Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

美湾

2018-01-02 22:53:34 | 日記

   『外国に来てまで男の子に意地悪されるなんて、』

釈然としない気分のままテーブルに戻り始めた私に、過去に男の子達から受けた嫌な思い出が甦って来ました。今の男性に対して感じた不愉快で嫌な気分が、過去に同じ様な気持ちを感じさせた男の子達の事を思い出させ、過ぎ去った遠い出来事を私に連想させるのでした。

   席に戻り、メロンと紅茶をテーブルに置いたままで、ボンヤリと窓を眺めていた私は暫くして窓の向こう側の動く影に気が付きました。そこには庭師らしい白人の男性がいて、箒を手に持ち落ち葉の掃除をしているのでした。彼は割合若い年代の男性のように見えました。20代くらいの白人男性でしょうか。私はぼんやりと思い出に耽っていたので、いつ彼が目の前に現れたのか全く気付きませんでした。そこで眼下の箒を見ると、そこにあったはずの箒が無くなっていました。彼の持っている箒が私の目の前に落ちていた箒に間違いないのでしょう。よく見ると外にはもう落ち葉が散っていました。彼は元々落ち葉の掃除をしていたのでしょう。一旦休憩していて続きを始めたようでした。

   私は思い出に浸りながら目の前の窓を見詰めていたと思うと、知らない内に箒を取りに来た男性と目が合っていたのではないか?と心配になりました。記憶を甦らせながら様々な表情をしていただろうと思うと、複雑な表情で彼と目が合っていたかもしれないと思い、照れると共に気恥ずかしくなってしまいました。私は知らない間にとんだ誤解を受けたかもしれないと思ったのです。

 そこでそれとなく庭の掃除をする男性を見てみると、特に何という事も無い様子でした。私には無関心な様子でせっせと掃き掃除中なのでした。私はほっとしました。まぁ、彼にしても、外国人の私にそう構う理由も無いからと思うと、私は取り越し苦労をするのを止めて海に視線をやりました。

   相変わらず波の煌きが宝石のよう、光の漣のようです。気は晴れないかも知れないけれど、と、私は思いました。昨日一旦沈んだ後、綺麗な海水を見ても気持ちが晴れなかったように、今も一旦沈んだ気分は浮かんでは来ないかもしれない、それでも、嫌な事ばかり思い出すより、あの綺麗な光を見て美しい思い出に浸った方が良いに決まっている。そう決心すると、私は光のさざめきのみを注視するのでした。溢れる海上の光は目に眩いばかりに跳ね弾けさざめき合っていました。五線譜の波の上の旗付き音符のような軽やかさでした。 

   


美湾

2018-01-02 12:13:21 | 日記

 食事の最後に、デザートとお茶を取りに盛り合わせのワゴンの場所に行くと、デザートのカウンターの前に、学生位の年代で、若い背の高い白人男性が1人立っていました。他には誰もいないので、私はその男性の傍に行くとワゴンに並んでいる料理を眺めて物色してみました。

『どのデザートにしようかしら。』

そこには迷う程に多くのデザートありました。それらは殆どが手付かずできちんと綺麗に整然と並んでいました。より取り見取りの状態と言ってよく、新鮮な真新しいデザートの盛り合わせになっていたのです。私には嬉しい驚きでした。朝からデザートを食べようと思ってよかったと思いました。そこで早速、食べた事が無くて美味しそうな食品の1つを見定めると、サーバーを手にして、自分の皿にその食品のトレーの内の1つを取り分けようとしました。すると、横にいた男性が自分の体を私の目の前に傾けて、私を遮るようにしてデザートを取る事を邪魔するのでした。

 私は意外に思いました。そこで、彼の行動は、彼が先にこの場にいたのだから、彼が先に食品を取ってから、次が私だという意味の示威行為なのかなと考えました。この邪魔をするという行為が彼のボディランゲージだと解釈しました。彼は順番だという事を言いたいのだと思い、私は彼がデザートを取り終えるまで待つことにしました。

 しかし、暫く待っていても彼が何かを皿に取る気配がありません。私はじれったくなってきました。そこで彼がトレーの側を離れた隙に、もう1度と狙いを定めてあったデザートにサーバーを伸ばしました。すると、やはり彼は急いで傍にやって来て自分の体でその食品を隠すようにして私の邪魔をするのです。こうなると仕様が無いので、英語で私が話をしても通じないだろうしと思うと、私は溜息交じりで別の物で目に着いた、端の方にあった生ハムとメロンのデザートを1個皿に載せると、これには彼は無反応でした。私は何だか不愉快に感じましたが、無事にカップに紅茶も入れて自分の席に戻って来ました。

 私はそれまでに感じていた朝食の清々しい気分が一遍で沈んでしまいました。外国に来てまで男の子に意地悪された気分でした。無論男性はかなり育っていたので少年ではありません。やはり青年のようでしたが、ああやって人の邪魔をする姿が子供っぽく思えわれてしまうのでした。