となりのせきのますだくん
作・絵: 武田 美穂
出版社: ポプラ社
税込価格: \1,260
(本体価格:\1,200)
発行日: 1991年11月
今日の朝、みほちゃんは学校へ行きたくないんだ。
*あたし きょう がっこうへ いけない きがする。
*だって
*あたまが いたい きがする。
*おなかが いたい きがする。
*ねつが あるような きがする。
*あたまが いたく なれば いいのに。
*おながか いたく なれば いいのに。
*ねつが でれば いいのに。
みほちゃんの隣の席のますだくんは、とてもいじわるな男の子で、机の上に境界線を引いて、みほちゃんが、線から出たらぶつと言うんです。
みほちゃんが苦手な授業を笑って、みほちゃんが給食で残すと言いつけて、みほちゃんの苦手な運動が得意なんです。
そのますだくんが、帰る時間にみほちゃんのお気に入りの鉛筆を折っちゃった。
みほちゃんが泣きながら消しゴム投げたら、ますだくんはびっくりしてたけど睨んでいた。
だからみほちゃんは、もう学校へ行きたくないんだ。
みほちゃんが校門の前につくと、ますだくんが門扉の陰に隠れていた。
みほちゃんが、そうっと通ろうとしたら、ますだくんに捕まった。
その手には、みほちゃんの折れた鉛筆があって、テープでぐるぐる巻きにしてあった。
ますだくんは
*「ごめんよ」
と言ってみほちゃんをぶった。
登場の最初から怪獣みたいに描かれていたますだくんは、最後のワンカットで、普通の男の子の姿に戻っていました。
みほちゃんの手には、テープでぐるぐる巻きにした鉛筆が握られていて、二人の仲直りへの希望を持たせるラストです。
さて、この作品を振り返ってみましょう。
みほちゃんは、意地悪なますだくんが嫌いだけど、そのますだくんをしっかりみつめています。
その場を離れることはあっても、決して目を伏せたり逃げたりしません。
意地悪には付き合いませんし、消しゴムを投げたことで意地も見せてくれます。
だから、ますだくんは、そんなみほちゃんが好きなのだと思います。
ますだくんは、きっとやり過ぎたことを謝りたいのです。
ますだくんは、みほちゃんの感心をひきたかったのです。
実はますだくんは、みほちゃんが好きなのです。
でもそれが素直に口に出せないのです。
お互いに魅力を感じないもの同士でなら、きっとこうはならないでしょう。
しかし、みほちゃんのその日の朝の心は限界でした。
この絵本は、みほちゃんの朝の部屋の場面から始まります。
「あたし きょう がっこうへ いけない きがする」とみほちゃんが心の中でつぶやいているところです。
カバーの裏には、やはり同じショットで、カーテンの陰から覗いている怪獣の姿をしたますだくんがいます。
この画面は、みほちゃんが常にますだくんの存在に脅かされていた気持ちをよく表しています。
みほちゃんは、いつ本当におなかが痛くなったり、頭が痛くなっても当たり前の状態であって、『希望を持たせるラスト』などと書きましたが、その瞬間まではぎりぎりの精神状態だったのです。
ラストでみほちゃんは、テープでぐるぐる巻きにされた鉛筆に救いを求めました。
即ち、意地悪だったますだくんを見直すきっかけとしてです。
一方でますだくんは、やり過ぎたことを反省する機会を、みほちゃんが投げた消しゴムに見出しました。
人間関係は、お互いの発見と歩み寄りの連続が積み上げた結果だと思います。
お互いの良い所や、好意を寄せるチャンスを見逃さないことが、良い結果を導くのだと思います。
この本は多くの賞をもらって、課題図書にもなっていますが、この私のように読んだ後で考えるきっかけになる作品だからでしょう。
月並みなコメントではありますが、読後に学級内で話しあったり、親子で一緒になって読んで欲しい本だと思います。
作・絵: 武田 美穂
出版社: ポプラ社
税込価格: \1,260
(本体価格:\1,200)
発行日: 1991年11月
今日の朝、みほちゃんは学校へ行きたくないんだ。
*あたし きょう がっこうへ いけない きがする。
*だって
*あたまが いたい きがする。
*おなかが いたい きがする。
*ねつが あるような きがする。
*あたまが いたく なれば いいのに。
*おながか いたく なれば いいのに。
*ねつが でれば いいのに。
みほちゃんの隣の席のますだくんは、とてもいじわるな男の子で、机の上に境界線を引いて、みほちゃんが、線から出たらぶつと言うんです。
みほちゃんが苦手な授業を笑って、みほちゃんが給食で残すと言いつけて、みほちゃんの苦手な運動が得意なんです。
そのますだくんが、帰る時間にみほちゃんのお気に入りの鉛筆を折っちゃった。
みほちゃんが泣きながら消しゴム投げたら、ますだくんはびっくりしてたけど睨んでいた。
だからみほちゃんは、もう学校へ行きたくないんだ。
みほちゃんが校門の前につくと、ますだくんが門扉の陰に隠れていた。
みほちゃんが、そうっと通ろうとしたら、ますだくんに捕まった。
その手には、みほちゃんの折れた鉛筆があって、テープでぐるぐる巻きにしてあった。
ますだくんは
*「ごめんよ」
と言ってみほちゃんをぶった。
登場の最初から怪獣みたいに描かれていたますだくんは、最後のワンカットで、普通の男の子の姿に戻っていました。
みほちゃんの手には、テープでぐるぐる巻きにした鉛筆が握られていて、二人の仲直りへの希望を持たせるラストです。
さて、この作品を振り返ってみましょう。
みほちゃんは、意地悪なますだくんが嫌いだけど、そのますだくんをしっかりみつめています。
その場を離れることはあっても、決して目を伏せたり逃げたりしません。
意地悪には付き合いませんし、消しゴムを投げたことで意地も見せてくれます。
だから、ますだくんは、そんなみほちゃんが好きなのだと思います。
ますだくんは、きっとやり過ぎたことを謝りたいのです。
ますだくんは、みほちゃんの感心をひきたかったのです。
実はますだくんは、みほちゃんが好きなのです。
でもそれが素直に口に出せないのです。
お互いに魅力を感じないもの同士でなら、きっとこうはならないでしょう。
しかし、みほちゃんのその日の朝の心は限界でした。
この絵本は、みほちゃんの朝の部屋の場面から始まります。
「あたし きょう がっこうへ いけない きがする」とみほちゃんが心の中でつぶやいているところです。
カバーの裏には、やはり同じショットで、カーテンの陰から覗いている怪獣の姿をしたますだくんがいます。
この画面は、みほちゃんが常にますだくんの存在に脅かされていた気持ちをよく表しています。
みほちゃんは、いつ本当におなかが痛くなったり、頭が痛くなっても当たり前の状態であって、『希望を持たせるラスト』などと書きましたが、その瞬間まではぎりぎりの精神状態だったのです。
ラストでみほちゃんは、テープでぐるぐる巻きにされた鉛筆に救いを求めました。
即ち、意地悪だったますだくんを見直すきっかけとしてです。
一方でますだくんは、やり過ぎたことを反省する機会を、みほちゃんが投げた消しゴムに見出しました。
人間関係は、お互いの発見と歩み寄りの連続が積み上げた結果だと思います。
お互いの良い所や、好意を寄せるチャンスを見逃さないことが、良い結果を導くのだと思います。
この本は多くの賞をもらって、課題図書にもなっていますが、この私のように読んだ後で考えるきっかけになる作品だからでしょう。
月並みなコメントではありますが、読後に学級内で話しあったり、親子で一緒になって読んで欲しい本だと思います。