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“男のためのガーデニング”改め

「岩神大龍神」「妙光寺山摩崖仏」「福林寺跡摩崖仏」を巡る!

2024-04-16 17:00:00 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 三上山登山口から東光寺岩梨山~東光寺日陽山~東光寺不動山~妙光寺山を縦走して、妙光寺山摩崖仏方向へ下山をしました。
アップダウンの多いザレた道でしたが、巨石が多く尾根筋の山歩きは非常に楽しいものでした。

そして何といっても感動したのは、山歩きの途中に何度も見える近江富士こと三上山の山容です。
知っている範囲ではこれまで見た三上山の中で一番美しい姿だったと思います。



妙光寺山からの下山道は最初のうち、道幅の狭い激坂が続き、ロープを頼りに下って行くような悪路が続く。
ふくらはぎが痛くなってきて、こちら側から登らなかったのは正解だったのではないかと思えてしまう道でした。



激坂を下りきると普通の下山道になり、麓近くの分岐から「岩神大龍神」「妙光寺山摩崖仏」へは約300m少々の道のり。
前回に訪れた時(2019年12月)は妙光寺山摩崖仏入口からですぐに辿り着いたが、今回は三上山から4つのピークを越えてきたので新鮮な気分です。



「岩神大龍神」は、妙光寺山の山中の古代峠にあった石のトンネルと同様に元々は古墳だったのではないかと思われる形をしている。
この周辺には「妙光寺古墳群」と呼ばれる約70基の古墳が確認されており、古墳そのものではないにしろ、信仰のために作られたものだろう。



「岩神大龍神」からすぐの場所に「妙光寺山摩崖仏」はあり、樹木やシダ類の間から垣間見える摩崖地蔵仏のなんと美しいこと。
妙光寺山摩崖仏は、鎌倉時代のもので像の左右に元亨四年(1324年)7月10日の造立の銘があるといいます。



摩崖仏は畳一枚ほどの方形の彫り込みの中に高さ1.6m、暑さ10cmほどの半肉彫りの地蔵仏が彫られている。
手には宝珠と錫杖を持ち、蓮華座の上に立ち、尊顔もはっきりとした状態で残っています。



鎌倉時代の摩崖仏が磨耗の少ない良好な状態で残っているものだと感心します。
また摩崖仏に苔や汚れが付着していないのは、おそらく地元の方がしっかりと手を入れている証なのだと思います。



神秘的な場所でひとけのない静かな場所なのでやや緊張感を感じるような場所で、後から来た人の気配に驚いたりする。
ここに来たのは数年ぶりですが、一点を見つめる地蔵菩薩の表情に温和でありながら厳しさを感じてしまいます。



岩神大龍神と妙光寺山摩崖仏のある場所から分岐まで戻り、10分少々下ると山道は終わり、アスファルトの舗装道に出る。
これで山登りは終了で、ロード歩きとなるが、ふと思い立って駐車場から1㌔ほど反対方向にある「福林寺跡磨崖仏」まで歩いて行くことにする。



山麓の真福寺の横から鉄柵を開けて山道に入って100mほど歩くと、福林寺跡磨崖仏・小摩崖仏群・古墳などが点在する場所に辿り着く。
「福林寺跡磨崖仏」への入口も「妙光寺山摩崖仏」の入口もイノシシ除けの鉄柵を開けて入らなければならない。



福林寺は白鳳期から室町末期まで存続した寺院とされ、周辺からは「福林寺古墳群」という11基の古墳が確認されているという。
それだけこの地にいた有力者の権勢が伺われるが、白鳳期より時代を遡った弥生時代の銅鐸が多数掘り出されていることから、この地の歴史は更に遡ることになる。



福林寺跡磨崖仏の中でも特筆すべきなのは、舟形光背の中に半肉彫りされた如来2躰と観音立像1躰とされます。
この摩崖仏は室町初期の作とされており、仏の姿はくっきりと読み取れる。



今にも地面に埋まってしまいそうな平たい岩には十三躰の摩崖仏が彫られている。
こちらは三躰の摩崖仏の精巧さとは趣が違って素朴な印象を受けます。



既に土に埋もれつつある部分もありますが、この一帯には半分埋まった石仏や五輪塔などが無数にあります。
この横には古墳群がありますので、この一帯は福林寺の信仰(弔い)の中心部だったのかもしれません。





福林寺跡磨崖仏は大きな規模で摩崖仏や石仏が残る場所ですが、かつてはさらに多くの摩崖仏があったと伝わります。
今は一部が残るにすぎず、大正時代には大部分が大阪方面の富豪の庭に持ち去られてしまったようです。
一番見事な摩崖仏には観音菩薩像を切り取ろうとしたノミの跡が痛々しい。



他の摩崖仏や石仏も土に埋まりつつあり、栄枯盛衰の時の流れを感じます。
とはいえ、場所としてこの一帯が保護されて残されているのは、未来に過去を託すということになります。



御上神社から山を越えて「妙光寺山摩崖仏」「福林寺跡摩崖仏」までやって来ましたが、ここから御上神社まではロード歩き2.5㌔です。
この一帯を周するならば、さらに三上山山頂や田中山・旗振山まで縦走が可能なのでそちらは別の機会に登ろう。
低山ながら何度登っても歩けるコースが多く、飽きの来ない山ですね。



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