しているのだなと考えると、こうやってまだ使える事に、老骨に鞭打って頑張ってくれているのだと感謝したくなります。(長年、何回かの不調を訴える内に、電話サポートの方が使っていた言葉、パソコンも具合が悪くなるんです。頑張っているんです、等、機械を擬人化する事を覚えました:笑い。)