JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550   特小・LCR 山岳移動 

1/2λバリコン同調式ホイップ(その2) 

2020年02月23日 | ノンラジアルアンテナ
 LCメーターとアナライザーで調整したコイルを使い、以前に作った「スケルトンホイップ」と同じものを作ってみました。バリコン同調式の1/2λ電圧給電ホイップアンテナ(145MHz)。違うのはコイルのみ。片や銅線を直径1cm、7回巻き、今回は銅管を直径2.3cm、4回巻き。インダクタンスはほぼ同じ。アンテナとして作り込んだ場合、実際のところ何かしら違いがあるのか、ないのか?

 使用コイル  太さ2.2mm銅管、直径2.3cm、4回巻き 0.175μH
 コンデンサー 5pFエアタイトバリコン 
 エレメント  95cmロッドアンテナ


材料一式


(回路)
 これも前作と同じです。コイル中間からタップを取らず、コイルとコンデンサーを並列にしたもっともシンプルな回路としました。

(製作)
 2度目なので手間なく進めることができました。このアンテナは、BNCコネクター上にマッチング回路とエレメントをそのまま載せてしまう構造のため、配線が短くて済み、余計なコンデンサー成分を抑えられます。前作でハンダ不良が一部あったことを思い出し、今回はすべてステンレス用ハンダを使用しました。ケース加工がない分、作業が楽で、誤差も生じにくい構造です。自分としてはこの形、製作方法は悪くないかな、と気に入っています。ただし、耐久性に多少不安があるのと、むき出しのため雨天では使えません。






完成(上) 前作(下)


(調整)
 すでに調整済みのコイルなのでロッドエレメントをすべて伸ばした状態で145MHz帯にマッチングしました。エレメント寸法(95cm)は変えずに、コイル間隔とバリコンで最終的に調整し、145.000付近に追い込みました。移動地の環境によって若干変わってきますが、その際もエレメントはいじらず、バリコンを回して調整します。ちなみに、バリコンを回すと共振点が上下し、それに伴いSWRも変動します。たとえばSSBの周波数帯にシビアに合わせようとして共振点を下に持ってくるとSWRが甘くなり、コイル間隔も再調整が必要となります。なので、バリコンのみで調整できる範囲は限られます。もっとも、今回製作のものはそこそこ帯域が広く、このままで問題なさそうです。








(使用)
 60gと軽量でハンディ機に直付けでき、三脚設置の場合もトップヘビーにならないので、倒れにくいです。ベランダで聞き比べてみたところでは、コイルの異なる2つのアンテナの違いは感じ取れませんでした。2つともRH-770に比べ信号が強くなります。といってもほんのちょっとです。シングルバンドなのでもう少し上がってもよいのでは?と思わなくもないです。LC回路、コイルとコンデンサーのQ、エレメント長等々わずかな違いが性能の差として表れるとすれば、まだまだ改良の楽しみがあるのかな、と思います。機会をみて送信も含め試してみます。





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LCメーター MLC500

2020年02月22日 | アナライザー・測定器
 前回、LC100-Aの動作に気難しさがあると書きました。キャパシタンスに関しては安定して測定でき、問題ありません。本命であったインダクタンス測定において、クリップリード線を短絡しても「0.000μH」表示にならないことが度々あります。また、ゼロ補正後であっても測定数値が動いてしまう現象や、数値自体のバラツキもあります。安定して測定できるときもあるのですが、挙動がわからないところがあります。前回記事の測定結果も疑問に思えてきました。

 というわけで、もう一つMLC500という別のLCメーターを購入することにしました。計測範囲はLC100-Aとほぼ同じです。価格は3倍程。キャパシタンス、インダクタンスとも誤差1〜3%とそれなりの精度ではあるようです。英語と中国語版取説が同梱されていました。








〈操作〉
 単3電池2本またはUSB給電。LとCをボタンで切り替えます。インダクタンスはクリップを短絡してゼロ補正後に測定。この点はLC100-Aと同じです。測定範囲の切り替えもできるようですが、自動設定のまま使いました。特に問題ありません。

〈インダクタンス測定〉
 クリップリード線の引き回し方によっても変化するため一定とし、コイルも同位置に置いて測定。前回と同じコイルを試してみました。

太さ2.2mm銅管、外径2.3cm、4回巻き 0.175μH

太さ2.2mm銅管、外径1.2cm、6回巻き 0.170μH

太さ1.7mm銅線、外径1.2cm、6回巻き 0.171μH




 概ねLC100-Aに比べ0.04μH高い数値となりました。LC100-Aでは毎回測定値が変動しますが、この機種は比較的安定しています。測定状態でコイル間隔を縮めたり広げたりして目的の数値に合わせることができます。前回の記事では、145MHzのLCマッチング回路において0.130μH〜0.140μHに調整と書きましたが、MLC500では0.170μH前後としておきます(コンデンサー5pF)。あらためて回路を組みアナライザーで測ったところ、上記コイル3つとも145.000MHz付近に共振してくれました。






 ラジオ用に作ったコイルも測定してみました。98.960μH。これまで使ってきたLCメーターDM4070に比べ低めに出ました。巻き数が少な過ぎ。コアを1本入れるとちょうど良いインダクタンスとなります。




〈キャパシタンスの測定〉
 5pFコンデンサーが4.74 pF、同軸コンデンサーが2.32 pF 。LC100-Aの測定値より全体的に低めな感じです。




 ネットで検索するとChina製などの測定器が多数表示されるものの、良いのか良くないのか実際に使ってみないことにはまったくわかりません。このLCメーターは動作と測定値が安定しており、使っていてストレスが少ないです。はじめからこれを買えばよかったかな、と少し反省しています。












コメント (3)
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LCメーター LC100-A

2020年02月17日 | アナライザー・測定器
 手元にあるLCメーターは主にゲルマラジオのコイル作りに使ってきました。インダクタンスが200μHまでのレンジのため、VHF用の小さなコイルは測れません。この間、145MHz電圧給電アンテナのコイルを様々作ってきたものの、インダクタンスがいくらなのか、確認するすべはありませんでした。計測器があれば、目的の周波数にマッチングするインダクタンスをあらかじめ把握でき、その数値に合わせ込めばベストな回路が組めるはずです。

 そんなことを試してみたいと思い、LC100-AというLCメーターを購入してみました。






測定範囲は下記のとおりです。
1.キャパシタンス(0.01pF-10uF)
2.インダクタンス(0.001uH-100mH)
3.Hi.L範囲 大きなインダクタンス(0.001mH-100H)
4.Hi.C範囲 大きなキャパシタンス(1uF-100mF)

 高額な機種は別として安価(2000円弱)でインダクタンスが0.001μHから測れるLCメーターは少ないと思います。2週間ほどで到着した箱の中には、本体とUSBケーブルが同梱されていました。説明書はありません。5V仕様でUSBと電源コネクターの2方式。ネット情報を参考にさっそく使ってみました。

「L/C」ボタンでどちらかに切り替えます。

<キャパシタンスの測定>
 ミノムシクリップを開放状態でゼロ補正ボタンを長押しするとOK画面となり、そのまま押し続けると< DATA SAVED >画面が表示され、測定可能状態となります。5pFコンデンサーを測定したところ5.5pF、5pFバリコンは最大で5.00pFとなりました。目安をつかむには問題ない精度です。同軸ケーブルで作ったコンデンサー容量も測ってみました。2.63pF。微小単位まで測れるので、容量調整に使えるかと思います。


5pFバリコン最大値

同軸コンデンサー


<インダクタンスの測定>
 こちらが本命。まずミノムシクリップを短絡状態にします。「0.000μH」と表示され、この画面が出た状態でゼロ補正ボタンを長押しすると「OK」画面となりそのまま押し続けると< DATA SAVED >画面が表示されます。これで測定可能となります。この機種に限らず、インダクタンスの測定はけっこうやっかいです。クリップリード線を広げたり、近づけたりするだけでも数値が変わってしまいます。操作中、よくわからない動作も時々発生しました。電源を入れ直したり、上記ゼロ補正をその都度おこなう必要があるようです。


この状態からゼロ補正


 はじめに、あらかじめアナライザー(ディップメーター)にて145.000付近でディップしたコイルを測定しました。

 太さ2.2mm銅管、外径2.3cm、3回巻き。インダクタンスは0.134μHとなりました。数値が正しいのかどうか確かめようがありませんが、目安にはなります。




 条件を変えていくつか別のコイルを作ってみました。

 太さ2.2mm銅管、外径2.3cm、4回巻き

 太さ2.2mm銅管、外径1.2cm、6回巻き

 太さ1.7mm銅線、外径1.2cm、6回巻き

 どれも間隔を縮めたり広げたりして、目安である0.134μH付近に調整しました。

 次にこれらのコイルに5pFバリコンをつないで回路を組み、どのあたりで共振するかアナライザーで測定してところ、いづれも思惑通り145MHz帯でディップしてくれました。






 2m用電圧給電アンテナ(1/2λ)を作る場合、インダクタンスを0.130~0.140μHあたりに追い込んでおけば、コイルの形状など条件を変えても整合が取れるということかと思います(あくまでLC100-Aによる自分の測定での値)。いづれ、数値で目安が得られるのはありがたいです。

 使い勝手や動作に気難しいところはありますが、小さなコイル作りに重宝しそうです。





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アナライザーをディップメーターとして使う(続編)

2020年02月11日 | アナライザー・測定器


 ノンラジアルアンテナを作る際に、目的の周波数に合ったLC回路(コイル、コンデンサー)とする必要があります。その際、あらかじめコイル巻き数やコンデンサー容量がわかっていれば好都合なわけです。でも、コイルといっても巻き数だけでなく、太さ、間隔、材質によってインダクタンスが変わってきます。コンデンサーもバラツキがないとは言えません。実際に使用するコイル、コンデンサーで回路を組み、どのあたりの周波数で共振しているのか。その作業を進める上でディップメーターというのは重宝な計器で、アンテナアナライザー(AA-200)がその代わりになりうる、ということは以前書いた通りです。

 その後もいくつかコイルを巻いて試してみました。すべて145MHzのコイルで、中心周波数は145.000を念頭に調整しましたが、たいへん便利に使えています。






(測定の要点)
・この周波数であればアナライザー側のリンクコイルは1回巻き(直径3cm)で十分。
・5pF前後のコンデンサーやバリコンで回路を組む。
・被測定コイルに接触すれすれまで近づけ測定する。1cmくらい離すと浅いディップとなり、さらに離すと測定できなくなる。
・大方の周波数を把握し、目的の周波数より上にあればコイル間隔を縮める、下にあれば広げるといった具合に調整し追い込んでいく。

 といった感じです。とんでもない周波数になっていれば、コイル巻き数を増減するということになります。

 太さ2.2mmのなまし銅管、外径1.5cm、5回巻きにしたコイルでは、おおむね145MHz帯でマッチングし、コイル間隔1mmほどで145.000付近となりました。






 もう少し大きなコイルをということで、同じ線材を外径2.3cm、4回巻きとしたところ123MHzでディップ。直径を大きくすると、一気にインダクタンスが増してしまうようです。3回巻きに減らして145MHz帯には収まったものの、上に行き過ぎてしまいました。コイル間隔を縮めると今度は下に行き過ぎ。という感じで、クリティカルですが縮めたり広げたりしてなんとか145.000に近づけることができました。コンデンサー側はバリコンの場合も5pFあたりで固定しておくのがコツのようです。










 コイルの特性(共振)が目に見えるというところが面白く、巻き数、直径、間隔の違いで思いのほか変化します。単銅線、撚り線、銅管、スズメッキ線など線材での変化も少なくないです。アンテナに組み込んだ場合、性能的にどのように変わるのか? あるいはさほど変わらないのか? そのあたりは追々試してみるつもりです。



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大森山(角田市)2/2

2020年02月02日 | 里山 移動運用
 今回も高瀬林道から入山しました。昨年、台風19号の直後に歩いた時に比べ、いくらか倒木は少なく歩きやすく感じました。とはいえ、高瀬峠までの林道は廃道同然であることに変わりはありません。深山から馬船峠、疣石山を越えて来られた単独行の方と山頂でお会いしました。馬船峠から高瀬峠までは相変わらずの藪道で、道に迷い別尾根に入ってしまったとのことでした。藪の様相も毎年変わるので、油断ならないものがあります。


山頂

山頂付近

山元町側では影倉山の山名となっています



 標高315m。特徴のない山の連なる亘理丘陵において、展望に恵まれた山頂です。吾妻連峰の一切経山や高山が姿を見せてくれました。地形的にも東西が崖状に切れ落ち、南北は低山が続きますが、大きく遮るものはありません。北に仙台市街地が見通しで、ロケ的にも良好な山頂と言えるかと思います。

 <本日の装備>
 リグ ID-51(145MHzで運用)
 バッテリー 18650 3本直列
 アンテナ 1λ単ループアンテナ、RH-660S

 1λ単ループの挙動をもう少し確かめたいと思い、今日も使ってみました。三脚に自撮り棒で高さ約2mに設置し、簡易SWRパワー計SW-33で測定したところ1.04を表示。低めに出ることは以前に書いた通りで、実際はSWR1.2~1.3程と推測。このまま使うことにしました。








 あえて水平偏波(給電部が下)でCQを出したところ、岩手県平泉町移動局、福島県相馬市、伊達市固定局などから応答いただきました。いったん途切れ、垂直偏波(給電部が横)で再度CQ。今度は仙台市内など県内各局から応答いただき、さきほどは弱かった(水平偏波)が今度は強く入感したので応答しました、とのレポートもいただきました。七ヶ浜町固定局とは0.1Wで59。相手局によりますが、基本どおり垂直偏波がいいようです。また単ループにしては意外なほどサイドの切れを実感しました(8の字指向性)。RH-660S(1/2λノンラジアルホイップ)との比較で偏波面、方角を合わせた状態で同等な感触です。弱い信号での安定感はあるような気がしないでもありませんが、確証に至りません。利得的に過大な期待はせず、指向性で混信をある程度避けられるのがこのアンテナの利点かな、といったところです。


 昼過ぎ、蔵王からの西風が冷たくなってきたところで撤収としました。






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アナライザーをディップメーターとして使う

2020年02月01日 | アナライザー・測定器

 ディップメーターとは共振回路の共振周波数を得るための計測器ですが、自分は写真でしか見たことがありません。計測範囲に応じていくつかのコイルが差し替えられるようになっており、アナログな丸いダイヤルで周波数を読み取るもののようです。二つのコイル間の磁界誘導を利用し、ちょうど共振したときにメーターが動くという原理で、この瞬間を「ディップする」と言うのだそうです。興味が湧いて1台ほしいと思いネットを閲覧している内に、アンテナアナライザーで同様のことができるとの記事を目にしました。

 アナライザーでは通常、エレメント代わりに抵抗をかませ共振回路を直接コネクターに接続して計測します。考えてみると、直結しなくとも磁界誘導を使えば同じなわけです。ということで実際うまくいくのかどうか、AA-200で試してみました。

 145MHzの共振回路を前提に、ミノムシクリップでリンクコイル、被測定コイルを変えて試せるようにしました。被測定コイル(共振回路)側には5pFのコンデンサー(セラミックコンデンサー、バリコン)を取り付けました。












 はじめリンクコイルは直径2cm、2回巻きで試しました。コンデンサーを付けた各種コイルを近づけ、アナライザーで測定したところ、直径1cm、4回巻きのコイルの場合、160MHz付近でディップ。5回巻きで145MHz帯となり、かつ間隔を調整して145.000付近でディップしてくれました。被測定コイルとリンクコイルはコイル面を合わせるようにするとよく、接触すれすれまで近づけないとうまくディップしてくれません。コイル巻き方向はどちらもOKですが、逆巻き面を近づけた方が深く鋭くディップします。








 次にリンクコイルを4回巻きや直径3cm1回巻きで試してみました。VHFだからかもしれませんが、これでも特に変わりなく同じ結果でした。直径が大きい分、そこに被測定コイルをすっぽり入れられ、測定しやすいです。

 ということで、アナライザー(AA-200)をディップメーター代わりに使うことは可能なようです。この間いくつか作ってきたノンラジアルアンテナのLC共振回路も、この方法であれば希望の周波数に共振した各種コイル(直径、巻き数、材質など)を作るのに重宝かもしれません。1~4回巻きのリンクコイルがどの周波数帯までカバーするのかはわかりません。何種類か作っておけば、短波帯や中波ラジオ用も可能では、と思います。
 



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