*『東京ブラックアウト』著者:若杉冽
「第10章 政治家と官僚のエクソダス」を複数回に分け紹介します。8回目の紹介
( Amazon カスタマーレビュー )から
恐ろしい本です。小説という体裁はとっていますが、帯に「95%ノンフィクション」とあるように、限りなく現実に近い話でしょう。これを読んでも、原発再稼働に賛成と言えるでしょうか。一人でも多くの国民に読んでほしい本です。
作中に登場する資源エネルギー庁次長の日村直史は、経産官僚の今井尚哉氏だと、国会議員の河野太郎氏がTwitterで言及しています。現在、安倍首相の政務秘書官を務めている人物です。
( 「東京ブラックアウト」)から
「バ、バカ野郎!おまえは知っているのか? かつて新潟県の泉田知事が、たった400人を対象に避難訓練をしただけでも、その地域には大渋滞が起こったんだぞ!・・・あと数時間で、東京の都市機能は失われるっ。いいか、これは命令だ・・・」
・・・玲子は絶句した。いつも冷静でクールな夫が、15年の結婚生活で初めて見せる取り乱しぶりだったからだ。
過去に紹介した記事(【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧(45) )から
救いがあるとすれば著者・若杉冽氏の次の言葉だ。
「まだまだ驚くべき事実はたくさんあるのです。
こうした情報が国民に届けば、きっと世論のうねりが起きる。
私が役所に残り続け、素性を明かさないのは、情報をとり続けるためです。
さらに第二、第三の『若杉冽』を世に送り出すためにも」
----------------
**『東京ブラックアウト』著書 「第10章 政治家と官僚のエクソダス」の紹介
前回の話:第10章 政治家と官僚のエクソダス ※7回目の紹介
<新崎原発事故直後、経産省高官と電力業界幹部とのあいだで、原発推進に関する極秘文書が作成され、事故後処理方針も極秘文書に沿って政策が進められていることが、朝経新聞の取材でわかった。
この文書は、新崎原発の6号機の爆発の直後に、経産省資源エネルギー庁高官と日本電力連盟幹部とのあいだで、その後の事態の収拾の方針について合意されたA4版1枚のペーパー。
■文書の全文(写真)
当面の対応
1.被ばく限度を引上げ。即日実施。住民の被曝限度を年20ミリシーベルトに、作業員50ミリシーベルトから500ミリシーベルトに変更。事態の推移に応じ、さらなる見直し。
2.計画停電の実施。電力不足のキャンペーン。
3.発送電分離の先延ばし。附則を足掛かりに。
4.国政選挙対策。「脱原発」○、「即ゼロ」☓。O泉対策。Mシステムフル稼働(フロー+ストック)。
5.首都圏壊滅→パニック鎮圧→遷都。19兆円の財源は原子力発電課税→運転保障。
6.中間貯蔵施設の対内誘致。
今回入手した極秘文書には、新崎原発7号機の爆発直後に実施された被曝限度の引上げを示唆する記述のほか、今日まで続く首都圏での計画停電の実施について「電力不足のキャンペーン」と記載されており、経産省関係者によれば、「電力は実際には足りているにもかかわらず、原発再稼働の必要性を国民に広く認識させるために意図的に計画停電を実施している」ことが裏付けられた文書だ。
また、首都圏が壊滅的な打撃を受けることを見越して、パニックの鎮圧についても記載されており、その後の戒厳令の復活などにつながっていったことがわかる。
その他、昨年成立した発送電分離を定める電気事業法の一部を改正する法律の附則にある「本法の施行までの間に政府は原子力発電の経済的措置について速やかに法制的な措置を講じ、電力自由化と原子力発電の推進との両立を確保するものとする」との規定を根拠に、原子力発電の経済的措置について立法がなされない間は、発送電分離を先延ばしにすることも合意されている。
さらに、今後の関西への遷都の方針についても明記され、必要となる約19兆円の財源として原子力発電の発電電力量への課税で賄うことや、使用済み核燃料を海外から受け入れるための中間貯蔵施設を建設していく方針が明記されている。
政界対策としては、今年実施される予定の国政選挙について大泉元総理への対策の必要性、また電力会社が支援する候補者の選別の必要性などが示されている。
今後の原子力や電力をめぐる政策の方針について、経産省と電力業界との密約が明らかになったことで、これからの議論の行方にも影響を与えそうだ。
経産省幹部は、朝経新聞の取材に対して、文書の存在を認めつつも、
「あくまでディスカッションの結果を関係者の個人のメモとして書き留めたもので、行政文書ではない。政府の政策は適正な手続きに則って粛々と進められる」
と回答している>
※続き「第10章 政治家と官僚のエクソダス」は、6/11(木)22:00に投稿予定です。
|
|