僕はびわ湖のカイツブリ

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“男のためのガーデニング”改め

湖北の巨樹を巡る5~「中之郷の野神さん」「菅並のケヤキ」「意波閇神社の杉」

2020-07-18 06:35:00 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 余呉町中之郷集落から下丹生集落へと車を走らせる途中、中之郷の集落の外れにケヤキの巨樹が唐突に目に入ってきました。
集落の外れにあって祠が祀られていることから中之郷の「野神さん」かと思われるが、この地域での出会いの頻度からして、余呉町には実に多くのケヤキの古木がある。
ケヤキが多いことの理由の一つには、「大箕山 管山寺」にある菅原道真公のお手植えとされる樹齢千年を越える2本のケヤキの伝承の影響があるのかもしれません。

<中之郷の野神さん>



地図で見ると中之郷の「鉛練比古神社」とこの「野神さん」、鉛練比古神社の奥宮と言われる「太水別神社」の3つが北北東の方向へ一直線に並びます。
これは中之郷集落の艮(丑寅)の方向を守っているということになるのかと勝手に想像しますが、鬼門を守り山を鎮めるために配置されたように思える。



「中之郷の野上さん」の巨樹は主幹が折れてしまっており、もう一方の主幹にも痛みが見られます。
幹の中には空洞部があるようですが、野神さんの周囲は整備されていて、地元の方が手厚くお祀りしていることが伺われます。



<菅並のケヤキ(愛宕大明神)>

「中之郷の野上さん」から高時川に沿って「菅並」集落まで北上すると、高時川の対岸の山麓に「菅並のケヤキ(愛宕大明神)」が見えてくる。
遠目にもよく目立つ巨樹なのですぐ分かったのですが、はてさてこの草むらをどう突っ切るか。



草が踏みしめられている所があったので近づくと、その後方には猿の群れがいる。
猿たちが通り過ぎるのを待っている時に、後方に歩きやすそうな道があるのが分り、この道を引き返します。



このケヤキの正面になるのは山側で、整備された道を行くと生命感にあふれたこの巨樹に近づくことが出来る。
「菅並のケヤキ(愛宕大明神)」は、幹周8.2mあり樹高は25mにも及ぶといい、推定樹齢は約700年とされている。



この巨樹は、菅並東組が火の神として祀っているといい、毎年1月2日には京都「愛宕神社」に参拝して御神符をいただいて供えられているそうです。
どういうつながりで愛宕山信仰となったのかは分かりませんが、ケヤキに掛けられた巣箱のような祠の中に御神符が祀られているのが確認出来ました。



<意波閇神社の御神木>

菅並集落から折り返して、余呉町の南端になる坂口の集落へ戻ると、神社の境内に途方もない大きさの巨大な杉がある。
神社は「意波閇神社」といい、御祭神に「大鷦鷯命(仁徳天皇)」を祀る神社で“意波閇”は“おはへ”と読むということです。



「意波閇神社」は杉の多い神社であったが、それにしても突出して幹の太いのが御神木の杉でした。
このスギは幹周約6mで樹高は40m(25mともされる)の巨樹で、樹齢は不明となっている。



真っすぐに直立し、正円を描いたような幹の幹周6mというのは、単一の幹としてその数字以上の太さを感じる。
鳥居の後方でまさに神社の神域に結界を張るかのように威風堂々とした姿で立っている。



天に聳え立つようなこの大杉を見ていると、周囲のスギがか細く貧弱に見えてしまう巨樹ではあるが、他のスギも実際はそれほど貧弱なものではありません。
それだけ御神木のスギが桁外れに大きいということになります。



境内に入って振り返って見ても、その大きさは際立っており、鳥居や手水舎が小さく見えてしまいます。
また、木の節の跡があまり見られず、幹肌が非常に綺麗な杉だと感じ入ります。



スギの木の下に入って上を見上げると枝が何本も生え、葉が生い茂って樹勢の良さが分かる。
このまま育っていったら一体どんな凄まじい巨樹へとなっていくのでしょう。



「拝殿」「本殿」は一段高い場所に鎮座しており、両脇を取り囲むスギも背が高く、天に向かって真っすぐに伸びています。
かつてはこの境内を「平野の森」と称し、「平野大明神」と呼んでいたといい、山林の規模は東西十町余(1.1キロ以上)、南北一丁余(109m以上)だったと伝わります。



御神木は神体とされ、神の依り代とされたり、結界の役割を果たすものとされます。
また、「野神信仰」は、滋賀県や近畿地方でみられる祭事とされ、野神さんは五穀豊穣を祈願する神として祀られているといいます。
湖北では「観音信仰」とともに「野神信仰」の祭事が盛んに行われており、巨樹を通じて自然を畏怖する野神さんへの信仰は今も続いています。


コメント
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