JR4GPAの「つぶやき」

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IC-750 修理 その2

2020-07-19 | Weblog
IC-750 の修理の続きです。

その後、連絡があって、28MHzは50Wを100Wにして欲しいとの事ですので改造しました。
これで全バンド100Wになったと思ったら、無線機が冷えている状態では
1.9MHzと3.5MHzが80W程度と低いのが判明。
20分通電しておくと、1.9MHzと3.5MHzのパワーが100Wに近づきます。
真空管の無線機より長時間のウォーミングアップが必要です!

先週調整した部分では、温まった状態でしたので、冷えた状態は確認していませんでした。
そうなると原因を探らないといけません。

色々調べてみると、分かったのは
・USB、LSB、FMではどのバンドも100W以上出ている
 (当然ですが、ダミーロードを接続しての試験です)
・RTTY、CWでは上記不具合が発生している

と、言う事はパワーアンプやLPFの不具合ではなさそう。またセンサー関係でもなさそう。

これで切り分けが出来ましたので、次はRFユニットの出口で確認。
モードをCWとUSBとして、1.9MHzから28MHzの出力データを取って行きます。
なるほど、USBではガンガンパワーアンプを押していますが、CWでは息絶え絶えでやっとパワーが出ている模様です。
そしてCWでは1.9MHzで最低出力、28MHzで最高出力となっています。周波数が高くなるほど
出力が良く出る傾向のようです。
1.9MHzと3.5MHzではパワーアンプで100W出るだけのRF信号を作りだせていないのです。
ここまで分かればもう簡単、CW、RTTYだけ追いかければ良いのです。

さっそく劣化部品が無いか、該当箇所をチェックします。


トランジスタの不良かと思ったら、「疑ってごめん」と言うくらい元気でした。
じゃあコンデンサの容量抜けか?と回路図で確認したコンデンサを基板上で探し出し
半田を外し、部品を取り出してみると、え?部品に刻印されている値が回路図と違います。
これが違うならここは?これまた違います。
ちなみに、回路図通りの値にすると、どうなるか実際に実装して見ました。
予想通り、パワーが激減.....
と、言う事は、設計値ではうまく動かなかったのですね。そして実装されていたコンデンサを
測定してみると、正常な値で部品の劣化ではありませんでした。

IC-750の後に、改良版のIC-750Aと言うのが出ましたので、その回路図を見てみると
あ、やられた。しっかり回路変更されています。

なるほど。

これで分かりました。IC-750でギリギリしかパワーアンプを押せない状況だったので
部品定数の変更で逃げようとしたが、部品の組み合わせによって不具合基板が
出たので、IC-750Aではこの部分が一発で動作するように改良したって訳ですね。
(勝手な推測ですが....)
他にも改良されていると思いますので、後で2つの回路図を眺めてみます。

そこまで分かっても、IC-750の基板をIC-750Aの基板のように改造するわけには行きません。
該当部分はがらりと変えられていますので、そう簡単なものではありません。
IC-750の基板でパワーが出るようにしないといけないのですが、どうするかなあ。

部品単体では、まったく異常が無いので、経年劣化で全体的に悪い方向になったので
何かを変えて良くなるってものでも無さそうです。
増幅度を上げるしか手はありませんので、部品の値をちょっとだけ変更して対応しました。
これで、冷えた時も全バンド100W出ていますが、これでも1.9MHzと3.5MHzは
やっと100W出せるパワーを確保できた程度で、本来ならもっと押せてないといけません。
これ以上、この回路ではどうしようもないので、この辺りで打ち止めです。

やはり、何でも改良版の方が良いですからねえ。
だから、出てすぐの無線機を予約注文した事はありません。
安定した頃に買うのが良いのですが、あまり待っていると改良版の
PROとかMK2とか出て来るし、それも初期版はいやだからなんて
言っていると、いつまでも買えないんですよね。

待て、待て、お前は中古の壊れているやつしか買わないんだから、その心配はいらないだろう。
正解です........


TS-940S Limited 修理

2020-07-05 | Weblog
TS-940S Limited の修理です。



・感度が突然下がる
・ATTスイッチが設定通りに動作しない
と、受信関係が駄目です。
送信はざっと点検しましたが、問題なさそうです。

早速、修理開始です。
SGから信号を入れて確認すると、良い時はTS-940Sと変わらない感度でしたが
異常時は30から40dB感度が低下しておりました。
調べてみると、RFユニット内に半田クラックがありましたので、半田修正しました。



次に、ATTスイッチが設定通りに動作しないのを調査。
これもSGから信号を入れて調べます。またまた半田クラックで、見た目は何ともありませんが
半田内部に空洞が出来て、接触していないようでしたので、半田修正しました。
これでATTの表示通りのステップで減衰するようになりました

受信感度に関しては問題なくなったはずと、各バンドの感度チェックを行いました。
すると14MHzと18MHzが正常なTS-940と比べて90dB以上感度が低下しています。
これまた半田クラックです。ダイオードスイッチがONして信号を通過させるのですが、半田クラックで
信号が通過できなかったため、感度が極悪だったのです。
これで、やっと全てのバンドの感度が正常となりました。



全体的に、かなり半田が劣化しています。再半田すれば良さそうに思われますが
そのまま半田を追加しても、半田が部品のリードに絡まず、半田を 「はじいて」 しまいます。
一番良いのは、半田吸い取り --> 部品のリードを磨く ーー> 再半田 ですが、
これを全部品に対して行う事は出来ませんので、不具合が発生した所から
潰してゆくしかありません。
古い無繊機を動作状態で維持するのは大変な事です.....

一通り動作試験をして、問題がなさそうなので調整を行います。
基準信号を調整したいのですが、PLLユニットは他のユニットの下です。
それを除けないとアクセス出来ません。これを除けて通電した時に
パチンと言わさない細工をするのが大変です。
手前に写っているユニットが、スルスルっとすべってPLLユニットに乗っかったら
金属部分がどこかに触れてパチンは間違いありません。
怖い作業です。

こんな感じで調整します。おいおい


他にも色々調整して、本日の作業は終了です。

「突然感度が落ちる」との事でしたので、しばらく連続通電試験をします。
もう不具合は出ませんように!