JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550   特小・LCR 山岳移動 

ID-51使用記

2013年05月06日 | 移動運用装備


 2か月ほど前、秋葉原で衝動買いしたID-51。この間、DJ-G7が送信できなくなり、メーカー修理に出すなどトラブル続きでした。最近のリグは故障が多いのでしょうか。そんなこともあり、不安を抱えながら、1カ月ほど使ってみた感想を記してみます。


 この機種はD-STAR(DVモード)が基本で、それについてはおいおい触れることにして、今回は通常のFMモードでの使用感です。




 まず、本体は薄くて軽いです。DJ-S57も軽い方ですが、実際手に持って「軽いな」と実感できます。そして薄さ。山歩きの最中、胸ポケットに入れてワッチすることが多いのでこれも助かります。内部はアルミダイキャスト、全体的にがたつきがなく、丈夫な作りが感じられます。防水でもあり、山岳移動の用途としては高いレベルと思います。その上で、良い点、気になった点を上げてみます。


<アマチュアバンドの受信、送信>
 DJ-S57と受信比較してみました。互角です。かなり受信感度は高いといってよいと思います(145、430とも)。FMモードの音質も聞きやすく悪くありません。DJ-S57はパワフルに聞こえますが、このリグは自然体という感じです。問題は送信。定格通りのパワーは出ていますが、送信音がこもって、変調も浅く、了解度を低下させてしまうようです。交信中、何度も「変調が浅い」「こもっている」「いつもの声と違う」「エコーのような音声」などのレポートをもらいました。高音成分がカットされているようでクリアさがないのです。マイクゲイン調整機能があり、初期値は2。最高の4に設定しても、かえって風切音が入って了解度は上がりません。風切音対策として布を巻く、マイクを近づけすぎないで大きめの声で話す、などのコツをつかむと、少しは改善します。でも、こもった音質は変わりません。了解できてこその無線機。遠方との交信の場合、DJ-S57では交信可能でも、ID-51では不可、という場面が出てきそうな印象です。DVモード主体のリグなので、このあたりは回路設計上犠牲になっているように感じられ、残念です。


風切音対策


<ラジオ機能>
 山では、ラジオは必需品です。トランシーバーの他にラジオを持つことを考えると、やはりラジオ付きはありがたいです。はたして実用になるのか?FMに関しては、付属ホイップでもそれなりに聞こえます。山中でも地元FM局をメリット5で受信できました。一方、AMはまったく使い物になりません。バーアンテナ無しなので予想はしていましたが、最低レベル。我が家の窓際でもNHK仙台第一が41程度。ミニループアンテナを脇に置くと、59に上がります。ゲルマラジオなみ。もちろん山では使用不可。通信機メーカーのプロが作ったとは思えませんね。論外。


FM受信は良好

ミニループアンテナを傍に置かないとAM受信不可


<GPS>
感度は良好なようで、少し間を置いて位置情報、高度、時刻などが表示されます。まだ使い込んでいませんが、登山には便利に使えそうです。


硯上山山頂にて


<操作性>
 液晶画面が大きく見やすいです。特に、現在時刻が表示されるのはとても便利です。スターティングタイムなどもいちいち腕時計を見る必要がなくなりました。またこの時刻は、GPSと連動して補正されるようになっています。G7のようにボタン類が多い機種は好みでありません。実際、運用中何度も誤作動させた経験があります。ID-51はボタンが少なく、通常必要な操作は、自分の場合4個で済みます。パワー変更もボタンの長押しで1段づつ変わるようになっていて、1動作で済みます。良くできた操作系と思います。なお、パワーは5段階で、最少0.1W。QRP交信実験が楽しみです。


<バッテリー>
 付属のバッテリー(1150mAh)に加え、オプションの大容量バッテリー(1880mAh)と急速充電器を一緒に購入しました。GPSをオフにして約2時間5W運用でオプションバッテリーの表示が1個になり、付属バッテリーに取り換えて運用を続けました。定格2.5A以下とのことなので、DJ-S57に比べ大飯ぐらいと言えます。ただ、5Wで運用を続けても、本体が熱くなることはありませんでした。ほんわか温かくなる程度。また熱くなって勝手にパワーダウンということも今のところありません。


内部はアルミダイキャスト


<便利な機能>
 録音機能というのがあります。マイクロSDカード(別途購入)に受信や送信した声をそのまま録音してくれます。しかも音声がないときは自動で一時停止します。そして、その時の時刻とか信号強度などをデータファイルとして後から見ることができます。これは便利な機能と思いました。相手局のコールサイン(音声)やスターティングタイムを再確認できます。加えて自分の変調や話し方の癖とかも・・・。後で聞き直すとお恥ずかしい限りですが、何度でも臨場感をもって再確認できるというのは、ちょっとした感動ではありますね。


データファイルに記録される


 全体としては作りも良く、操作のしやすさも気に入っています。つくづく残念なのは送信音。受信感度だけが良くても、またキャリアだけ強くても、話を了解してもらえなければ交信になりません。ファームウエアのアップデートなどで可能なのであれば、ぜひ改善してほしいです。



コメント (5)
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