原発問題

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第6章 再稼働に隠された裏取引 ※2回目の紹介

2015-03-20 22:00:00 | 【東京ブラックアウト】

*『東京ブラックアウト』著者:若杉冽

第6章 再稼働に隠された裏取引」を複数回に分け紹介します。2回目の紹介

 

Amazon カスタマーレビュー )から
恐ろしい本です。小説という体裁はとっていますが、帯に「95%ノンフィクション」とあるように、限りなく現実に近い話でしょう。これを読んでも、原発再稼働に賛成と言えるでしょうか。一人でも多くの国民に読んでほしい本です。

作中に登場する資源エネルギー庁次長の日村直史は、経産官僚の今井尚哉氏だと、国会議員の河野太郎氏がTwitterで言及しています。現在、安倍首相の政務秘書官を務めている人物です。

 

( 「東京ブラックアウト」)から
「バ、バカ野郎!おまえは知っているのか? かつて新潟県の泉田知事が、たった400人を対象に避難訓練をしただけでも、その地域には大渋滞が起こったんだぞ!・・・あと数時間で、東京の都市機能は失われるっ。いいか、これは命令だ・・・」
・・・玲子は絶句した。いつも冷静でクールな夫が、15年の結婚生活で初めて見せる取り乱しぶりだったからだ。


過去に紹介した記事(【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧(45) )から

救いがあるとすれば著者・若杉冽氏の次の言葉だ。
「まだまだ驚くべき事実はたくさんあるのです。
こうした情報が国民に届けば、きっと世論のうねりが起きる。
私が役所に残り続け、素性を明かさないのは、情報をとり続けるためです。
さらに第二、第三の『若杉冽』を世に送り出すためにも」

 

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**『東京ブラックアウト』著書 「第6章 再稼働に隠された裏取引」の紹介

前回の話:第6章 再稼働に隠された裏取引 ※1回目の紹介

 新年早々の中央合同庁舎第4号館11階。日の射さない内廊下はどんよりとつねに暗く、オフィス内もいつも陰鬱な雰囲気が支配する。御屠蘇気分がまだ冷めやらぬなか、内閣法制局の審査部では、年末の衆議院の解散・総選挙の喧嘩のあと、正月返上で法案作成に働いた参事官と各省庁の若手の汗臭い匂いが、廊下まで充満していた。

 その一角に、内閣法制局第4部長室がある。

「電気事業法の改正法案は当然、Aでいいですね」

 と、メラミン樹脂化粧合板の白く安っぽい審査テーブル越しに、内閣法制局第4部長の高畑優は、相対する経産省大臣官房総務課長の宇治木 覚に、軽快な口調で確認した。

 スチールパイプの脚にブルーの背の座がついた座り心地のよくないスタッキングチェアがいかにこの打合わせが事務的なものであるかを示している。

 高畑部長は財務省出身の切れ者で、将来の法制局長官の有力候補だ。実際、いままで数々の難解な法律を仕上げてきた。とっとと事務的な打ち合わせなど片付けてしまいたい・・・軽快な口調が、それを物語っていた。

「ふふっ、普通はそうですよね」

 と、宇治木官房総務課長は思わせぶりな口調で返答した。

 その返答自体が普通ではない。宇治木は、頭のキレ、見通しのよさ、腹の据わり具合と、どれをとっても秀逸で、これまた将来の経産次官候補の最右翼である。

「普通じゃないってことですか、どうしたんですか?」

 少しイライラした感じで高畑が応える。

「ご案内の通り、3年越しの電力自由化ですから、もうとっくのとうに条文は仕上がっています。ところが、事務的ではない理由がありまして・・・」

 と、思わせぶりな答えを宇治木は返した。

「事務的ではない理由とは?」

 高畑が続きを促す。

 こういう事務的ではない業界の動きや政治的な背景こそが、実は内閣法制局長官以下の幹部が知りたいことなのだ。内閣法制局の威厳を守りつつも、内閣法制局そのものが世の中、とくに与党から非難、指弾されないように、内閣法制局としての法制的な判断と、業界や国会議員の要望との間合いを測る。

 ーそれこそが内閣法制局の「政治的判断」である。

 続き第6章 再稼働に隠された裏取引は、3/23(月)22:00投稿予定です。

東京ブラックアウト(若杉冽)

原発ホワイトアウト(若杉冽)


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