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原発問題

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もんじゅ事故「隠蔽」の極秘記録と西村氏「怪死」の真相 ※8回目の紹介

2014-11-04 22:00:00 | 【原子力ムラの陰謀】

*『原子力ムラの陰謀』著者:今西憲之

プロローグ「3・11福島原発」の序曲 それは「もんじゅ」事故から始まった」、

第8章 もんじゅ事故「隠蔽」の極秘記録と西村氏「怪死」の真相

を複数回に分け紹介します。8回目の紹介


原子力ムラの暗部を刻銘に記録に遺し、その男は逝った-

1995年12月8日、「夢の原子炉」と言われた

高速増殖炉「もんじゅ」でナトリウム漏れ事故が発生。

事故をめぐる”隠蔽”が次々と発覚する中、

一人の「国策会社」幹部が突如、命を落とした。

死の謎を解く鍵は、遺された膨大な資料のみ。

そこには原子力ムラが行ってきた”裏工作”の歴史が、

あまりにも生々しく記録されていた。

(P3「まえがき」から)

「『もんじゅ事故』で謎の死を遂げた西村成生さんが残した内部資料があるらしい」

 2012年冬、はじめにその話を聞いた時は、ここまで深くその資料と付き合うことになるとは想像もしていなかった。

  「西村ファイル」と名づけた資料の山を読み進めるうち、取材班は何度も我が目を疑った。国の特殊法人であるはずの動力炉・核燃料開発事業団(動燃=当時) が地域住民や職員の思想・行動を徹底的に調べ上げ、「洗脳」「工作」といった言葉が頻繁に飛び交う。そして、あまりに不自然な西村氏の死-。「原子力ム ラ」の異常な体質が、次々と浮かび上がってきたのである。

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**『原子力ムラの陰謀』著書 「プロローグ「3・11福島原発」の序曲 それは「もんじゅ」事故から始まった」、「第8章 もんじゅ事故「隠蔽」の極秘記録と西村氏「怪死」の真相」の紹介(プロローグ⇒第8章の順)

前回の話:もんじゅ事故「隠蔽」の極秘記録と西村氏「怪死」の真相 ※7回目の紹介

 だが、S副所長が明らかに自らの意思で「隠蔽」に動いていたことは、他の職員の聞き取り調査の記録からも明白だ。

<大学の先輩・後輩の関係からか、S副所長からY副主幹に12月11日(月)頃電話があり、「2時ものビデオはしまっておけ」と言われた。その時、管理課Iの机の引出しから、Yの引き出しに保管場所を変えた。また、12月22日(金)に同じくS副所長から電話連絡があり2時ものビデオ抹消を指示された>

しかし、この「Y副主幹」はS副所長の言う事を聞かず、自分の判断でビデオをそのまま所有していたのだ。


 S副所長の役割は、これだけではなかった。この「2時ビデオ」の隠蔽どころか、「16時ビデオ」の改ざんもS副所長の指示だった。

<プレス公開用の編集はSが指示した。(1分といった訳ではない)>
<県市が4時の立入りのマスター(ビデオ)を見せろとなるので、(中略)4分もの(結果的に4分)を編集するよう担当者に指示した>

 S副所長が、ビデオ改ざんに対して罪悪感を感じていなかったことは、12月23日の聴取記録にはっきりと残されている。

<私としては本編集は正しいものと理解しており、P2課(プラント2課)職員あるいは技術者であれば同様な編集内容になったものと考える>

<また、生のテープをそのまま提出すれば彼ら(マスコミ)の情報公開かも知れないが、結果としては別の騒ぎになったものと考える>

 つまり、真実を公表することによって起きる「別な騒ぎ」を恐れて、ビデオを改ざんしたのだというのだ。

 S副所長とO所長は「16時ビデオ」について、こんなやりとりをしていた。

<(編集の)指示は、S副所長がした。所長が承認した>

<映像が生々しいのでやめようという話になった>


 しかも、聞き取り調査でS副所長は、交通事故を例えに出して自らの考えを正当化していた。彼らの思考パターンが如実に表れた発言なので、ぜひ注目してほしい。

<交通事故の報道を考えた場合、事故後における損傷した車両の映像や道路等に付着した血痕は報道されるが、人体が分離したような映像は放映されないものであり、後日正式な報道により事故時の状況が文章にて報道されている。

 今回も、ある一定の情報をPNC(動燃)より提供し、事故の調査結果とともに事故時の状況を正確に伝えるべきものであったと考える>

 この論理、二つの点でおかしい。まず、ナトリウムで真っ白に覆われ、排気ダクトに穴があいた現場の映像は確かに生々しいが、損傷した人体の画像とはまったく別次元のものだ。むしろ、事故の重大性を正しく伝えるためには、たとえショキングでも公開する必要がある映像である。

 もう一つは、この交通事故の例えに当てはめるならば、動燃は事故を起こした加害者にあたるという点である。

事故の当事者である加害者の判断で、「ある一定の情報」を選別するのは明らかにおかしい。

 S副所長が語った「反省」の項目には、このように書かれていた。

 <現場、来客対応、プレス対応等、明確に分担をわけて欲しい。現場の人がプレスに責められるとポロッと出る>

 真相を「ポロッ」と語ることがまずいのだという。事実、「ビデオ隠し」問題は、地元自治体や科技庁による立ち入り調査の際に、現場の職員がビデオの存在を告白したことで発覚している。

 S副所長の理屈からすれば、現場の人間が直接、外部の人間に接触して真相が漏れてしまったことが失敗だった、ということになる。つまりS副所長の「反省」は、事故が起きたことや、隠蔽を行ったことではない。隠蔽に失敗し、社会的に非難を浴びて動燃が窮地に陥ったことへの反省なのだ。


 取材班はS副所長にも話を聞こうと大阪府にある自宅を訪れたが、家族らしき人物がインターホン越しに「体調が悪く取材には答えられない」と語った。

※続き「もんじゅ事故「隠蔽」の極秘記録と西村氏「怪死」の真相 」は、11/5(水)22:00の投稿予定です。


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