「ただいま。おっ、ひな人形を飾ったんじゃのう」
「とりあえず、お内裏さまとお雛さまだけね」
「子どもたちが赤ちゃんのころにかじったんけん、烏帽子(えぼし)や笏(しゃく)の先が欠けとるのう」
「お人形さんやらボーリングのピンやらを、ひな段に一生懸命に並べよった時期もあったけどね」
「そんなこともあったのう」
「あとは、おままごとで使う魚のタイを、お雛さまの手に持たせとったこともあったねぇ」
「そりゃ、初耳じゃ。今日は、頼山陽(らい さんよう)史跡資料館に、ひな人形を見に行ってきたんじゃ」
今年も「ひな祭り」の季節を迎えます。
恒例の「ひな人形と春の書画展」では、竹原頼家ゆかりの品をはじめとするひな人形・ひな道具や全国各地の民芸びなを、春の書画とともに紹介します。
会期/平成23年2月3日(木)~3月27日(日)
(「ひな人形と春の書画展」頼山陽史跡資料館)
http://www.ccv.ne.jp/home/raisanyo/top.htm
「民芸びなは、いろんな種類が飾ってあって、面白かったで」
「ほうね。うちも見に行きたいねぇ」
「ホールに、昭和46年の七段飾りが飾ってあったんよ。これは写真を撮ってもええいうことじゃったけん、写真を撮らせてもろうたんじゃ」
「ふーん。七段飾りは久しぶりに見たね」
「今日は、ひな段に飾ってある人形と道具について調べてみようかの」
【最上段】
「お内裏(だいり)さまとお雛(ひな)さまじゃね。ええお顔をしとってじゃ」
「お内裏さまは、頭に烏帽子、右手に笏、左の腰に太刀を差しとってんよの。で、お雛さまは、手に桧扇(ひおうぎ)を持っとってんじゃ」
「後に金屏風(きんびょうぶ)、左右に雪洞(ぼんぼり)が飾ってあるね」
「間に三方(さんぽう)があって、桃の花が飾ってあるんじゃ」
【2段目】
「2段目は、三人官女じゃね」
「向かって左の官女は提子(ひさげ)とか加銚子(くわえのちょうし)とか呼ばれる銚子を持っとるんよ。ほいで、向かって右の官女は長柄銚子(ながえのちょうし)を持っとってんじゃ」
「銚子いうくらいじゃけぇ、お酒を注ぐもんかね?」
「ほうじゃの。昔はこんな形じゃったんじゃ」
「柄がないのと、柄が長いのがあるのは、なんで?」
「まず、樽から取り出したお酒を、柄のない提子に移すんよ。それを柄が長い長柄銚子に移して、盃(さかずき)に注ぐんじゃ。長柄銚子に酒を「加える」けぇ、提子のことを加銚子ともいうんじゃの」
「なるほど」
「真ん中の官女は既婚者で、眉がないそうじゃ」
「ええっ、眉を剃っとるということ?」
「江戸時代、結婚しとる女性は、眉を剃りおとして、お歯黒をしとったんじゃと。このひな飾りでは、眉も剃ってないし、お歯黒もしとらんようじゃがの」
「眉を剃ってお歯黒って、ちょっと怖いかも…」
「既婚者じゃけん、他の2人とは服の色や柄も違うんじゃろうの」
【3段目】
「3段目は、五人囃子(ごにんばやし)じゃね」
「向かって左から、下において叩く太鼓(たいこ)、腰のところで打つ大鼓(おおつづみ)、肩のところで打つ小鼓(こつづみ)、笛(ふえ)、そして歌を歌う謡(うたい)の5人じゃ」
「この髪型からすると、子どもなんかね?」
「元服前じゃけん、少年の髪型をしとってじゃのう。むかしは、歌や楽器の腕を披露する催しがあったそうじゃ」
【4段目】
「4段目って…、誰じゃったっけ?」
「お内裏さまを補佐する随身(ずいじん)じゃの。向かって左が右大臣の若者で、向かって右が左大臣の老人じゃ」
「左大臣、右大臣じゃったら、わかるよ。間には、お膳と菱餅が飾ってあるんじゃね」
「菱餅は、赤・白・緑の3色なんよ。これは、よもぎ餅の上に紅白の餅を置いたことに由来するそうじゃ」
【5段目】
「名前は知らんけど、怒った顔、泣いた顔、笑った顔があるというのは知っとるよ」
「外出する時のお供をする、仕丁(してい)という人たちじゃ。衛士(えじ)ともいうんじゃがの。向かって左から、台笠(だいがさ)、沓台(くつだい)、立傘(たてがさ)を持っとってんじゃ」
「ようわからんけん、説明してぇや」
「身分の高い人が外出するとき、日が当たらんように、後ろからお供の人が傘を持って歩いとるのは、見たことがあるじゃろ?」
「見たことあるよ」
「立傘は、その傘を袋に入れたもののこと。ほいで、台笠は、外出する時に頭にかぶるかぶり笠を、棒の先につけて袋をかぶせたもののことじゃ。頭にかぶるのが「笠」で、手に持つのが「傘」と、区別しとるんじゃ」
「へぇ、そうなんじゃ」
「沓台は、その名の通り、沓(=靴)を置くための台のことじゃ」
「左右にあるのは、なんの木?」
「向かって左が右近の橘(うこんのたちばな)、右が左近の桜(さこんのさくら)。紫宸殿(ししんでん)にあるんじゃ」
「紫宸殿って?」
「内裏の正殿(せいでん)で、天皇の即位などの儀式が行われるところじゃ」
【6段目】
「6段目は、家の中で使う家具やお道具じゃね」
「嫁入り道具でもあるんじゃの。向かって左から、箪笥(たんす)、長持(ながもち)、鏡台、針箱、火鉢、茶道具じゃ」
【7段目】
「7段目は、家の外で使う物じゃね」
「向かって左から、籠(かご)、重箱(じゅうばこ)、御所車(ごしょぐるま)じゃの」
「重箱って、今でいうお弁当箱のようなもんじゃね」
「二重のものから五重のものまであるんじゃが、四季を表す四重のものが正式なんじゃそうな」
「でも、「四(し)」って「死(し)」と通じるけぇ、使っちゃいけん言葉じゃろ?」
「ほいじゃけん、「与の重」と呼んだりするそうじゃ」
「こうやってみてみたら、いろんな人形やお道具があるんじゃね。今回、改めて知ったよ」
「近いうちに、ひな人形の歴史でもやってみようかの…」
↓ひな人形についての関連記事は、こちら↓
ひな人形を鑑賞しながら町歩きを楽しむ、宮島の行事は?
http://blog.goo.ne.jp/hiroshima-2/d/20100326
大竹市を流れる小瀬川流域で行われる、ひな祭りの行事は何?
http://blog.goo.ne.jp/hiroshima-2/d/20100303
朝鮮通信使の人形を並べたひな飾りを展示している寺はどこ?
http://blog.goo.ne.jp/hiroshima-2/d/20100218
「今日は、ひな段に飾ってある人形と道具について勉強をさせてもらいました」
「今日もひとつ勉強になったでがんす」
「ああ、うちにあるひな飾りを全部出して、飾りたいねぇ」
「ほいじゃあ、またの」
「とりあえず、お内裏さまとお雛さまだけね」
「子どもたちが赤ちゃんのころにかじったんけん、烏帽子(えぼし)や笏(しゃく)の先が欠けとるのう」
「お人形さんやらボーリングのピンやらを、ひな段に一生懸命に並べよった時期もあったけどね」
「そんなこともあったのう」
「あとは、おままごとで使う魚のタイを、お雛さまの手に持たせとったこともあったねぇ」
「そりゃ、初耳じゃ。今日は、頼山陽(らい さんよう)史跡資料館に、ひな人形を見に行ってきたんじゃ」
今年も「ひな祭り」の季節を迎えます。
恒例の「ひな人形と春の書画展」では、竹原頼家ゆかりの品をはじめとするひな人形・ひな道具や全国各地の民芸びなを、春の書画とともに紹介します。
会期/平成23年2月3日(木)~3月27日(日)
(「ひな人形と春の書画展」頼山陽史跡資料館)
http://www.ccv.ne.jp/home/raisanyo/top.htm
「民芸びなは、いろんな種類が飾ってあって、面白かったで」
「ほうね。うちも見に行きたいねぇ」
「ホールに、昭和46年の七段飾りが飾ってあったんよ。これは写真を撮ってもええいうことじゃったけん、写真を撮らせてもろうたんじゃ」
「ふーん。七段飾りは久しぶりに見たね」
「今日は、ひな段に飾ってある人形と道具について調べてみようかの」
【最上段】
「お内裏(だいり)さまとお雛(ひな)さまじゃね。ええお顔をしとってじゃ」
「お内裏さまは、頭に烏帽子、右手に笏、左の腰に太刀を差しとってんよの。で、お雛さまは、手に桧扇(ひおうぎ)を持っとってんじゃ」
「後に金屏風(きんびょうぶ)、左右に雪洞(ぼんぼり)が飾ってあるね」
「間に三方(さんぽう)があって、桃の花が飾ってあるんじゃ」
【2段目】
「2段目は、三人官女じゃね」
「向かって左の官女は提子(ひさげ)とか加銚子(くわえのちょうし)とか呼ばれる銚子を持っとるんよ。ほいで、向かって右の官女は長柄銚子(ながえのちょうし)を持っとってんじゃ」
「銚子いうくらいじゃけぇ、お酒を注ぐもんかね?」
「ほうじゃの。昔はこんな形じゃったんじゃ」
「柄がないのと、柄が長いのがあるのは、なんで?」
「まず、樽から取り出したお酒を、柄のない提子に移すんよ。それを柄が長い長柄銚子に移して、盃(さかずき)に注ぐんじゃ。長柄銚子に酒を「加える」けぇ、提子のことを加銚子ともいうんじゃの」
「なるほど」
「真ん中の官女は既婚者で、眉がないそうじゃ」
「ええっ、眉を剃っとるということ?」
「江戸時代、結婚しとる女性は、眉を剃りおとして、お歯黒をしとったんじゃと。このひな飾りでは、眉も剃ってないし、お歯黒もしとらんようじゃがの」
「眉を剃ってお歯黒って、ちょっと怖いかも…」
「既婚者じゃけん、他の2人とは服の色や柄も違うんじゃろうの」
【3段目】
「3段目は、五人囃子(ごにんばやし)じゃね」
「向かって左から、下において叩く太鼓(たいこ)、腰のところで打つ大鼓(おおつづみ)、肩のところで打つ小鼓(こつづみ)、笛(ふえ)、そして歌を歌う謡(うたい)の5人じゃ」
「この髪型からすると、子どもなんかね?」
「元服前じゃけん、少年の髪型をしとってじゃのう。むかしは、歌や楽器の腕を披露する催しがあったそうじゃ」
【4段目】
「4段目って…、誰じゃったっけ?」
「お内裏さまを補佐する随身(ずいじん)じゃの。向かって左が右大臣の若者で、向かって右が左大臣の老人じゃ」
「左大臣、右大臣じゃったら、わかるよ。間には、お膳と菱餅が飾ってあるんじゃね」
「菱餅は、赤・白・緑の3色なんよ。これは、よもぎ餅の上に紅白の餅を置いたことに由来するそうじゃ」
【5段目】
「名前は知らんけど、怒った顔、泣いた顔、笑った顔があるというのは知っとるよ」
「外出する時のお供をする、仕丁(してい)という人たちじゃ。衛士(えじ)ともいうんじゃがの。向かって左から、台笠(だいがさ)、沓台(くつだい)、立傘(たてがさ)を持っとってんじゃ」
「ようわからんけん、説明してぇや」
「身分の高い人が外出するとき、日が当たらんように、後ろからお供の人が傘を持って歩いとるのは、見たことがあるじゃろ?」
「見たことあるよ」
「立傘は、その傘を袋に入れたもののこと。ほいで、台笠は、外出する時に頭にかぶるかぶり笠を、棒の先につけて袋をかぶせたもののことじゃ。頭にかぶるのが「笠」で、手に持つのが「傘」と、区別しとるんじゃ」
「へぇ、そうなんじゃ」
「沓台は、その名の通り、沓(=靴)を置くための台のことじゃ」
「左右にあるのは、なんの木?」
「向かって左が右近の橘(うこんのたちばな)、右が左近の桜(さこんのさくら)。紫宸殿(ししんでん)にあるんじゃ」
「紫宸殿って?」
「内裏の正殿(せいでん)で、天皇の即位などの儀式が行われるところじゃ」
【6段目】
「6段目は、家の中で使う家具やお道具じゃね」
「嫁入り道具でもあるんじゃの。向かって左から、箪笥(たんす)、長持(ながもち)、鏡台、針箱、火鉢、茶道具じゃ」
【7段目】
「7段目は、家の外で使う物じゃね」
「向かって左から、籠(かご)、重箱(じゅうばこ)、御所車(ごしょぐるま)じゃの」
「重箱って、今でいうお弁当箱のようなもんじゃね」
「二重のものから五重のものまであるんじゃが、四季を表す四重のものが正式なんじゃそうな」
「でも、「四(し)」って「死(し)」と通じるけぇ、使っちゃいけん言葉じゃろ?」
「ほいじゃけん、「与の重」と呼んだりするそうじゃ」
「こうやってみてみたら、いろんな人形やお道具があるんじゃね。今回、改めて知ったよ」
「近いうちに、ひな人形の歴史でもやってみようかの…」
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ひな人形を鑑賞しながら町歩きを楽しむ、宮島の行事は?
http://blog.goo.ne.jp/hiroshima-2/d/20100326
大竹市を流れる小瀬川流域で行われる、ひな祭りの行事は何?
http://blog.goo.ne.jp/hiroshima-2/d/20100303
朝鮮通信使の人形を並べたひな飾りを展示している寺はどこ?
http://blog.goo.ne.jp/hiroshima-2/d/20100218
「今日は、ひな段に飾ってある人形と道具について勉強をさせてもらいました」
「今日もひとつ勉強になったでがんす」
「ああ、うちにあるひな飾りを全部出して、飾りたいねぇ」
「ほいじゃあ、またの」
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