原発問題

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第7章 メルトダウン再び ※17回目の紹介

2015-04-28 22:00:00 | 【東京ブラックアウト】

*『東京ブラックアウト』著者:若杉冽

第7章 メルトダウン再びを複数回に分け紹介します。17回目の紹介

 

Amazon カスタマーレビュー )から
恐ろしい本です。小説という体裁はとっていますが、帯に「95%ノンフィクション」とあるように、限りなく現実に近い話でしょう。これを読んでも、原発再稼働に賛成と言えるでしょうか。一人でも多くの国民に読んでほしい本です。

作中に登場する資源エネルギー庁次長の日村直史は、経産官僚の今井尚哉氏だと、国会議員の河野太郎氏がTwitterで言及しています。現在、安倍首相の政務秘書官を務めている人物です。

 

( 「東京ブラックアウト」)から
「バ、バカ野郎!おまえは知っているのか? かつて新潟県の泉田知事が、たった400人を対象に避難訓練をしただけでも、その地域には大渋滞が起こったんだぞ!・・・あと数時間で、東京の都市機能は失われるっ。いいか、これは命令だ・・・」
・・・玲子は絶句した。いつも冷静でクールな夫が、15年の結婚生活で初めて見せる取り乱しぶりだったからだ。


過去に紹介した記事(【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧(45) )から

救いがあるとすれば著者・若杉冽氏の次の言葉だ。
「まだまだ驚くべき事実はたくさんあるのです。
こうした情報が国民に届けば、きっと世論のうねりが起きる。
私が役所に残り続け、素性を明かさないのは、情報をとり続けるためです。
さらに第二、第三の『若杉冽』を世に送り出すためにも」

 

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**『東京ブラックアウト』著書 「第7章 メルトダウン再び」の紹介

前回の話:第7章 メルトダウン再び ※16回目の紹介

「仮に衆参同日選であれば、また3年間選挙はないですからね。とにかく、今回は天王山ですから、例のシステムをフル稼働させて、フローのカネだけでなく、いままで蓄積したストックも吐き出しますよ」

 ー 例のシステムとは「電力モンスター・システム」、フローは電力業界が自由に使える年2000億円の政界工作資金、ストックとは市谷加賀町の電力迎賓館に代表される、これまでに蓄財された埋蔵資産のことだ。

 2人の謀議により、今後の道筋の共有はあらかた終わった。

「それにしても、これでプールまで沸騰、爆発して、使用済み核燃料が大気中に拡散したら、それこそ『最悪のシナリオ』でしょ? 風向きによっては首都圏壊滅ですよ」

 と、珍しく心配顔を見せる小島が口にした。

「そのときは、まず首都圏のパニックの鎮圧だな。そのやり方は、ちょっと私のほうで研究します」と日村。

 パニックの鎮圧といわれても、平時の会社の代表選手である関東電力出身の小島にとっては、何の発送も湧いてこない。

 日村は天を振り仰ぐ。そして、「それから・・・遷都だな・・・」と続けた。小島の目が泳ぐ。

「えっ、遷都ですか?」

「そうならざるを得ないでしょう。もう一度、京都に首都を戻す。そのために必要なカネは、過去の遷都についての調査研究によれば、ざっと19兆円くらいだろう。そのカネの財源を捻出するためにも、輸入の化石燃料には頼れない、原発に課税する、そういうロジックだな」

「・・・な、なるほど、それはいいですね!」

 小島は相槌を打った。たしかに秀逸なアイディアだ。いや、日村という男の知謀には敬服するしかない。

「核燃料サイクルの19兆円にだって騒がない呑気な国民なんだからな、ふふ。原発事故によって必要になった遷都の費用だから、原発の発電電力量に対して課税する・・・そうすれば、原発を動かさない限り、遷都ができないというわけだ」

 世の中を小馬鹿にしたような顔で、日村は片頬を吊り上げ、ニヤリと笑った。

 こうすれば、首都を壊滅させたとしても、遷都の費用だって呑み込める。それだけの凄い力が原発には内包されているのだ。

続き第7章 メルトダウン再び」は、4/29(水)22:00投稿予定です。

東京ブラックアウト(若杉冽)

原発ホワイトアウト(若杉冽)

 


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