原発問題

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『世界が見た福島原発災害』校庭に原発が来た! ※4回目の紹介

2015-06-25 22:25:08 | 【世界が見た福島原発災害】

*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史

第15章 校庭に原発が来た!を複数回に分け紹介します。4回目の紹介

  福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。

 本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。

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**『世界が見た福島原発災害』著書 「第15章 校庭に原発が来た!」の紹介

前回の話:『世界が見た福島原発災害』校庭に原発が来た! ※3回目の紹介

「ヒューマニズムから受け入れがたい」

 文科省が学童への被曝基準を大幅に引き上げた10日後の4月29日、放射線防護の専門家で内閣官房参与の小佐古敏荘・東大大学員教授が都内で記者会見を開き、「これだけの被曝をする人は、全国の原発業務の従事者の中でも極めて少なく、この数値を小学生らに求めるには、学問上の見知や私のヒューマニズムから受け入れがたい」と述べて、参与を辞任することを明らかにした。

「学問場の見地(学者として)」と「私のヒューマニズムから(人間として)」文科省の年間20ミリシーベルトの被曝強制は許せない」・・・。

 61歳の東大大学院教授の涙ながらの抗議ーこれはよほどのことだ。よほどの怒りだ。参与を辞任することで、「20ミリシーベルト」の犯罪性を訴えようとしたわけだから・・。

「南ドイツ新聞」が「日本の原子力顧問、辞任」の記事につけた見出しは、「激怒の涙」だった。

  日本政府は法律を守らず、場当たりな応急措置でその場をしのいでいる。原子力顧問が最後に発した告発は、重い揺さぶりとなった。教授はいま涙の中、辞任する。

 ニューヨーク・タイムズ紙も30日付で後を追った。同紙はこう指摘した。

  アドバイザーだった小佐古氏の告発のうち、日本政府にとって最大のダメージのひとつになったのは、最近日本政府が決めた周辺地域の子どもたちの被曝許容線量基準と、原発労働者の国際的な被曝基準が同じであることに氏が注意を喚起したことである。この子どもたちの被曝許容量は、一般人に対する国際基準をはるかに上回るものだ、「学者として許すわけにはいかない」と、東大の放射線防護専門家である小佐古氏は言った。

 「線」を引き直しては、「そこまでは安全です」を繰り返す日本政府の姿勢に海外の目も厳しさを増している。今後、住民の被曝が進むに連れ、日本政府に対する国際社会の信頼もますます失われて行くはずだ。

 英紙インディベンデントによると、3月下旬に核医療の世界的な権威である、米国のピーター・ゲール氏が来日した。ゲール氏は「人々が(政府・東電の言う事を)信じ得ていないのは正しいことだ」と語り、日本政府に国民の信頼を取り戻すために真実を語れ、と訴えたが、東京の権力者たちは聞く耳を持たなかったようだ。

 ゲール氏は「チェルノブイリ」事故で被爆者の救命医療に取り組んだ人だ。その修羅場をくぐった人が、日本人が日本政府を信じていないことは正しい、と言い切っている。重い言葉ではある。

 一方、英紙ガーディアンによると、ゲール氏はまた日本政府の閣僚との協議の席で、放射能の測定データをわかりやすい「総合的なリスク単位」に変えて国民に伝える「独立委員会」の設立を勧告した。

 人々がどんな問題に対処しなければならないかを知り、賢明な決断を下すことができるように、放射線の測定データを「総合的なリスク単位」に変えて提供するよう、日本政府に提案した、というのだ。

 この「総合的なリスク単位」がどういうものか、同紙には出ていないが、「マイクロシーベルト」といった専門用語ではない、たとえば「色別表示の被曝危険度」といった子どもにも分かりやすいものではないだろうか?

 ゲール氏が勧告したように、たしかに、こうした「総合的なリスク単位」による「わかりやすい被曝危険度表示」は今後、ますます必要とされるものだろう。

 しかしこのゲール氏の勧告を、「ただちに避難の必要はない」「ただちに健康被害は・・・」と言い続けて来た日本政府が採用したという報道は、今のところないようだ。

 ゲール氏の提案もまた、小佐古・東大大学院教授のように、日本の分厚い官僚機構の壁に跳ね返されてしまったのだろうか?

 続き「第15章 校庭に原発が来た!」は、6/26(金)22:00に投稿予定です。

世界が見た福島原発災害─海外メディアが報じる真実

 


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