hiyamizu's blog

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川上広美『ニシノユキヒコの恋と冒険』を読む

2013年05月14日 | 読書2
川上広美著『ニシノユキヒコの恋と冒険』(2003年11月新潮社発行)を読んだ。

ニシノユキヒコは、甘い顔、清潔、やさしく礼儀正しく、堅実な会社に勤めていて、そしてセックスよし。しかし、女性たちは、最後には必ず去っていく。だれにも心を開かないまま、一生ひとりでさ迷う。果てし無くしょうもない男、ニシノユキヒコの恋とかなしみの道行きを、交情あった十人の女性が思い、語る。
ニシノくんの中学生から五十代までの恋の遍歴、10編の連作集。

初出:一編のみ「WHITE LOVE」で、あとは「小説新潮」1998年8月号~2003年6月号



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

それほど感心するわけでもないが、するりと読める。

モテ男ニシノくんの気持ちは、対極にある私にはけして共感できない。「どうしてぼくは、きちんと女性を愛せないんだろう」と言われても、「モテ過ぎるからじゃない。勝手にすれば」としか言えない。でも、「冷静さをかなぐり捨てて人を愛するってことを、あなたはしないの」とか、一度でいいから言われてみたい。

彼に比べて、十人十色の女性たちには興味をひかれる。やさしさゆえに、するりとニシノくんに入り込まれてしまうが、結局のところしっかりしていて、最後には、「かわいそうなユキヒコ。 でも、自分のせいなんだから、わたしは知らない。」となる。

e-hon」で川上さんは語っている
女の人たちの良さを書きたいなと思ったんですね。どの人も気っ風がいい、表だって格好いいというわけではないんだけど、恋愛では悩んだ末にぱっと決断を下せる、そういう良さが女の人たちにはあることを書きたかった。


ニシノくんと一緒の彼女が元カノと出会う。
女の子どうしの、ひそやかな、けれど国家の外交にも似た、このような「精神的な力の均衡関係」を、男の子は、いったいどう感じているのだろう、・・・
おそらく何にも感じていないのだろうと続きますが、「はい、そうです! どうせ私はそんな場面に遭遇しないからだよ!」



川上広美は、1958年東京生まれ。
5歳から7歳を米国で過ごす。雙葉中高から、お茶ノ水大学理学部生物学科へ。
田園調布雙葉中学校に勤務。結婚、専業主婦に。身長176cm。
1994年デビュー作「神様」でパスカル短編文学新人賞、
1996年「蛇を踏む」で芥川賞、
1999年「神様」でドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞
2000年「溺レる」で伊藤整文学賞、女流文学賞、
2001年「センセイの鞄」で谷崎潤一郎賞、
2007年『真鶴』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。
芥川賞、谷崎潤一郎賞、三島由紀夫賞、野間文芸新人賞の選考委員。
その他、『夜の公園』『どこから行っても遠い町』『東京日記2 ほかに踊りをしらない。』『これでよろしくて? 』『 東京日記3 ナマズの幸運。 』『 神様2011 』『 此処彼処 』『 なめらかで熱くて甘苦しくて

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