北大路機関

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現代日本と巡洋艦(第二回):海上自衛隊巡洋艦構想、戦後日本の巡洋艦研究

2015-04-27 23:26:25 | 日記
■未成の海上自衛隊巡洋艦構想
 巡洋艦、前回は戦後の巡洋艦について俯瞰してみましたが。

 さて、今回討議します我が国巡洋艦の必要性とは、文字通り海外地域における自国民保護を念頭に置くものです、海上自衛隊は過去に幾度か巡洋艦の建造を検討しています、ポスト四次防検討時には、はるな型ヘリコプター搭載護衛艦に続く新護衛艦として、ヘリコプター巡洋艦の建造が検討されたといわれまして、日本にとり戦後無関係なものではありません。

 ヘリコプター搭載護衛艦はるな、海上自衛隊が初めて導入した航空機運用の艦艇は1973年就役の護衛艦はるな、からですが、海上自衛隊はそれまでに数回ヘリコプター母艦、若しくはヘリコプターと対潜戦闘指揮中枢の水上戦闘艦艇の研究を行っています。第一次防衛力整備計画の時点で、海上自衛隊がソ連原潜へ対抗するにはこの種の艦艇が必要、と早い時期から検討されていました。

 この中で、ヘリコプター搭載護衛艦はるな、も基準排水量4700tとなっていましたが、当初計画ではターターミサイルシステムを搭載し、もう少し大型の護衛艦として建造する検討はありました、もっとも基準排水量で5000t程度の全通飛行甲板型護衛艦を建造する研究や、艦砲を一門削減し飛行甲板を大型化し、航空機運用能力を強化する、という検討も行われていたようですが。

 ポスト四次防では8300t型護衛艦として護衛艦はるな型を拡大する案、8700t型護衛艦として全通飛行甲板構造を採用し、ハリアー攻撃機を将来的に検討するもの、など。8300t型護衛艦の検討時には、6000t型護衛艦としてミサイル巡洋艦、たちかぜ型ミサイル護衛艦を大きく拡大改良したものを想定したと考えられ、満載排水量で8000t程度となります。

 ミサイル巡洋艦とは、ミサイル護衛艦の能力を強化したものに当たり、具体化されているものではないので詳細は元々ありませんが、Mk13ミサイル発射機を複数備えた護衛艦を建造し、ヘリコプター巡洋艦とミサイル巡洋艦の二隻で巡洋艦隊を編成する、という検討がなされたともいわれ、しらね型護衛艦に落ち着くまで試行錯誤は行われていた模様です。

 将来必要な艦艇、ここでいう日本の巡洋艦とは、具体的には海賊対処任務や国際平和維持活動の支援、在外法人保護と国際人道支援任務などの任務が考えられるところ。特に海賊対処任務は、現在、大型護衛艦を派遣していますが、護衛艦の任務と装備を考えた場合、長射程の艦対艦ミサイルや高度な防空システムは必要ではありません。

北大路機関:はるな
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2 コメント

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Unknown (大義名分也)
2015-04-28 17:23:50
既にご存知かと思いますが、アデン湾における海賊対処任務の本質とは我が国に欠かせない中東産石油輸送のシーレーン確保以上に、各国が無政府状態のソマリア沖(世界的な要衝スエズ運河出入口)に格好の口実が出来たとばかりに自由に集合し、中露もそれに対して大型の駆逐艦を派遣し、不必要な海賊の撃沈行為も行うなど世界中の国が自国の海軍力誇示の場としているという裏の目的も、既に欧州の軍事専門家の間では暗黙の了解となっているようです。その点駆逐艦クラスを派遣している現在の日本国の対処は正しいともいえますが、それよりも事態が逼迫しており、地方自治の名を借りた間接侵略が始まっている南西諸島地域には少しでも多くの艦艇を日本国周辺地域に予備戦力として常備している事も軍事的抑止力としては必要な事だと感じますので、まずは日本の領土防衛が圧倒的優先事項かと思われます。中国の意図している点が第一列島線突破及び、現在南シナ海でASEANから猛非難を浴びているような無人島を占拠し埋立る事で一大航空軍事拠点を造る事ならば、米国最新鋭沿岸戦闘艦のようなコンセプトの艦艇を備えておく必要があるでしょう。現代の対地艦砲射撃を目指し色々な評価がある沿岸戦闘艦ですが、占拠された島の解放軍部隊への攻撃は機動力が凄まじい沿岸戦闘艦での艦砲射撃も大いに戦術的価値を持つものとなります。島の集合体である日本国は有事に備えて似たコンセプトの護衛艦を4~5隻保有するというのは切り札として大いに役立つと思われます。もちろん徹底的な艦砲射撃後に敵の滑走路が使用不能になった時点で、水陸両用部隊が上陸し任務を達成するのは言うに及びません。量産が決まったP-1哨戒機もその高い発展性を活かすために、量産機のうち数機は特殊作戦群向けに改造し多用途輸送機兼対地爆撃機として保有すべきだと思われます。ハープーン運用能力は既に今年証明済ですので、さらなる重武装化で軍事的に無知な彼らにP-1の多機能化で恐れさせる必要があります。そして敵基地攻撃能力つまりトマホーク最新ブロックを少数整備する事から始めなければなりませんが、今の情勢なら余裕もって可能でしょう。トマホーク最新版は移動目標への直撃も実射試験で成功させています。弾道弾の標準を合わせ牙をむき出しにしている相手に専守防衛など何の効果もありません。まず天安門のあるあの都市の政府中枢部にこちらもイプシロン等改造弾道弾の標準を合わせてから、やっと一方的恫喝ではない正常な交渉が始まると思われます。西欧や南米のように周囲に明確な脅威が隣接していない(もしくはしていても冷徹に交渉可能)な地域と違い、地球上最も危険な国家群(北朝鮮は論外だとしても、韓国のように自分が西側だという認識すらない)に取り囲まれている事を強く自覚し、唯一確実な友軍となりうる中華民国軍及びフィリピン軍に対しての軍事協力・秘密軍事同盟締結を済ますほどの強かさが日本の長期存立には必要不可欠だと考えます。まずはイプシロン改造弾道弾(場合によっては核弾頭搭載を匂せた上で、上海北京広州など主要都市を標準に収めていると公言する事が中国国民の厭戦気分演出のために必要)配備とトマホーク導入及び明確なROE創設が必要です。
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Unknown (PAN)
2015-04-28 23:38:40
はるな様

海外での海賊退治や邦人保護のための巡洋艦とのことですが、どうも、はるな様の想定する巡洋艦の姿ってのがピンときません。
要は、長い航続力を持ちつつ、小型艦船を想定した武装を備えた艦ということなので、そのまま受け取ると海保の大型巡視船、あきつしま型のような艦でしょうか?

ただ、そのような任務は現行のむらさめ型以降の護衛艦でも十分に行えることは、すでに実績が示すところ。ならばワザワザ装備を限定した大型艦を新たに建造運用するのは、かえって汎用性に欠け非効率的だと思われます。

また海賊相手にするなら、むしろ小型のコルベットクラスの艦のほうが、任務としては使いやすいでしょう。
航続距離を除けば、今後建造されるDE後継艦がちょうどそこに納まります。あとはこのDEを遠距離まで派遣する手段を考えれば、巡洋艦建造より効率的かつ効果的ではないでしょうか?

そこでご提案するのは、母船を中心とした船団方式です。僚艦給油機能を備えた母船を中心にして、数隻の小型護衛艦で戦闘団を形成する方式です。
と、ここまで書けばお気づきになられるでしょうが、いずも型に僚艦給油機能が盛り込まれたのは、実は中東アフリカ海域でのPKO派遣任務も想定したものだと考えております。
その場合、いずも型を旗艦兼補給艦に据え、2~3隻の新型DEで派遣艦隊を形成することが可能になります。
もちろんヘリの運用能力も高く、任務によっては陸上派遣装備も一緒に運べますので、かなり幅の広い任務に対応できると考えるのですが。

ただし、いずも型は自らを守る能力は低いため、強力な対艦手段が想定される場合は、あきづき型対空護衛艦などを護衛役に加える必要はあります。(そのようなケースでは、はるな様が想定される対空能力が限定的な巡洋艦も、派遣が難しいことになります)
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