東日本大震災:テルル129mの拡散地図公表 最高土壌濃度は福島・大熊町
文部科学省は31日、東京電力福島第1原発事故で生じた放射性の「テルル129m」(半減期約34日)について、今年6月時点での原発から半径約100キロ以内の土壌濃度マップを公表した。テルルはウランの核分裂で生成される物質で、原発北西部に加えて、南部沿岸から28キロ以内の福島県いわき市や北茨城市でも高い傾向が見られた。この一帯は、ヨウ素131も蓄積が多く、同じ時期に雲に乗って拡散した可能性が高いとみられる。
最も高濃度だったのは、原発から約2キロの福島県大熊町で1平方メートルあたり約266万ベクレル。テルルは半減期が短いため、この時点で事故直後の数分の1まで減っている。警戒区域内のため人は住んでいないが、仮にここで1カ月過ごすと積算線量は0・29ミリシーベルトになる。セシウムによる1カ月間の積算線量(数十ミリシーベルト)に比べると被ばくの影響は小さいという。
文科省によると、放射性ヨウ素に比べ、テルルは食物などから体内に取り込まれても蓄積しにくいという。【野田武】
毎日新聞 2011年11月1日 東京朝刊