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原発問題

原発事故によるさまざまな問題、ニュース

科学技術庁が指示したNHKへの「やらせ抗議」 ※13回目の紹介

2014-10-10 21:00:00 | 【原子力ムラの陰謀】

*『原子力ムラの陰謀』著者:今西憲之
第4章 科学技術庁が指示したNHKへの「やらせ抗議」」を数回に分け紹介します。13回目の紹介

原子力ムラの暗部を刻銘に記録に遺し、その男は逝った-

1995年12月8日、「夢の原子炉」と言われた

高速増殖炉「もんじゅ」でナトリウム漏れ事故が発生。

事故をめぐる”隠蔽”が次々と発覚する中、

一人の「国策会社」幹部が突如、命を落とした。

死の謎を解く鍵は、遺された膨大な資料のみ。

そこには原子力ムラが行ってきた”裏工作”の歴史が、

あまりにも生々しく記録されていた。

(P3「まえがき」から)

「『もんじゅ事故』で謎の死を遂げた西村成生さんが残した内部資料があるらしい」

 2012年冬、はじめにその話を聞いた時は、ここまで深くその資料と付き合うことになるとは想像もしていなかった。

  「西村ファイル」と名づけた資料の山を読み進めるうち、取材班は何度も我が目を疑った。国の特殊法人であるはずの動力炉・核燃料開発事業団(動燃=当時) が地域住民や職員の思想・行動を徹底的に調べ上げ、「洗脳」「工作」といった言葉が頻繁に飛び交う。そして、あまりに不自然な西村氏の死-。「原子力ム ラ」の異常な体質が、次々と浮かび上がってきたのである。

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**『原子力ムラの陰謀』著書 「第4章 科学技術庁が指示したNHKへの「やらせ抗議」」の紹介 

前回の話:科学技術庁が指示したNHKへの「やらせ抗議」 ※12回目の紹介

「事前の話では施設の中身をしっかり見せてくれるということだったのに、バスに乗せられて敷地内を一巡しただけで、一度も降ろしてくれなかった。『じゃあ、これで終わりです』と言われて、みんな『えー!』と、驚いてしまった。もんじゅの建物なんて大きくて敷地の外からでも見えるのに、それと何も変わらない。平日なので仕事を休んできた人や、遠方から高い旅費をかけてきた人もいて、『なんや、これ詐欺やん!』『冗談じゃない!』と、怒りの声があがりました」

 動燃側の記録でも、見学団はまず「仮設説明室」で概要説明を受けた後、「もんじゅ建設の歩み」という15分間のPRビデオを見せられ、続くバスでの構内一巡が約15分間。再び「仮設説明室」に戻って25分間の質疑応答で終わっている。この間、正味1時間半ほど。動燃側がスミス氏に手渡した<もんじゅ見学の件について>という文書には、

<構内での写真(ビデオ、映画を含む)は撮影禁止とします。(事業団バスへのカメラの持込みはご遠慮ください)>
<構内一巡中、バスから降りないでください>
<以上の条件が尊守されない場合は、見学をお断りします>

 構内ではバスから一歩も出られず、写真撮影も一切禁止。わざわざ遠方から見学に来てこの内容では、原発反対派でなくともバカにされた気分になるのではないか。

「本当に腹が立ちました。後で聞くと、原発推進派の議員などにはもっと奥まで見せている例もあるようです。相手の政治的な立場によって見学内容を制限しているようですが、本当に説得したいなら、反対派にも『どうぞ来てください、説明します』と、自信を持って内部を見せるべきじゃないでしょうか」(スミス氏)


 本誌はJAEA広報部に、原子力施設の見学者受け入れの基準について聞いてみたが、「その時々の施設の状況によります」

と、なんとも歯切れの悪い「官僚答弁」のような回答しか得られなかった。ところが「西村ファイル」には、この”謎”についても答えがあった。

 スミス氏の「もんじゅ」見学には報道記者も多数、同行していたことから、動燃側も危機感を抱いたらしい。1週間後の4月26日、動燃総務部が<視察・見学対応について(案)>という、見学者受け入れの基準について検討した書類を作成していたのである。

 書類には、受け入れ基準について次のように説明されていた。

 <事業団業務の理解、原子力開発の必要性等を理解してもらうという観点から、見学者等の原子力に対する賛否等の意見(思想、信条)は問わない>

 一見、殊勝なことを言っているのだが、すかさず次のように続ける。

<しかしながら、事業団の都合により見学等の受入れを断ることがある。
①業務上(施設の性格や実施業務の内容および実施状況等)
②日程上(業務の実施工程や他の見学等の受入れ状況)
③目的が見学等の趣旨にそぐわないもの
 ・原子力開発または事業団業務の反対を目的として、抗議行動等示威的行為を行うもの
 ・事業団施設を破壊する恐れのある者
 ・事業団に関する訴訟の当事者(原告)>

 特に③に注目である。前述のように、スミス氏の見学問題の時点で、すでに訴訟の原告は受け入れない方針が明確になったが、「反対を目的として、抗議行動等示威的行為を行うもの」についても、見学を拒否できる道を残している。結局、動燃側による恣意的な選別の余地を残した記述になっているのだ。

※続き「科学技術庁が指示したNHKへの「やらせ抗議」 」の紹介は、10/14(火)21:00予定です。

10/14(火)22:00から「第8章 もんじゅ事故「隠蔽」の極秘記録と西村氏「怪死」の真相」の紹介を開始します。(『プロローグ「3・11福島原発」の序曲 それは「もんじゅ」事故から始まった』も一緒に紹介)


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