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ロコ・ロンドン金取引、海外商品先物取引の被害 ニュース2本

2008-05-30 12:53:02 | Weblog
ロコ・ロンドン金取引、業者を強制捜査 千葉県警 2008年05月29日 朝日夕刊
http://www.asahi.com/national/update/0529/TKY200805290106.html
 「ロコ・ロンドン金取引」と呼ばれる金の先物取引で元本割れの危険性を十分説明しないまま契約を勧誘したとして、千葉県警は29日午前、特定商取引法違反(不実の告知)の疑いで、取引仲介業者「あさひアセットマネジメント」(宮内一仁社長)の東京都文京区にある本社や名古屋市内の支店など計5カ所に家宅捜索に入った。
 県警は、同社による被害について、関東や名古屋市周辺を中心に少なくとも数百人、数億円にのぼるとみている。
 調べでは、同社は昨年9月、同県八千代市の女性(67)に取引を持ちかけ、「当社が倒産してもお客様の預けた資金は大丈夫」などと虚偽の事実を告げた疑い。県警によると、女性は今年1月までに3700万円の損失を被ったという。

被害78億円か 海外先物取引装い詐取 秋田の業者逮捕 2008年5月29日 産経夕刊
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080529/crm0805291942034-n1.htm
 海外商品の先物オプション取引を装い、顧客から出資金をだまし取ったとして、秋田県警捜査2課などは29日、詐欺の疑いで、秋田市の先物取引会社「ファーストオプション」元社長、細川広明容疑者(49)=秋田市高陽青柳町=ら幹部4人を逮捕した。
 県警は秋田県を中心に被害者が約660人、被害額は約78億円に上るとみている。
 調べでは、細川容疑者らは平成18年1月ごろから2月ごろにかけ、秋田市の自営業女性(74)の自宅で「預かった金を米国で商品先物取引などで運用している。3カ月ごとに預かり金の3%の高配当を受けることができる。元金は絶対大丈夫」などとだまし、4回にわたり出資金約1000万円をだまし取った疑い。
 県警は昨年6月、被害者が出した詐欺容疑の告訴状を受理し、捜査を進めていた。




 本来の『ロコ・ロンドン取引というのは、通常、事業者間の相対で行われるロンドン渡しの金の現物取引の総称で、銀行や商社、鉱山会社等国際的な大手の事業者を中核とする相対取引市場において電話やロイター端末を通して行われる取引のことを指し、これらの会社に口座を設定して取引できる者は一定の信用力がある者に事実上限定される(経済産業省のHPより部分編集&引用 http://www.meti.go.jp/policy/commerce/a00/2007/0222-3.html)』ものであって、個人投資家が参加できるような代物ではないのですが、最近はグ○ーバリーなどのねちっこい勧誘をする業者が行っていた無差別電話勧誘攻撃が禁止されるなど、(国内)商品先物取引業者の勧誘指針が厳しくなったせいもあるのか、悪徳勧誘員がこういった 法の規制が入らない外為証拠金取引やロコ・ロンドン取引(を名乗るレバレッジ取引)、海外先物取引を行う業界に流れ込み、それに伴いこの分野の詐欺被害も急増しているようですね。

 ちなみに、金の金利保証というのは、預貯金等の利息とは全く異なる概念で、ドルと金の金利差に相当するものであって、金利の状況によっては、期待したとおりの金利が受け取れないことや、金の価格変動に伴い、受け取る金利以上の損失を被るおそれもあるなど、銀行の金投資口座,や証券会社の金貯蓄口座とも全く性質の違う、ハイリスクハイリターンな取引のこと。
 おまけに、証券先物や(国内)商品先物と異なり、国への報告義務もないため、本当に取引を出しているのかどうかも疑わしく(顧客に送る書類など、その気になればいくらでも偽造できます!!!)、信用のおける業者を探すのも一苦労ではないかと思いますし、100歩譲って信用できる業者を見つけ出しても、株式と比べてわざわざ情報がリアルタイムで伝わりにくい金や海外商品先物でレバレッジ取引を行うこと自体、メリットがないと私は思います。

 それにしても、この『あさひアセットマネジメント』という名称も、どこかの金融機関の関連会社と誤認しそうな紛らわしい名前ですね…。
 事実、投資信託の運用会社には現在でも『朝日ライフアセットマネジメント株式会社』という名前の会社(朝日生命保険相互会社が100%出資している投資信託会社)があり、『朝日投信委託株式会社』という投信委託会社がかってあり(現在は合併や2度の名称変更を経てみずほ投信投資顧問)都市銀行にもかってあさひ銀行(現りそな銀行)という名の銀行があり、証券会社では、『アセットマネジメント』という名前を部署に使うことが流行ったこともあり、この『あさひアセットマネジメント』という社名はどう見ても、大手の銀行や証券の関連会社と顧客に誤認させようとしているとしか思えないのですが、やっていることは所詮はレバレッジ取引による手数料稼ぎ(本当に市場に取引を出しているかも怪しいものですが…)。
 基本的には、多少の損失でも気になるような性格の方は、この手の業者とは係わり合いにならない。冷静な判断をする自信と資力があり、どうしてもレバレッジ取引をやりたいという方でも、株式レバレッジに留め、かつ自分のペースで冷静に取引できるオンライン取引に限定するのが無難だと思います。(*注:私は、株式取引などで、余程冷静に見切りができる方でもなければ、レバレッジ取引そのものをお勧めしない方針です)


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